公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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市場の失敗とオプジーボ、投資信託とインセンティブ


市場の失敗とオプジーボ
投資信託とインセンティブ


クルーグマンミクロ経済学』22ページで、「市場の失敗」の序論が紹介されています。
【資料1】クルーグマンミクロ経済学22ページ

市場が効率を達成しない場合には、政府の介入が社会的厚生を高める可能性がある。

市場が効率を達成しないことを「市場の失敗」といいます。 その例として、同書では、次の例を挙げています。
【資料2】クルーグマンミクロ経済学22ページ

取引の一方の側が自分の資源の分け前を増やそうとして、相互に有益な取引の実現を妨げる。

1つの例は、価格を生産コストよりも高くして、必要としている人が買えなくなるようにしている製薬会社だ。

上記の記述を読んで、次の記事を思い出しました。
【資料3】日本経済新聞2016年12月19日

日本の薬価制度が約30年ぶりに大きく変わろうとしている。

議論の引き金を引いたのは、1年間の薬剤費が3500万円に迫るがん免疫薬「オプジーボ」だ。

国内では薬価を半額にすることで決着したが、(以下略)

オプジーボ」は、市場の失敗の例なのか。
新聞記事を読んで「なぜだろう」と疑問に思ったことのほとんどは、ミクロ経済学の書籍を探すと、その理由を見つけることができます。 同じく「なぜだろう」と疑問を抱いたものとして次の記事がありました。
【資料4】日本経済新聞2017年4月16日

アクティブ運用は企業の調査や財務分析をもとに無数の銘柄から一握りの有望株を選別。アナリストの人件費などコストが高くつく。

指数構成銘柄を丸ごと買うインデックス運用のコストはアクティブの平均2割。安さがマネーをひきつける。

上記の記事の「なぜだろう」を理由付けるのは、『クルーグマンミクロ経済学』12ページです。
【資料5】クルーグマンミクロ経済学12ページ

人々は通常インセンティブ(誘因)に反応する。

すなわち、自分が利益を得る機会を見逃さない。

運用担当者1人ひとりのインセンティブが、マクロ経済では、うねりとなって現われます。
ミクロ経済学は、マクロ経済学と比べて、人気がない。 記事に書かれてあることの大半は、天下国家を論ずるマクロ経済学よりも、ミクロ経済学のノウハウで読み解くほうが、よく理解できます。
2017年4月15日付の日本経済新聞では、「GDP統計、大改革始動、14年かけ米欧の手法に、データ捕捉、経済拡大?、企業には負担も。」というタイトルを見かけました。 統計の手法によってGDPが変わるだなんて、そんな作業は税金の無駄遣いにしか見えません。 役所というところは、まず仕事があってそのために人を充てる、というよりも、まず人がいてその人のために仕事をでっち上げる、という印象が強い。
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東芝の連結財務諸表に現われる虚数解


東芝の連結財務諸表に現われる虚数

東芝で先日(2017年4月11日)、監査意見のないままに決算発表が行なわれました。
この件に関しては、メディアなどで、膨大な情報が流れています。 概要は、日本経済新聞で4月13日から連載されている「東芝を読み解くキーワード」などを参照すればいいこと。
自らの手で不適切会計や減損損失を詳細に検証することなく、メディアの尻馬に乗り、会計知のないまま、東芝を批判する風潮には、ウンザリしています。


個人的な関心事は、今後発表される確定値がどのようなものであるか、にあります。
自分なりに、「この売上高で、この減損損失であれば、これだけの純損失になるだろう」と予想を立て、私が創設した会計物理学のキモともいえる「タカダ式確率微分方程式」で解いてみました。 その過程で、東芝の連結財務諸表から「虚数解」が浮かび上がり、「ありゃりゃ」となってしまいました。


虚数解とは何か。 高校のとき、2次方程式の解の公式で、判別式 D というものを学習しました。

【資料1】
  1.  D>0 ならば 2つの実数解
  2.  D=0 ならば 重解
  3.  D<0 ならば 虚数

「タカダ式確率微分方程式」は、2次方程式や3次方程式ではないので、上記【資料1】の定義をそのまま当てはめることはできません。 「虚数などというものが、社会で役立つとは思えない」と憤って、高校生のときに数学の教科書を投げつけた人がいるかも。 いえいえ、いま、東芝連結貸借対照表連結損益計算書・連結キャッシュフロー計算書を読み解くのに役立ちます。 サワリを以下で説明しましょう。


現代の会計学では、次の図表を用いて、売上高・総コスト(総費用)・利益の関係を説明します。

【資料2】CVP図表(損益分岐点図表)
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上記【資料2】を、CVP分析といいます。 CVP分析は損益分岐点分析や線形回帰分析とも呼ばれ、会計学や会計システムの世界では、「なんとかの一つ覚え」として、100年以上も用いられている分析手法です。


上記【資料2】の特徴は、線分OE(売上高線)と、線分AD(総コスト直線)とが、損益分岐点Fという1点で交わっていることです。 つまり、実数解は1つだけ。 【資料1】など無縁の世界です。 CVP分析は中学の算数で解けるので、高校の数Ⅰで挫折した人たちにとっては居心地のいい分析手法です。


【資料2】の特徴は、総コスト直線(線分AD)が、1次関数( )で描かれている点にあります。 企業のコスト構造を、単利計算構造で捉えていることと同じです。 ところが、現実の企業活動では、次の【資料3】に示す事実を観察することができます。

【資料3】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。

つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 実際の企業活動は無限の複利計算構造を内蔵しているにもかかわらず、現代の会計学はそれを単利計算構造のCVP分析で解き明かそうとする。 なんと愚かな所業。 100年以上もの間、企業実務を無視し「机上の空論」を振りかざしてきた会計学を、「古典派会計学」といいます。


古典派会計学はひとまず、うっちゃっておいて、【資料3】の命題に基づいて企業のコスト構造を複利関数( )で描くと、次の【資料4】になります。

【資料4】タカダ式操業度分析
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【資料4】では、総費用曲線(総コスト曲線)が、「自然対数の底 」を用いた複利曲線で描かれています。 そのため、売上高線とは、点B(損益操業度点)と、点E(収益上限点)の2箇所で交わります。 すなわち、【資料4】の作図法によれば、「2つの実数解」があることになります。


東芝の場合は、どうなるか。 巨額の減損損失によって、【資料4】の総費用曲線(総コスト曲線)は、左上方へシフトしていくことが予想されます。 それは次の関連ブログで説明しました。

【資料5:関連ブログ】

今後、東芝で予想される「総費用曲線のシフト」を描くと、次の【資料6】になります。

【資料6】タカダ式操業度分析
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不適切会計(不正会計・粉飾決算)が発覚する前は、【資料6】にある赤色の曲線上で業績が展開されていました。 【資料6】の赤色の曲線が、【資料4】の総コスト曲線ABCDEに該当し、2つの実数解(点Bと点E)が存在していました。 今後、巨額の減損損失を計上すると、【資料6】の赤色の曲線は、緑色の曲線へ、さらには青色の曲線へとシフトしていくことが予想されます。


【資料6】にある緑色の曲線に注目します。 売上高線と、点Sの1点で接しています。 これは【資料1】2. の「重解」に相当します。 【資料6】では、点Sを、「機会費用ゼロ点(機会原価ゼロ点)」と表示しています。 進んでも赤字、退いても赤字の「利益なき繁忙」の状態にあります。 「機会費用ゼロ点 S 」は、次の書籍の417ページ〔図14-4〕にある「ATC曲線の最下点」と同じです。

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ただし、決して間違ってほしくないのは、日本の経済学者だけでなく、欧米の経済学者も全員、企業のコスト構造を2次関数または3次関数で捉えている点です。 企業活動を「無限の複利計算構造」で捉えようとしている経済学者や会計学者は、1人もいないことを申し添えます。 それに対し、古典派会計学や経済学を完璧に置き去りにしているのが、【資料4】や【資料6】のタカダ式操業度分析です。 私(高田直芳)のオリジナルです。


【資料6】にある青色の曲線に注目します。 これは、売上高線とは交わらない状態です。 【資料2】の損益分岐点分析と決定的に異なる状態です。 【資料6】の青色の曲線上では、どのような売上高を計上しようとも、必ず損失になります。 【資料1】3. の「虚数解」に相当します。 ただし、「タカダ式確率微分方程式」から導かれた虚数解が、実際に正しいかどうかを検証するには、私の数学知識では限界があります。 「タカダ式確率微分方程式の未解決問題その1」としておきます。


「タカダ式確率微分方程式」とは、タカダ式操業度分析にとどまらず、次の関連ブログで紹介している方程式を基礎にして、会計物理学のノウハウを詰め込んだものをいいます。

【資料7:関連ブログ】

古典派会計学というのは、自らを権威付けるために、難解な用語を駆使しているだけ。 化けの皮を剥がせば、中学の算数止まりです。


ところで、【資料1】2. の「重解」は、次の式で表わすことができます。

【資料8】

上記【資料8】の導出方法については、次の拙著177ページ、または下掲【資料9】の受賞論文9ページ〔図表11〕で説明しています。

「2つの実数解」については、上掲書166ページで、表計算ソフトEXCELの「ソルバー機能」を用いて解く方法を紹介しています。 【資料1】1. の「2つの実数解」と同2. の「重解」は、「タカダ式確率微分方程式」に頼ることなく、計算することができます。


さて、「未解決問題その1」があるということは、「その2」もあります。 実数解や虚数解の判別式云々の話は、まだまだ底が浅い。 話はさらに、次の方向へと転回します。 【資料4】にある複利曲線(総費用曲線ABCDE)に注目します。 この曲線上を企業業績が移動するのは、春夏秋冬の季節変動の影響を受けるからです。 その様子を、次の受賞論文の25ページ(ヤマト運輸)、27ページ(アサヒビールアース製薬)で描きました。

【資料9】

上記の受賞論文に掲載している、アース製薬の時系列推移を、次の【資料10】に掲げます。

【資料10】アース製薬/タカダ式操業度分析の時系列推移
画像

【資料10】にある「予算操業度100%ライン」とは、【資料4】の予算操業度売上高を100%としたものです。 また、【資料10】にある「損益操業度率」とは、【資料4】の損益操業度売上高を百分率で表わしたものです。 【資料10】にある「四半期実際操業度率」とは、四半期ごとの実際売上高の時系列推移です。 殺虫剤を扱うアース製薬は、夏場の操業度率が高く、冬場の操業度率が低く推移しています。 これが季節変動です。 【資料10】で大きく波打つ波形は、三角関数 であり、円周率 の世界に足を踏み入れたものです。


もう一度、【資料6】の赤色・緑色・青色の曲線に注目します。 これらは「自然対数の底 」を用いた複利関数で描かれています。 そして、「虚数 」が現われる。 となると、話は次の書籍に行き着きます。

上掲書は、次の関連ブログでも紹介しました。

【資料11:関連ブログ】

上掲書『オイラーの贈物』234ページに、次に示す「オイラーの公式」があります。

【資料12】オイラーの公式

または

上記【資料12】のオイラーの公式は、ノーベル物理学賞受賞者ファインマンが、「人類の至宝だ」と絶賛したものです。 本ブログでその存在を予言している「タカダ式確率微分方程式」は、その途中で、【資料10】のオイラーの公式が、ひょっこり顔をのぞかせるはずなのですが……。 こいつが難儀な作業でして。 私の数学知識では、タカダ式確率微分方程式オイラーの公式との関係性を導き出すことができません。 「タカダ式確率微分方程式の未解決問題その2」としています。


私は在野の実務家であり、いかなる「象牙の塔」にも属していないので、学問の発展に貢献する義務がないのが気楽なところ。 会計専門書に掲載されたり会計システムで映し出されたりしているCVP図表【資料2】を眺めながら、日々、笑い転げています。 「タカダ式確率微分方程式」は、いまのところ我が家のサーバー奥深くに仕舞い込んだまま。 次の【資料13:関連ブログ】の【引用6】のエピソードに嫌気が差しているので、「タカダ式確率微分方程式」を公表する動機づけが乏しい。

【資料13:関連ブログ】

「タカダ式確率微分方程式」については特許申請を考えていますが、現在、会計監査や税務などの業務多忙につき時期は未定。 税金を原資とした俸給・補助金助成金などで、ぬくぬくと暮らしている人たちとは、住む世界が異なります。 22世紀になって、人工知能AI が「タカダ式確率微分方程式」を超えてくれることを期待する。 頑張ってくれ、Artificial Intelligence 。

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日本経済新聞『大機小機』から


日本経済新聞
『大機小機』から


日本経済新聞で次の記事がありました。
【資料1】日本経済新聞『大機小機』2017年3月25日

米国の大学が使う経済学のあるテキストに、次のような記述がある。

「政策問題に関し、エコノミストの間では常に異なった見解が存在する。しかし最も幅広い合意があるのは、自由貿易が経済全体に大きな利益をもたらす点だ」

上記のテキストは、英語でしか読めないわけではありません。 次の書籍59ページでは、その下にある【資料2】の文章が掲載されています。
【資料2】クルーグマンミクロ経済学』59ページ

「世界中の経済学者が埋葬され端から端まで縦一列に横たえられたとしても、同じ結論に到達することはできないだろう」。

これは経済学者が好きなジョークの1つだが、そこまで彼らの意見は合わないのだろうか。

上記【資料2】の文章の前後で、90%以上の経済学者が、ある政策問題を支持する説明が展開されています。
次の書籍の273ページでは、アンケート調査の結果、ある政策問題は「望ましくない」と答えた比率が、50%に達することが紹介されています。 それに対して、経済学者のほとんどは、その政策問題を「支持する」と、同じページで紹介されています。
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米国の、ある大学にまで出かけていって、「縦一列に埋葬」されなくても、この日本でも同様の理論が学べる。 「米国の経済学者は、かくかく、しかじかと述べている」とメディアが紹介すれば、新聞も本も読まない日本人はみな、「ははぁ~、仰せのままに」と横一列で平伏するのだろうな。 上記【資料1】の記事は、それを暗示しているかのよう。 縦一列と横一列が、日米の違いといったところ。
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マクロ経済天下国家の生産性とミクロ経済個別企業の生産性


マクロ経済(天下国家)の生産性と
ミクロ経済(個別企業)の生産性


「生産性」という語で、日本経済新聞で検索を行なうと、過去1年だけで、2200件以上もヒットします。 参考に「東芝」という語で同様の検索を行なうと、1800件ほど。
日本人は「生産性」が好きなんだなぁ、と感慨に耽(ふけ)るのであります。
そして、必ず言及されるのが、「世界と比較して、日本の生産性は低い」と、ニッポン企業をくさすコメント。 「そんなに低いとは思えないのだが」というのが、現場の実感です。
メディアで取り上げられる「生産性の低さ」というのは、マクロ経済の話。 現場の実感は、ミクロ経済の話。 マクロとミクロでよく引き合いに出されるのが、合成の誤謬。 これを知っておかないと、意外な落とし穴に嵌(は)まり込む。 落とし穴に落ちないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。
生産性といっても、何種類かがあり、ここでは労働生産性に注目します。 次の式で表わされます。
【資料1】
    • Labor Productivity(労働生産性
    • Added Value(付加価値)
    • Number of Employees(従業員数)
上記【資料1】の分母にある「従業員数」について、詳しくは調べていないのですが、外国籍の従業員を除外して集計するのが通例です。 【資料1】の分子の「付加価値」は、国内総生産(GDP)に基づきます。 これは国内で活動する外国籍の人たちの成果も含みます。 ですから、外国籍の人たちを積極的に受け入れている国の場合、その国の労働生産性は高くなります。 日本は諸外国と比較して、外国籍の人たちを多く受け入れている国なのかどうか。 マクロ経済の統計は、重要な条件が隠されたまま、表面的な数値だけで比較する点に注意しましょう。
次は【資料1】の分子にある「付加価値」について。 日本経済新聞では、次のように定義しています。
【資料2】日本経済新聞2016年3月4日

1人の労働者が働いた成果として、商品やサービスの付加価値をどれだけ生み出したかを示す指標。

付加価値は、次の【資料3】の式で算出することができます。
【資料3】
式の構造については、次の【資料4】に示す拙著170ページを参照してください。
【資料4】
個人的な書籍に掲載された定義では「信用できない」というのであれば、財務省の外郭団体である財務総合政策研究所の、次のサイトで確認のこと。
【資料5】
マクロ経済の統計を鵜呑みにし、オカミの権威を示さなければ納得できないその姿勢では、経営戦略を誤るのも、もっともな話だといえるでしょう。
上記【資料3】の式によれば、付加価値を増やすには、右辺第1項の「当期純利益」を増やすか、第2項の「固定費」を増やせばいいことになります。 右辺第1項と第2項を同時に増やせば、付加価値は飛躍的に増大するでしょう。 それを従業員数で割ったのが、【資料1】の労働生産性になります。
ところが、です。 そこに大きな落とし穴が待ち受けています。 例えば、日本経済新聞の過去1年間の記事で、「固定費削減」という語で検索すると、96件もヒットします。 猫も杓子もと固定費削減に取り組むのは、昨今の経営課題の一つだといえるでしょう。 しかしながら、固定費の削減額以上に、【資料3】の右辺第1項にある「当期純利益」を増やさなければ、付加価値は減少する一方となります。 しかし、これは、おかしい。
固定費削減で、猫と一緒に杓子で肩を叩かれるのは、モノよりも、ヒトです。 モノを売却するには半年や1年の時間を要しますが、ヒトの給与は管理職を中心に、明日から下げようと思えば下げられます。 残業代の未払い問題が起きるのは、人件費が、下方に弾力性を持っているからです。 硬直性ではありません。 かつてのマクロ経済学(特にケインジアンが好む経済学)では、「賃金には下方硬直性がある」と説かれていました。 いまや死語です。 賃金は下方にも弾力性があるのですから、それに嫌気がさした人材は、需要と供給の原則に従って職場から去ることになります。 職場を去るのは、有能な人材から順に、であって、無能な人材からではありません。 これが「グレシャムの法則」です。
有能な人材の流出は、ノウハウの流出になりますから、【資料3】の付加価値を急速に減少させます。
    → 付加価値が減れば、【資料3】の右辺第1項の当期純利益を急速に減少させます。
      → これはさらに、【資料3】の左辺にある付加価値を減らします。
こうした「負の連鎖」を、スパイラル現象(きりもみ状態)といいます。
ときどき、「固定費を削減せよ。付加価値を上昇させよ」というスローガンを掲げる企業に、お目にかかることがあります。 これが如何に矛盾したものであるか、以上の説明で明らかでしょう。 1人あたりの生産性を上げようとして、コスト削減に取り組むことは、付加価値を逆に減らすことになります。 これは、ミクロ経済の中で起きる「合成の誤謬」です。 結論として何を申し上げたいかというと、企業の経営戦略は「ナイフエッジの上を歩くようなものだ」ということです。
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米国経済学者が描く総費用曲線や限界費用曲線って、おかしくないか?


米国経済学者が描く総費用曲線や
限界費用曲線って、おかしくないか?


今回は、従前ブログ『個人の選択:経済学の核 クルーグマンミクロ経済学』の続き。
企業のコスト構造について、現代の会計学は、右上がりの直線形で描きます。 直線形というのは、1次関数のこと。
管理会計の分野では、CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析)という名で、1次関数の図表を描きます。 原価計算・コスト管理の分野では、公式法変動予算という名で、これまた1次関数の図表を描きます。
企業のコスト構造を1次関数で描こうとする会計学のその理論が、経済学から見下される要因となっていることは、次の関連ブログで説明しました。
【資料1:関連ブログ】
では、会計学を見下してやまぬ経済学では、企業のコスト構造をどのように扱っているか。 次の3冊の書籍で読み解くのは、実は非常に難しい。
マンキュー ミクロ経済学
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以下では、人名を書籍名として採用します。
まず、経済学では、次の3本の曲線を扱います。
【資料2】

  1. 総費用曲線

  2. 限界費用曲線

  3. 平均費用曲線
注目するのは、【資料2】1. の総費用曲線と、同 2. の限界費用曲線です。 2本の曲線の間には、次の関係があります。
【資料3】

  • 総費用曲線を微分すると、限界費用曲線になる。

  • 限界費用曲線を積分すると、総費用曲線になる。
つまり、総費用曲線上の「接線の傾き」が、限界費用曲線の正体です。
『マンキュー』では、476頁と502頁で、総費用曲線を2次関数として捉えています。 したがって、総費用曲線を微分することにより、限界費用曲線は1次関数になります。 『スティグリッツ』では、189頁と220頁で、総費用曲線を3次関数として捉えています。 したがって、総費用曲線を微分することにより、限界費用曲線は2次関数になります。
経済学書のほとんどは、総費用曲線を微分する技法を説明しないし、ましてやその結果が限界費用曲線になる、という説明も行ないません。 不親切なものになると、総費用曲線の図解を省略し、限界費用曲線と平均費用曲線の2本の曲線だけで説明しているものもあります。 「数学嫌い」が蔓延(はびこ)る世の中では、仕方のないことです。
ただし、総費用曲線の説明が省略されていても、次の推定を働かせることができます。
【資料4】
  1. 限界費用曲線が右上がりの直線で描かれているときは、

    →限界費用曲線は1次関数であり、

    →総費用曲線は2次関数なのだなと。

  2. 限界費用曲線が右上がりの曲線で描かれているときは、

    →限界費用曲線は2次関数であり、

    →総費用曲線は3次関数なのだなと。

『マンキュー』は、【資料4】 2. と解釈される作図が一部にあるものの、基本的には【資料4】 1. を採用しています。 『スティグリッツ』は、【資料4】 1. と解釈される作図が一部にあるものの、基本的には【資料4】 2. を採用しています。
困ってしまうのが、『クルーグマン』。 『マンキュー』や『スティグリッツ』のように、2次関数や3次関数を明示していません。 ただし、『クルーグマン』430頁を見ると、限界費用曲線を2次関数で描いています。 したがって、『クルーグマン』では、総費用曲線を3次関数で認識するのが基本のようです。
いずれにしろ、経済学では、企業のコスト構造を次のように捉えるのが通説です。
【資料5】

  • 総費用曲線は、2次関数または3次関数。

  • 限界費用曲線は、1次関数または2次関数。
ところが、現実の企業活動では、次の【資料6】に示す事実を観察することができます。
【資料6】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 したがって、描かれる曲線は、複利関数に基づくべきです。 【資料5】にあるように、限界費用曲線や総費用曲線を、1次関数・2次関数・3次関数で認識するのは、「理論上の瑕疵がある」とするのが、実務家である私(高田直芳)の結論です。 それをまとめたのが、次の受賞論文です。
【資料7】
上記【資料6】と【資料7】によれば、総費用曲線は、「自然対数の底e」を用いた複利曲線として描かれます。 そして、総費用曲線を微分した限界費用曲線も、「自然対数の底e」を用いた複利曲線として描かれます。 なぜなら、「 」は、これを微分すると「 」になり、積分しても「 」になるからです。 これが、ニュートンライプニッツから始まる微分積分の成果です。
自然対数の底e」を用いた複利曲線の特徴は、ずっと右上がりの曲線を描くところにあります。 複利計算構造を内蔵する総費用曲線も限界費用曲線が、U字型になることは、決してありません。 ところが、『マンキュー』391頁では、限界費用曲線が、U字型で描かれています。 『スティグリッツ』190頁では、総費用曲線が3次関数で描かれ、191頁では限界費用曲線が、U字型で描かれています。 『クルーグマン』430頁では、限界費用曲線が、U字型で描かれています。 ご丁寧にもその430頁では、限界費用曲線がU字型になる理由まで述べられており、思わず絶句。 三者三様ではありますが、『マンキュー』 『スティグリッツ』 『クルーグマン』のすべてで、U字型の限界費用曲線が描かれています。
米国の経済学者たちよ、ちょっと待て。 それって、おかしくないか。 「机上の空論」を語るにも、ほどがある。 日本経済や世界経済は連日話題になることがあっても、経済学が話題になるのは皆無。 ましてや、米国崇拝主義と翻訳輸入が蔓延(はびこ)る日本からでは、この声は届かないか。
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個人の選択経済学の核『クルーグマンミクロ経済学』


個人の選択:経済学の核
クルーグマンミクロ経済学


今回は、従前ブログ『クルーグマンミクロ経済学 第2版』の続き。
この書籍は、とにかく分厚い。 読破しようというのは無謀に近い。 必要な箇所を拾い読みしています。 以下では、人名を書籍名として扱います。
クルーグマン』の「第1章 最初の原理 第1節 個人の選択:経済学の核」は、経済学としてはオーソドックスな説明。
次の4つの原理が紹介されています。
【資料1】

  1. 希少性

  2. 機会費用

  3. 限界分析

  4. インセンティブ
上記【資料1】2. 機会費用は、次の関連ブログで説明しました。
【資料2:関連ブログ】
上記【資料1】3. 限界分析は、次の関連ブログで説明しました。
【資料3:関連ブログ】
上記【資料3】のポイントは次の通り。
【資料4】

  1. 機会損失は、機会費用から導かれる概念であること。

  2. 損益分岐点ではなく、損得分岐点であること。

  3. 法定実効税率で損得を判断してはならないこと
上記【資料1】4. のインセンティブを無視すると、不適切会計へ突き進む可能性があることを、次の関連ブログで説明しました。
【資料5】
インセンティブを明確な喩えで表現したものとして、次のものがあります。
【資料6】マンキューミクロ経済学 5頁(グレゴリー・マンキュー)
    「無料の昼食(フリーランチ)といったものはどこにもない。」
    “ There ain't no such things as a free lunch .”
タダで協力してくれるのは、あなたの親だけ。 兄弟姉妹でさえも、インセンティブがなければ協力してくれません。 だから、遺産「争」続が起きるのです。
入門書としては、上記【資料6】で紹介した『マンキュー』のほうが読みやすい。
マンキュー ミクロ経済学
N.グレゴリー マンキュー
amazon.co.jpで買う
上記『マンキュー』の日本語版は、現在、第3版。 この日本語版の原著(英語版)は、第6版。 原著(英語版)のほうは、2017年に、第7版が出版されているようです。 となると、『マンキュー』は、来年か再来年には第4版(日本語版)が出版されるのでしょう。 買うなら早めに。 それとも『マンキュー』第3版を買わずに、『クルーグマン』のほうを熟読するか。 こうしたトレードオフ関係が生ずるのは、財布の中にあるカネに、希少性があるからです。 それが【資料1】の 1. 。
クルーグマン』18頁では、スーパーマーケットに長い行列ができる仕組みが述べられています。 ところで、銀行のATMでは、来店客は1列に並ぶ仕組みになっています。 それに対し、スーパーマーケットのレジでは、買い物客は1列に並ばず、買い物客自身がレジを選ぶ仕組みになっています。 隣のレジが早く進むのを見ていると、腹立たしくなる。 それにもかかわらず、スーパーマーケットは、買い物客が1列に並ぶ仕組みなっていない。 銀行とスーパーマーケットで、なぜ、並びかたが異なるのか。 『クルーグマン』では、その理由までは述べられていません。 疑問を解消したいのであれば、自力で調べること、現場へ赴き汗をかくこと、自ら実証してみせること。 タダでは誰も教えてくれません。
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公認会計士高田直芳:『ぼくはまだ、横浜でキスをしない』樋口有介


『ぼくはまだ、横浜でキスをしない』
樋口有介


このブログを開設したのは、2015年3月から。 それ以前に読んだ小説については、原則としてこのブログでは取り上げていません。
鬼平犯科帳』 『新宿鮫』 『十二国記』といったものは、全冊を取り揃え、ときどき読み返してはいるものの、このブログで取り立てて感想を述べることはしていません。
また、本ブログ開設以降、感想を開示しているのは、3冊か4冊のうちの1冊程度。 多読のわりに、ブログで披瀝している感想は、おざなりです。 そうした中で、今回紹介するのは『ぼくはまだ、横浜でキスをしない』。 表紙や挿入画を含め、樋口ワールド全開で、満足いくストーリーでした。 言葉を喋る三毛猫は、『涼宮ハルヒの憂鬱』(谷川流)でも登場していた。
樋口作品の何がいいかと問われれば、そこに男のロマンを感じ取れるから。 男って誰しも、その少年時代、「自分は悪ガキだった」と自慢する傾向があります。 樋口作品は、そこらあたりを、くすぐってくる。 モテモテ男と、いい女の組み合わせ。 主人公の洗濯好きは、必須のアイテム。 解析幾何学法人税法の専門書に取り組みながら、ラブラブなミステリー小説を読むのも悪くない。
樋口有介という作家を知ったのは、はるか昔。 『ぼくと、ぼくらの夏』で衝撃を受け、『風少女』で、ぞっこんでした。 開高健が絶賛したのも肯ける。
風少女
樋口 有介
amazon.co.jpで買う
樋口作品は、そのいくつかで改定版が出されています。 出版業界としては珍しいこと。 読むなら初版本。 改定版は総じて、毒気が抜かれているので注意が必要。 もちろん私は、初版本も改定版も、書棚に取り揃えています。
私立探偵・柚木草平シリーズは圧巻です。 これって、TVドラマにならないのかなぁ。 軽妙洒脱な会話と目線の動きを、いまの若手俳優がどれだけ演じられるか。 その演技力について、ナンシー関のコメントを読みたいところだけれど、それは叶わぬ夢。
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公認会計士高田直芳:クルーグマンミクロ経済学第2版

先月(2017年3月)の下旬に発売。 待ちに待った第2版です。
近くの書店で予約しておいたものを、入荷したその日に、書店員がわざわざ届けてくれました。
「宅配クライシス」という語を持ち出すまでもなく、書籍はできる限り、書店で買うようにしています。
クルーグマン ミクロ経済学』は、A4サイズで、788ページの超大作。 こんなものを持ち歩いていたら、腱鞘炎を引き起こします。
私自身、次の拙著3冊はいずれも640ページの大作なので、人のことはいえません。 もしや、と思いつつ、『クルーグマン ミクロ経済学』の「第3章 供給と需要」、「第11章 供給曲線の裏側」を、さっと確認。 第2版でもいまだに、企業活動を、2次関数や3次関数で説明していることに、ニヤニヤと笑ってしまいました。 ノーベル経済学賞を受賞した高名な学者といえども、次の【資料1】に示すように、現実の企業活動が複利計算構造を内蔵している事実に思いが至らぬようです。
【資料1】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
上記【資料1】の命題を論証したのが、次の受賞論文です。
【資料2】
クルーグマン ミクロ経済学』の「第3章 供給と需要」、「第11章 供給曲線の裏側」で描かれている供給曲線や総費用曲線は、2次関数または3次関数であって、複利関数ではありません。 複利運用で預けておいた利息が、2次関数や3次関数で計算されては、預金者の反乱が起こります。 ところが、経済学者は全員、実務がどうなっているかに関心がないようです。 次の関連ブログで紹介したように、経済学や会計学というのは、実務で役立つかどうかを顧慮しない学問だといえます。
【関連ブログ】
クルーグマン ミクロ経済学』で描かれている供給曲線や総費用曲線を、複利関数(自然対数の底 e )で置き換えるとどうなるか。 私(高田直芳)が創設した会計物理学の視点で、少しずつ読み解いていくことにしましょう。 行動経済学の章は、読み応えがありそう。 付箋をペタペタと貼りながら、まずは通読することにします。
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公認会計士高田直芳:NHKスペシャル『シリーズマネーワールド資本主義の未来』


NHKスペシャ
シリーズ マネー・ワールド 資本主義の未来
“トランプ経済”は世界を変えるのか!?


2017年4月2日に放映された番組。 MCは、爆笑問題
結局、政策論争というのは、ジャンケン大会みたいなもの。 1千人くらいの論者がいれば、その中の誰か1人くらいは言い当てる。
そのときの優勝者のセリフは、「だから、オレの言った通りだろ」と。 この決めセリフは、結果論です。
ジャンケン大会が始まる前に、優勝者を予想することはできません。
マクロ経済に関しては百家争鳴、議論はいつまでも平行線。 「君子危うきに近寄らず」なのか、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」なのか。
口角泡を飛ばす専門家のご高説よりも、人工知能AI のご託宣のほうが信頼がおけそう。 マクロ経済はビッグデータなのだから、人工知能AI によく馴染む。 人工知能AI が経済予測をするとなれば、経済学者やエコノミストは失業するかもしれない。 人工知能AI が分析したフリップをTV番組で見せるだけなら、MCだけで番組は成り立つわけだし。
この番組を視聴していて、「おっ、これは?」と注目したのが、次の書籍。 番組の中盤、フランスの歴史人口学者の研究室で、その机に積まれてあった。 2か月前(2017年2月)に発行されたもので、NHKが手みやげで持参したのかな。 興味をそそられる1冊です。
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公認会計士高田直芳:D/Eレシオで日本経済新聞を読み解く


D/Eレシオで日本経済新聞を読み解く

理論が実務に役立つかどうかなど、「オレには関係ない」と強弁をふるう人もいることでしょう。
しかし、実務家の立場からすれば、現実で起きていることを説明できない理論は、ちっとも楽しくない。
理論と実務に矛盾がある場合、新しいものを考えていくのは、すこぶる楽しい。
その楽しさの延長線上にあるものとして、次の【資料1:関連ブログ】1. では、「D/Eレシオの最適解」を求めるための一般公式を提示しました。
【資料1:関連ブログ】

  1. D/Eレシオの一般的な目安を、タカダ式DEレシオの最適解が打ち砕く

  2. D/Eレシオに「一般的な目安」はあるのか

  3. 続・D/Eレシオに「一般的な目安」はあるのか

  4. 日本基準のD/Eレシオと、IFRS基準のD/Eレシオ
今回は、上記の「理論」を用いて、日本経済新聞の記事から浮かび上がる「現実」を、読み解いてみることにします。
【資料2】日本経済新聞2016年7月23日

金融危機リーマン・ショックを経て日本の経営者の脳裏に「借金=悪」との図式が刻まれた。

だが、マイナス金利時代の常識は違う。

トヨタ自動車の金融子会社が発行した期間3年の社債は利率が年0.001%だ。

1億円借りても毎年1000円払えばいい。

利息よりも印紙代のほうが高いな、という問題はさておき、上記【資料2】にある「0.001%」を、他人資本コスト率と見立てます。 自己資本コスト率は、いくら見積もればいいか。
【資料3】日本経済新聞2017年3月3日

経済産業省は2014年に公表した「伊藤リポート」で企業は8%を超えるROEを達成すべきだと定義した。

8%は株式市場から資金を調達するコストを上回る利益水準の目安で、企業が達成すべき最低限の水準とされる。

上記【資料3】にあるように、ROEは「企業が達成すべき最低限の水準」とされます。 したがって、ROE=8%を、最低限の自己資本コスト率と見立てます。
以上の記事を利用して、D/Eレシオを計算することができるか。 古典派会計学という権威主義の世界にいる人たちは、「できない」と即答します。 D/Eレシオは、「他人資本の金額」と「自己資本の金額」との関係から計算されるものであり、上記の記事にはそうした金額が明示されていないからです。
それに対し、会計物理学を創設した私(高田直芳)は、「できる」と即答します。 上記【資料1:関連ブログ】の【資料22】で示した「タカダ式D/Eレシオ」があるからです。 その【資料22】の式の通りに、他人資本コスト率=0.001%、自己資本コスト率=8%を代入すると、D/Eレシオの最適解は8000倍になります。 自己資本を1億円とするならば、他人資本は8000億円なり。 異常とも思える倍数(8000倍)であり金額(8000億円)ですが、これがマイナス金利という異常事態における「D/Eレシオの実務解」なのです。
億単位の借金をしても、その支払利息が数千円しか要しないのであれば、企業としては積極的な経営戦略に打って出たいところ。
【資料4】日本経済新聞2017年4月3日

日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が拡大している。

2016年度の買収額は前年度より3割増え、過去最高の11兆円弱に達した。

国内市場が成熟するなか、高い技術やブランド力、販路を持つ先進国企業などの買収で新たな収益源を確保する動きが目立つ。

金利で資金を調達しやすい環境が続き、案件の大型化も進んだ。

【資料5】日本経済新聞2017年4月3日

とりわけ大企業は、国内を中心に活動する中堅・中小とは異なり、海外でのM&A(合併・買収)や生産の増強に資金を振り向けがちです。

その結果、研究開発費を加算した新基準では、15年の国内投資は前年比2.0%増の81兆3千億円、16年は同0.5%増の81兆7千億円と足踏みしています。

すべての企業がM&Aに打って出ているわけではありません。 ほとんどは、カネの使い道に困っているはず。
【資料6】日本経済新聞2017年3月18日

銀行預金が急増している。

全国銀行協会によると、小切手などを差し引いた実質預金は2月末で前年同月比5.1%増の697兆543億円。

金融危機だった1999年以来の高水準の伸びが続いている。

預金というと個人を思い浮かべがちだが、今のけん引役は実は企業だ。

日銀統計でみると、伸び率は個人預金の2%に対し、一般法人は12%と突出している。

もちろん、個人だって黙ってはいません。
【資料7】日本経済新聞2017年4月3日

タンス預金の増加が止まらない。

第一生命経済研究所によると、直近の2月末時点で43兆円と前年同月比8%増えた。増加額は3兆円で国内総生産(GDP)の0.6%に達する。

日銀はマイナス金利政策による預金金利の低下が一因と分析するが、金利はすでにないようなもの。

(略)日銀の2016年12月末時点の統計でみても、国内の現金保有のうち全体の8割が家計に集中しており、タンス預金も家計に偏っているとみられる。

カネ余りが広がる中、日本経済新聞は「アパート融資、異形の膨張」として警告を発しています。
【資料8】日本経済新聞2017年3月26日

金融機関による2016年の不動産向け融資が12兆円超と過去最高を記録した。

背景の一つが相続対策のアパート建設だ。

(略)中小企業が運転資金の名目で借りる「事業性融資」が実はアパート向けだったりすることもあるが、金融機関によって定義はあいまいだ。

金利またはマイナス金利の時代なのですから、「D/Eレシオの最適解」が数千倍・数万倍になるのは、当然の結果。 その裏で暗躍している企業や個人のフトコロ事情は、しっかり読み取らないと。 第1に、「D/Eレシオの最適解」よりも、「D/Eレシオの実績値」が非常に低い企業は、暇を持て余している可能性があります。 その裏返しとして、当座預金普通預金が膨らんでいるのでしょう。 小人閑居して不善をなさなければいいが。 第2に、「D/Eレシオの実績値」が「D/Eレシオの最適解」に近い企業であっても、投資先に問題がないかを注視する必要があります。 上記【資料4】の関連記事として、次のものがあります。
【資料9】日本経済新聞2017年4月3日

専門家の間では、『海外M&Aの成功率は2割程度』とされる。

買収額に見合った成果を想定通りに出せなければ、買収先のブランド価値を示す『のれん代』が損失に転じる恐れがある。

まさか、貴社で行なわれている投資案件は、M&Aに名を借りた「アパート経営」ではないでしょうねぇ。 成功率が2割というか、空室率が8割では、目も当てられぬ。
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公認会計士高田直芳:D/Eレシオの一般的な目安を、タカダ式DEレシオの最適解が打ち砕く


D/Eレシオの一般的な目安を
タカダ式D/Eレシオの最適解が打ち砕く


次の【資料1:関連ブログ】は、そのタイトルにもある通り、「D/Eレシオに一般的な目安があるのか」を問うものでした。
【資料1:関連ブログ】
「一般的な目安」というのは、ビッグデータを集計して、その平均値を求めたものをいいます。
一般に流布している「D/Eレシオ」は、有象無象のデータを集めた「実績値の平均」にすぎず、「最適解」ではありません。
有象無象の平均値に一喜一憂しながら経営戦略を練るのか、最適解を目標にして経営戦略を練るのかでは、1年後の業績に雲泥の差が生じることでしょう。
なお、管理会計や経営分析などの世界で、CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析)を得意気に振りかざしている人たちには、以下の証明過程はまったく理解できないので、その点を注意してください。

結  論

今回は、私(高田直芳)が創設した会計物理学により、「D/Eレシオの最適解」を求めてみることにします。 結論を最初に示すと、【資料2】の通り。
【資料2】タカダ式D/Eレシオの最適解
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自己資本を黄色のマーカーで、他人資本を水色のマーカーで区別しています(以下同様)。 【資料2】については、次の【資料3】に示す「なぜ」を解明する必要があります。
【資料3】

  • なぜ、分子が「自己資本コスト率」で、分母が「他人資本コスト率」になるのか。

  • なぜ、分母と分子が、資本コスト率の「実績値」でいいのか。
また、次の事項を理解する必要があります。
【資料4】
  • 「D/Eレシオの最適解」と「最適資本構成の実務解」とは、表裏の関係にあること。
すなわち、「最適資本構成の実務解」を論証できない者に、「D/Eレシオの最適解」を語る資格はありません。 そうしたことを念頭に置きつつ、【資料2】の導出過程を以下で証明します。

証  明

まず、次の【資料5:関連ブログ】で紹介した命題を、その下にある【資料6】に再掲します。
【資料5:関連ブログ】
【資料6】会計物理学における命題

  1. 加重平均資本コスト率WACCは、熱統計力学で解くことができる。

  2. 財務諸表や連結財務諸表には、「エネルギー保存の法則」が成り立つ。

  3. タカダ式D/Eレシオは、金額に依存せず、加重平均コスト率・他人資本コスト率・自己資本コスト率といった「百分率」の組み合わせだけで算出できる。
上記【資料6】の 1. と 2. から、3. を導き出せることは、上記【資料5:関連ブログ】で証明しました。 特に重要なのは、D/Eレシオの実績値が「金額」に依存することなく、「百分率」だけで表わすことができる、という点です。 これが【資料2】の右辺を支えることになります。
経済学では「収穫逓減」という概念があります。 これを、会計物理学では次のように応用します。
【資料7】会計物理学における命題
  • 経営資源貸借対照表)が増大するにつれて、収益(損益計算書)は逓減する。

    • 総資本(使用総資本)が増大するにつれて、収益は逓減する。

    • 他人資本自己資本が増大するにつれて、収益は逓減する。
上記【資料7】を関数形で表わす場合、対数を用います。 次の【資料8:関連ブログ】で紹介した「ボルツマン方程式」が参考になります。
【資料8:関連ブログ】
【資料9】ボルツマン方程式
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上記【資料9】のボルツマン方程式を、他人資本に当てはめると次の【資料10】になります。 同じく、自己資本に当てはめると、【資料11】になります。
【資料10】他人資本をボルツマン方程式で表わす
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【資料11】自己資本をボルツマン方程式で表わす
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上記【資料10】や【資料11】の記号は次の通り。
【資料12】

s ……他人資本コスト率

t ……自己資本コスト率

K ……使用総資本

v ……他人資本比率

(1-v)……自己資本比率

【資料10】や【資料11】において、s (他人資本コスト率)や t (自己資本コスト率)が、なぜ、分数で表わされるのか、といった理由については、次の拙著を参照のこと。
【資料13】
上記【資料10】と【資料11】とを、同一図表で描いたのが、次の【資料14】です。
【資料14】最適資本構成タカダ理論
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【資料14】において、左下から右上方へ伸びている対数関数が、【資料10】の他人資本です。 また、右下から左上方へ伸びている対数関数が、【資料11】の自己資本です。 他人資本自己資本それぞれの対数関数を、縦に足し合わせた「おわん型の関数」が、【資料14】の上方に描かれています。 次の方程式で現われます。
【資料15】最適資本構成タカダ理論の一般公式(タカダ式企業価値方程式)
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上記【資料15】の方程式を、【資料13】の拙著で説明している計算方法で微分積分を繰り返すと、次の【資料16】で表わされるように、非常に単純明快な形となります。
【資料16】最適資本構成タカダ理論の実務解
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上記【資料16】をもとに、「他人資本比率の最適解」と「自己資本比率の最適解」とに書き改めると、【資料17】と【資料18】になります。
【資料17】他人資本比率の最適解
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【資料18】自己資本比率の最適解
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上記【資料17】と【資料18】はどちらも「最適解」ですから、前者を後者で割ることにより、次のように「タカダ式D/Eレシオの最適解」を求めることができます。
【資料19】タカダ式D/Eレシオの最適解
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上記【資料19】の式が、本ブログの冒頭に掲げた【資料2】の式と一致していることを確認することができます。 また、【資料3】に示した「なぜ」が、今までですべて証明されていることを確認することができます。
【資料2】や【資料9】から、「D/Eレシオの最適解」を計算できるのかどうか、【資料20】の設例で確認します。 この設例は【資料5:関連ブログ】で用いたものと同じです。
【資料20】

  1. 他人資本

    1. 実際金額 800,000円

    2. 他人資本コスト率の実績値 5%(約定金利

  2. 自己資本

    1. 実際金額 200,000円

    2. 自己資本コスト率の実績値 5%

  3. 法定実効税率 30%
まず、【資料5:関連ブログ】で証明した「D/Eレシオの実績値」を、【資料21】で計算してみます。
【資料21】
    D/Eレシオの実績値
       他人資本の実際額 
      自己資本の実際額
        800,000円  
       200,000円

      = 4倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
【資料20】の設例に基づくと、「D/Eレシオの実績値」は、4倍になります。 世間で流布している「D/Eレシオの一般的な目安」は、数十社・数百社のデータをかき集めて、【資料20】の通りに算出するものです。 有象無象の平均値に過ぎないことは、冒頭で説明した通りです。
【資料2】や【資料9】に基づいた「タカダ式D/Eレシオの最適解」は、次のように計算します。
【資料22】
    タカダ式D/Eレシオの最適解
       自己資本コスト率の実績値 
      他人資本コスト率の実績値
        5%  
       3.5%

      = 1.43倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
【資料22】によれば、最適解は1.43倍。 それに対して、【資料21】の実績値は、4倍。 したがって、【資料20】の設例は、「過剰負債」の状態にあることがわかります。

注意事項 その1

今までの説明を整理しながら、注意事項をいくつか述べておきます。 【資料21】の式は、実際額どうしから、4倍という実績値を計算しました。 「D/Eレシオの実績値」を求める方法には、【資料21】のほかに、次の【資料23】の計算方法もあります。
【資料23】タカダ式D/Eレシオの実績値
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上記【資料23】の式には「金額」がなく、「百分率」だけで構成されています。 この式によっても、「D/Eレシオの実績値」を求められることは、【資料5:関連ブログ】で数学的に証明しました。 【資料23】の右辺では、加重平均資本コスト率が右にあったり、左にあったりして、忙しい。 これは、マイナスになることを防ぐためです。 絶対値記号で括ると、次の【資料24】で表わされます。
【資料24】タカダ式D/Eレシオの実績値
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冒頭の【資料2】の式を、以下に再掲します。
【資料2】タカダ式D/Eレシオの最適解
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【資料24】と【資料2】と見比べると、D/Eレシオの「実績値」を求めるときは加重平均資本コスト率WACCを必要とし、「最適解」を求めるときはWACCを必要としないことがわかります。

注意事項 その2

「D/Eレシオの最適解」を扱うにあたっての注意点を述べておきます。 「D/Eレシオの最適解」というのは、【資料14】の横軸上の点Rが基準になります。 この点Rは、「最適資本構成の実務解」の基準にもなります。 すなわち、【資料4】で述べたように、【資料14】の横軸上の点Rは、「D/Eレシオの最適解」と「最適資本構成の実務解」とを同時に表わす点なのです。 したがって、「D/Eレシオの最適解」を論証するのであれば、「最適資本構成の実務解」も同時に論証されなければなりません。 ところが、です。 現在の経済学・ファイナンス論・会計学などの書籍や論文をいくら探しても、「最適資本構成の実務解」を具体的に証明したものは、一切存在しません。 これは日本だけでなく、欧米でも同様です。 最適資本構成に関する一般公式や実務解が存在しないことは、日本公認会計士協会東京会が、次の書籍65ページで言及しています。 世の中にどれだけの経済学者や会計学者がいるのかは知りません。 確実にいえるのは、欧米を含めて100万人の専門家がいようとも、「最適資本構成の一般公式や実務解」を提示した者は誰一人として存在しない、という点です。 それに対して、私だけは、【資料14】の「最適資本構成タカダ理論」をもって、最適資本構成の一般公式とその実務解を提示しました。 一般公式が【資料15】であり、その実務解が【資料16】です。 【資料13】の拙著では、いま述べた「最適資本構成タカダ理論」を詳述しており、この著作権のおかげで、【資料2】にある「D/Eレシオの最適解」を、私(高田直芳)は語ることができるのです。
【資料25】

  1. 最適資本構成の一般公式を提示できるのであれば、

  2. 他人資本自己資本の実務解を提示でき、

  3. したがって、D/Eレシオの最適解を提示できる。
上記【資料25】により、A → B → C ならば、A → Cですから、「最適資本構成の一般公式や実務解」を論証できない者に、「D/Eレシオの最適解」を語る資格はない──。 D/Eレシオを用いるにあたっては、その点に十分注意してください。
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公認会計士高田直芳:綾瀬はるか主演『万能鑑定士Qモナリザの瞳』


綾瀬はるか主演
『万能鑑定士Qモナリザの瞳』


日本経済新聞で「ヘリコプターマネー」という語で検索をかけると、過去1年分だけで100件以上もヒットします。 それに関連してあれこれ調べているときに、「万能鑑定士Q」に行き当たりました。
「万能鑑定士」については、第1巻を読んだとき、どうにも馴染めなくて途中で挫折。
その後、ヘリコプターマネーとどういう関連があるのだろうと頭の片隅に置きつつ、先日、『万能鑑定士Q モナ・リザの瞳〔DVD〕』を視聴して、「面白いじゃないか」ということで、再び読み返しました。 なるほど、「万能鑑定士」は、第2巻まで読まないことには、その面白さが理解できないのだなと。
本格推理やハードボイルドの難点は、人を殺しすぎること。 「万能鑑定士」では、殺人事件が起きない。 そこに好感を持てることを再確認。 ハードボイルドに対峙するもので、コージーミステリーというらしい。 『ビブリア古書堂の事件手帖』と同じジャンルです。
第2巻は、偽札事件。 フィクションと思えば楽しめます。 それに、いろんな雑学も知ることができるし。 グーグル地図に、「アーグルトン」という架空の地名があるなんて、知らなかった。 「著作権トラップ」というらしい。 参考にしよう。 著作権者と名刺交換しただけなのに、「著作権使用の許諾を得た」と主張するヤカラがいるらしい。 キュレーションサイトの闇は深い。 みなさん、気をつけましょう。
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公認会計士高田直芳:『帳簿の世界史』ジェイコブ・ソール


『帳簿の世界史』
ジェイコブ・ソール


いまでも、高校生が学ぶものとして、世界史を必修とするかどうか、という議論が起きます。
私が高校生だった頃は、ときの総理大臣が「アレキサンダー大王を知らなくてどうする」という鶴の一声で、世界史が必修になった、という話を聞いたことがあります。
必修であろうとなかろうと、世界史や日本史は学ぶべきです。 特に、企業経営者には、歴史好きの人が多い。 いわゆる「司馬史観」を語らせたら、徹夜になることも。
社会人のマナーとして、酒の席で「政治・宗教・スポーツ」の話題を持ち出すのは控えたほうがいいかなと。 誰が何を支持しているかがわからないし、それを知らずに批判すると遺恨を残すから。
帳簿の世界史』は、歴史好きには至極の1冊です。 この書籍で述べられている史実は膨大で、とても習得しようという気は起きないけれど。
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公認会計士高田直芳:D/Eレシオと加重平均資本コスト率WACCとの関係


D/Eレシオと
加重平均資本コスト率WACCとの関係


次の【資料1:関連ブログ】では、その下にある【資料2】の条件を用いて、加重平均資本コスト率(Weighted Average Cost of Capital:WACC)= 3.8%を求める方法を紹介しました。
【資料1:関連ブログ】
【資料2】

  1. 他人資本

    1. 金額 800,000円

    2. 他人資本コスト率 5%(約定金利

  2. 自己資本

    1. 金額 200,000円

    2. 自己資本コスト率 5%

  3. 法定実効税率 30%
加重平均資本コスト率を求めるには通常、他人資本コストと自己資本コストを足し合わせ、それを使用総資本で割って求めます。 他人のモノマネが大好きな人たちが採用する計算方法です。
それに対し、【資料1:関連ブログ】では、熱統計力学で用いられる次の【資料3】(1) の方程式に、同 (2) のエネルギー保存の法則を用いることによって、加重平均資本コスト率3.8%が求められることを証明しました。
【資料3】
注目したいのは、【資料3】(2) にある「エネルギー保存の法則」。 この法則を、【資料1:関連ブログ】で説明したように、他人資本自己資本に当てはめると、次の【資料4】の展開となります。 なお、比熱 c を省略します。
【資料4】タカダ式D/Eレシオ
画像
上記【資料4】(3) のように、百分率だけで組み立てた式を、「タカダ式D/Eレシオ」と呼びます。
D/Eレシオの実績値は、一般的には、他人資本( debt )を自己資本( equity )で割って算出されます。 上記【資料2】の金額を用いるならば、D/Eレシオの実績値は、【資料5】のように、4倍として計算されます。
【資料5】
    D/Eレシオの実績値
       800,000円 
      200,000円
      =4倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
他人のモノマネが大好きな人たちは、【資料5】で計算します。 私(高田直芳)が創設した会計物理学では、どのように計算するか。 上記【資料4】(3)式の「タカダ式D/Eレシオ」を用い、【資料6】のように計算します。
【資料6】
    タカダ式D/Eレシオの実績値
      自己資本コスト率 5% - WACC 3.8%)
      (WACC 3.8% - 他人資本コスト率 3.5%)

      =4倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
上記【資料6】の最大の特徴は、金額を一切用いることなく、加重平均資本コスト率・他人資本コスト率・自己資本コスト率という「率」だけで、D/Eレシオの実績値を計算できてしまう点にあります。 これが【資料4】(3)式の「タカダ式D/Eレシオ」の特徴です。
利率だけでD/Eレシオの実績値を計算できるなんて、いままで誰も思いつかなかった。 それを明らかにするのが、会計物理学です。 上記【資料1:関連ブログ】では、会計物理学から導かれる命題を2つ紹介しました。 今回は、3つめの命題を次の【資料7】に掲げます。
【資料7】会計物理学における命題
  • タカダ式D/Eレシオは、金額に依存せず、加重平均コスト率・他人資本コスト率・自己資本コスト率といった「百分率」の組み合わせだけで算出できる。
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公認会計士高田直芳:加重平均資本コスト率WACCは会計物理学によく馴染む


加重平均資本コスト率WACCは
会計物理学によく馴染む


次の【資料1:関連ブログ】では、損益計算書・貸借対照表キャッシュフロー計算書に、私(高田直芳)が創設した会計物理学が適用できる可能性を示しました。
【資料1:関連ブログ】
以下では、物理学の分野の一つである「熱・統計力学」を用いて、加重平均資本コスト率(Weighted Average Cost of Capital:WACC)の求めかたを紹介します。
会計物理学だなんて、「何をやってるんだか」と、みなが鼻で笑う。 象牙の塔で胡座をかく者たちや、御題目だけは立派な実務家たちは放っておいて、どんどん先へ進みましょう。
次の条件を設けます。
【資料2】

  1. 他人資本

    1. 金額 800,000円

    2. 他人資本コスト率 5%(約定金利

  2. 自己資本

    1. 金額 200,000円

    2. 自己資本コスト率 5%

  3. 法定実効税率 30%
「なぁんだ、加重平均資本コスト率WACCは、5%じゃないか」と高をくくっているようでは、会計知がないのも甚(はなはだ)だしい。 税効果を加味した加重平均資本コスト率WACCは、5%ではなく、3.8%になります。 加重平均資本コスト率の求めについては、次の拙著187ページを参照のこと。 いま求めた加重平均資本コスト率3.8%を、会計物理学の手法で求めてみます。 熱統計力学では、次の方程式があります。
【資料3】
    Q = m c ⊿T
      Q 熱量 m 質量 c 比熱 T 温度 (⊿は微少な変化量)
【資料3】の方程式は、高校物理の教科書では、そのすべてに掲載されています。
統計力学の初級レベルでは、冷水(m1)と熱水(m2)を混ぜ合わせた温度がどれくらいになるかを、【資料4】の「エネルギー保存則」を用いて解くことになります。
【資料4】エネルギー保存の法則(熱量保存の法則)
    (冷水 m1 c ⊿T1)=(熱水 m2 c ⊿T2
温度を、加重平均資本コスト率 w に置き換えて、次の【資料5】の通りに解いていきます。 なお、他人資本自己資本も、比熱 c を「1ジュール」と仮定します。 おカネの「仕事率」に違いはないですから。
【資料5】
  • 他人資本 Q1=m1 c ⊿T1
      = 800,000円×1×( w -0.035)
  • 自己資本 Q2=m2 c ⊿T2
      = 200,000円×1×(0.05- w )
上記【資料4】のエネルギー保存則より、
    800,000×1×( w -0.035)
      =200,000×1×(0.05- w )
    1,000,000w=38,000
    ∴w=0.038(3.8%)
以上より、加重平均コスト率WACC 3.8%を、熱統計力学によっても求めることができます。 加重平均資本コスト率というのは、物理学でいう「熱平衡」のことなのでした。
ただし、こうして求めた加重平均資本コスト率には、重大な落とし穴があります。 3.8%という値は、企業価値の最大化を保証するものではない点です。 だって、普通に考えれば、自己資本よりも、低利の他人資本でじゃんじゃん調達したほうが、はるかに有利ですから。 その問題は別に論ずるとして、今回は次の命題を扱ったことを確認します。
【資料6】会計物理学における命題
私(高田直芳)が創設した会計物理学は、ざっとこんな感じ。 みな同じ財務諸表や決算書を見ているにもかかわらず、誰もが思いつかなかった視点を持てば、異なる世界が浮かび上がります。 それが創造と革新の原動力。 古典派会計学を信奉している人たちに、会計物理学やタカダ式確率微分方程式の世界はわかるまい。
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