公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:損益分岐点分析と限界利益分析の違いvs.タカダ式操業度分析の異同


損益分岐点分析と限界利益分析の違い
vs.
タカダ式操業度分析の異同


本ブログでは何の説明もなく、「損益分岐点分析」や「CVP分析」の別称として、「限界利益分析」という名称を用いてきました。
限界利益分析は、貢献利益分析と呼ばれることもあります。
厳密には、損益分岐点分析とCVP分析とは同義であるのに対し、限界利益分析(貢献利益分析)とCVP分析(損益分岐点分析)とは異なります。 それを以下で、図表を用いて説明しましょう。
次の【資料1】は、管理会計や経営分析の教科書、そして会計系のシステムでは、必ず掲載または搭載されている図表です。
【資料1】損益分岐点分析その1(CVP分析その1)
画像
上記【資料1】では、次のように定義します。
【資料2】
    緑色の線分OA …… 売上高線 赤色の線分BC …… 総コスト直線 水色の線分BD …… 固定費線 線分AC …… 営業利益(経常利益や当期純利益もで代替可) 線分CD …… 変動費 線分DE …… 固定費 点P …… 損益分岐点 点G …… 損益分岐点売上高
上記【資料1】の問題点は、管理会計や経営分析で重要な経営指標とされている「限界利益」が、一目でわからないことです。 そこで、【資料1】にある三角形BCDと、長方形OBDEを、上下で入れ替えます。 入れ替えた結果が、次の【資料3】になります。
【資料3】損益分岐点分析その2(CVP分析その2)
画像
上記【資料3】のように変更しても、損益分岐点Pや、損益分岐点売上高Gの位置は変わりません。 さらに【資料3】では、線分AFが「限界利益」として炙り出されることになります。 また、∠AOFを「限界利益率」として表わすことができます。 (【資料1】の∠CBDは変動費率であって、限界利益率ではありません)
限界利益限界利益率には、どのような役立ちがあるのか。 これについては、次の拙著で詳述しています。 特に【資料4】は、2014年に改訂を行ない、第2版としています。
【資料4】
【資料5】
【資料6】
上掲書では、限界利益限界利益率を、変動利益・変動利益率と呼んでいる点に注意してください。 【資料4】の277ページ以降の「イソップ物語 金の斧銀の斧」では、限界利益率(変動利益率)という経営指標を用いると、「正直者のおじいさん」よりも「不正直者のおじいさん」のほうが、業績への貢献度が高いことを、具体的な数値で証明しています。 限界利益限界利益率が、企業の経営戦略を策定する上で、有用な経営指標だといわれる所以です。
上記【資料3】だけでも限界利益限界利益率を議論するには十分なのですが、これでは損益分岐点分析どまり。 上記【資料3】を、次のように改変します。 すなわち、【資料3】にある三角形OFEを取り払い、【資料3】にある平行四辺形OBCFを長方形に変えてしまうのです。 それが次の【資料7】の図表です。
【資料7】限界利益分析(貢献利益分析)
画像
【資料3】と【資料7】では、緑色の線分、赤色の線分、水色の線分がそれぞれ対応しています。

  • 上記【資料7】では、原点Oが、左下の点Hではなく、縦軸中央に移動していることに注意してください。

  • 【資料7】の損益分岐点Pは、【資料1】や【資料3】の損益分岐点とまったく変わりがないことを確認してください。

  • 【資料3】の限界利益率∠AOFと、【資料7】の限界利益率∠JHLも、まったく変わりがないことを確認してください。

上記【資料7】で限界利益限界利益率を議論することを、厳密な意味での「限界利益分析」といいます。 いきなり【資料7】を掲げて、「これが限界利益分析だ」と説明しても、ちんぷんかんぷん。 【資料1】→【資料3】→【資料7】の手順を踏むのが、限界利益分析を理解するための作法です。
損益分岐点分析ではときどき、「限界利益は、固定費の回収に貢献する利益だ」という説明が行なわれます。 この点を捉えて、限界利益を、貢献利益と読み替える場合があります。 限界利益分析と貢献利益分析とは同義というわけです。 では、「固定費を回収する」とは、どういうことか。 【資料1】や【資料3】で説明するのは難しい。 【資料7】を見ると、売上高がゼロのとき、固定費OHに相当する赤字が生じています。 売上高が少しずつ増えていくと、点Hから点Pへと駆け上がっていき、損益分岐点Pを超えると黒字になります。 この駆け上がるプロセスが、「限界利益は、固定費を回収する」という意味です。
ここからは別の話。 【資料1】【資料3】の損益分岐点分析や、【資料7】の限界利益分析は、管理会計や経営分析の教科書では鮮やかに説明されますが、実務ではまったく役に立ちません。 特に【資料7】の限界利益分析は、実務を知らない者たちが、重箱の隅をつついて捻り出した図表です。 問題は、【資料1】【資料3】【資料7】で描かれた赤色の線分にあります。 これは、企業のコスト構造を、1次関数の直線形(線型)で表わそうとしています。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 すなわち、現代の管理会計や経営分析を語る人たちの発想は、企業のコスト構造を単利計算構造で捉えていることになります。
【資料1】【資料3】【資料7】にある最大の問題点は、どこにあるか、わかりますか。 答えは、損益分岐点Pを超えると、営業利益や限界利益が無限に増大するところにあります。 「作ったものは、すべて売れる」 「損益分岐点を超えれば、利益は無限に増大する」 こうしたことを仮定しているのが、損益分岐点分析であり、限界利益分析なのです。 人口知能AI に経営戦略の策定を委ねた場合、人工知能AI はすべての経営資源が枯渇するまで、ツマ楊枝やゼムクリップを生産し続けることになります。 その恐ろしさを説明したのが、次の関連ブログです。
【関連ブログ】
現実の企業活動は、単利計算構造なのか。 私(高田直芳)は、数多くの実務経験を積んでいく過程で、次の【資料8】に示す事実に気がつきました。
【資料8】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。
特に【資料7】の限界利益分析を、複利計算構造で組み立て直すと、どうなるか。 次の【資料9】の受賞論文5ページにある図表を、【資料10】に再掲して説明を進めます。
【資料9】
【資料10】タカダ式操業度分析
画像
上記【資料10】について、【資料2】の色に染め変えたのが、次の【資料11】【資料12】【資料13】です。
【資料11】タカダ式操業度分析その1
単利計算構造の【資料1】を、複利計算構造の【資料10】で描き直したもの画像
【資料12】タカダ式操業度分析その2
単利計算構造の【資料3】を、複利計算構造の【資料10】で描き直したもの画像
【資料13】タカダ式戦略利益分析
単利計算構造の【資料7】を、複利計算構造の【資料10】で描き直したもの画像
【資料11】→【資料12】→【資料13】の手順を踏むのが、ここでも正しい作法です。
さて、上記【資料7】の限界利益分析では、損益分岐点Pを超えると、営業利益や限界利益は無限に増大します。 実務に携わる人であれば、「そんなバカな」と思うことでしょう。 ところが、机上で、【資料1】【資料3】の損益分岐点分析や、【資料7】の限界利益分析を操る人たちに、その声は届きません。 「机上の空論」で損益分岐点分析や限界利益分析を扱うものを「古典派会計学」と呼び、これを打破していこうということで、私(高田直芳)1人で闘いを挑んでいるのが、【資料9】の受賞論文から始まる「タカダ式操業度分析」です。 タカダ式操業度分析以外にもオリジナルの方程式を編み出しており、それら一連の体系を「会計物理学」と呼んでいます。
【関連ブログ】
上記【資料7】の限界利益分析と、【資料13】のタカダ式戦略利益分析とを見比べてみてください。 【資料7】の限界利益分析では、損益分岐点Pを超えると、営業利益や限界利益は無限に増大するのでした。 【資料13】では、縦軸上の点Sから出発した緑色の線は、損益操業度点Hを超えても、上昇していきます。 ここまでは、【資料7】の限界利益分析と同じです。 ところが、【資料13】では、損益操業度点Hを超えると、緑色の曲線は頭打ちの傾向を示し、点Qを超えると下降していきます。 これが「収穫逓減」です。 それに対し、【資料11】と【資料12】は、「費用逓増」です。 収穫逓減と費用逓増は表裏一体であることがわかります。
【資料13】にある点Qのところを「最大操業度売上高」といいます。 経済学で有名や利潤最大化条件「限界収入MR=限界費用MC」を満たすところでもあります。 「限界収入MR=限界費用MC」については、次の書籍499ページを参照。
マンキュー経済学Ⅰミクロ編
N.グレゴリー マンキュー
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古典派会計学は、経済学が数百年にもわたって磨き上げてきた理論を、まったく学習していないことがわかります。 だから会計という分野は、いつまで経っても、経済学から見下されるのです。
【関連ブログ】
経済学の知見がなくとも、高校のときに学習した「ロルの定理」を用いることによって、【資料13】の点Qを求めることができることを紹介しておきます。
【関連ブログ】
ところで、【資料13】では、最大操業度売上高に到達したときの線分QRを、「戦略利益(タカダ式限界利益)」と表示しています。 戦略利益という語は、次の拙著345ページが初出です。
【資料14】
「戦略利益」という語は、【資料14】の拙著を出版するとき(2010年5月)、インターネットなどでさんさん調べた結果、いまだ誰も使用していないということで、採用するに至りました。 「戦略利益」は、【資料7】で用いるのが、正しい作法です。 【資料7】の限界利益分析にある線分JL(限界利益)は、単利計算構造に基づきます。 それに対し、【資料13】のタカダ式戦略利益分析にある線分QR(戦略利益)は、複利計算構造に基づきます。 以上が、企業活動を、単利で捉えるか、複利で捉えるかの違いです。
単利と複利の違いなど、小学生でも理解できる話です。 ところが、古典派会計学を信奉する人たちは、単利と複利の違いが理解できないのです。 損益分岐点分析や限界利益分析を基礎に置く古典派会計学が、小学生たちから嘲笑されることになろうとも、それは古典派会計学が説明を負うべき責任。 とはいえ、空調のきいた部屋で「机上の空論」をこねくり回している人たちに、室外の嘲笑は聞こえないか。 こいつは救いようがない。
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公認会計士高田直芳:『オイラーの贈物』吉田武 ~古典派会計学には理解不能な確率微分方程式~


オイラーの贈物』 吉田 武
~古典派会計学には理解不能な
確率微分方程式の世界~


2017年の正月に、上掲書を読み終えました。 これで3度目。 従前ブログ『[決定版] 新・ほんとうにわかる経営分析、が届く』で取り上げて以降、1年かけて、コピー用紙の裏面に「写経」しながら読んでいました。
上掲書は2011年にNHK『クローズアップ現代』で取り上げられて、一時期、ブームになったことがあるので、知っている人も多いと思います。
私が最初に読んだのは、ブームを遡ること10年前。 当時は、小さな小さな文庫本サイズ(2001年版)でした。 時間が経つのも忘れて、貪るように読んだことを覚えています。
この頃すでに、次の受賞論文で論じている「管理会計としてのタカダ式操業度分析」や「原価計算としてのタカダ式変動予算」の着想を得ていました。
【資料1】
ただし、【資料1】の受賞論文に、『オイラーの贈物』がどれだけ役に立ったのかは、よく覚えていません。 オイラーの公式「  」を理解することは、ほとんど趣味の世界でした。
オイラーの贈り物』を2度目に読んだときは、次の2冊の書籍を出版する間の期間だったかな。 上記2冊に、『オイラーの贈物』がどれだけ役に立ったのか、これもよく覚えていません。 やはり、オイラーの公式「  」は、趣味の域を出ませんでした。
そして、『オイラーの贈物』を読むのは、今回が3度目。 単行本に買い換えました。 今回は、いまだ世間には公表していない「タカダ式確率微分方程式」の検証のために読んだのですが、これまたよくわからずじまい。 仕事であれば、3度も読む気は起きません。 趣味の世界だから読み通せたようなもの。
「タカダ式確率微分方程式」とは、次の【資料2】に示す「ブラック・ショールズ方程式」に、さらにその下の【会計物理学の公式集】にある方程式を組み合わせて導かれます。
【資料2】『金融工学/野口悠紀雄著』201ページより
画像
【会計物理学の公式集】 Google Chart API で作成
  1. タカダ式操業度分析
    1. タカダ式コスト関数

        ……基準固定費( Standard Fixed Cost ) ……自然対数の底( Base of Natural Logarithm ) ……予算係数( Budget Factor )
    2. 売上高関数

      1. 収穫一定 

      2. 収穫逓減 

      3. 収穫逓減(マクローリン展開テイラー展開
  2. タカダ式操業度分析の収益指標
    1. 損益操業度売上高・収益上限点売上高

    2. 予算操業度売上高(予算係数の逆数)

    3. 最大操業度売上高その1(管理会計の利潤最大化条件)

    4. 最大操業度売上高その2(管理会計の利潤最大化条件)

  3. 最適キャッシュ残高方程式
    1. 2項分布を応用した最適キャッシュ残高方程式

    2. ポアソン分布を応用した最適キャッシュ残高方程式

  4. タカダ式キャッシュフロー方程式

  5. タカダ式操業度分析の経営指標
    1. 実際操業度率( Actual Operating Rate )

         ……実際売上高 ……予算操業度売上高
    2. 損益操業度率( Profit and Loss Rate )

          ……損益操業度売上高 ……予算操業度売上高
    3. 戦略利益( Strategic Benefit )

      =(営業利益or当期純利益)+(基準固定費)×(実際操業度率)

  6. キャッシュフロー関係の経営指標
    1. タカダ式フリーキャッシュフローその1

      =(実際キャッシュ残高)-(最適キャッシュ残高方程式の解)

    2. タカダ式フリーキャッシュフローその2

      =(実際キャッシュ残高)-(タカダ式キャッシュフロー方程式の解)

  7. タカダ・デフレーター

  8. タカダ式ポートフォリオ指数

  9. 倒産確率デフォルト方程式

  10. タカダ式企業価値方程式
    1. 他人資本方程式

    2. 自己資本方程式

    3. タカダ式企業価値方程式

  11. 最適資本構成タカダ理論の解法
    1. 解法その1(収穫逓減による)

      微分する。

    2. 解法その2(代替財による)

      (最適デット比率):(最適エクイティ比率)

      =(自己資本コスト率):(他人資本コスト率)

    3. 上記 a. b. のどちらの解法によっても次の一般公式が導かれる。

  12. 最適資本構成タカダ理論の一般公式
    1. 他人資本比率の最適解

    2. 自己資本比率の最適解

    3. D/Eレシオの最適解( Optimal Solution )

    4. D/Eレシオの実績値( Actual Solution )

         ……加重平均資本コスト率

上記【資料2】の「ブラック・ショールズ方程式」は、1997年にノーベル経済学賞を受賞した理論です。 上記【会計物理学の公式集】はすべて、私(高田直芳)が1人で導き出したものです。 上記の方程式を組み合わせた先に導き出された「タカダ式確率微分方程式」が、管理会計論・経営分析論・原価計算制度などで、どのように役立つのか。 それを検証するには、いまだ私の能力が足りず。 これから確定申告や会計監査の季節風が吹き荒れるので、検証している時間もない。 オイラー先生、せっかくの贈り物なのに、役立てることができなくて、ごめんなさい。 古典派会計学のやっかみも鬱陶しいし、次(4度目)に『オイラーの贈物』を読むまで、「タカダ式確率微分方程式」に関する原稿は、サーバーの奥深くへ、しまいこむことにしました。
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公認会計士高田直芳:コンビニエンスストアは何故増加するのか


コンビニエンスストアは、なぜ
増加するのか


コンビニエンスストアで買い物をするとき、プリペイドカードを利用する人を多く見かけるようになりました。 ご多分にもれず、私もプリペイドを利用しています。 ポイントがたまるメリットだけでなく、釣り銭で財布が膨張しないのもいい。
よく利用するのが、セブンイレブンと、ローソンと、ファミリーマートメガバンクや通信業界だけでなく、コンビニ業界も三大勢力に集約されつつあります。
私は以前、セブンイレブンとローソンで、アルバイトをした経験があります。 いまでも、コンビニの店員がレジを打つとき、私のことを何歳と見ているのか、レジをちらりと見ることがあります。
アルバイトの経験はコンビニだけでなく、製造業でもあります。 工場で旋盤を操作しているときに、爪を剥がしかけたこともあります。 私が拙著やブログで展開している話の「着想」は、こうした現場体験に基づいています。
管理会計や経営分析の書籍では、ときどき、「製造業は固定費型、流通業は変動費型」と分類しているものを見かけることがあります。 現場体験を疎かにし、「机上の空論」を振りかざす人に限って、こういう分類を得意気に語ろうとします。 そうした分類は誤りです。 流通業は、製造業に匹敵するくらい、いえ、製造業を上回るほどの、固定費を抱えた産業です。 ショッピングモールの広大な駐車場に降り立ち、眼前に広がる巨大な店舗を見上げたとき、それを「変動費のカタマリだ」とでも主張するのでしょうか。 「流通業は変動費型だ」と主張する人たちは、どこの何を見ているのか。
ただし、「製造業の固定費」と「流通業の固定費」とでは、その本質に違いがあることに注意する必要があります。 すなわち──、
  • 製造業の固定費は、分割不可能であること。
  • 流通業の固定費は、分割可能であること。
したがって、分割が容易ではない工場のリストラ(固定費削減)は、時として大なたが振るわれる、という表現がなされるのに対し、分割が可能なコンビニの店舗は頻繁に新設・撤退が行なわれることになります。
さて、次の関連ブログ(2016年10月1日付)では、セブンイレブンの成長性を論じました。
【関連ブログ1】
その年の暮れ(2016年12月25日)の日本経済新聞では、そのセブンイレブンが2018年2月期には2万店に達して直営郵便局2万局に並び、簡易郵便局を含めた2万4千局に近づきつつあることが報道されていました。
一般的に、コンビニ市場は5万店が飽和点である、と主張されてきました。 次の関連ブログでは、日本経済新聞の社説(2014年12月23日付)を引用して、「コンビニ5万店・飽和説」を紹介しました。
【関連ブログ2】
「コンビニ5万店・飽和説」は、具体的なデータに基づかない「文章だけの分析」であり、他者の主張を自ら検証せずに伝聞していくだけの出鱈目な主張であることを、次の関連ブログで説明しました。
【関連ブログ】
では、セブンイレブンは、どこまで拡大するのか。 次の【関連ブログ3】に掲載した図表を、その下の【資料1】に再掲します。
【関連ブログ3】
【資料1】タカダ式操業度分析/セブン-イレブン・ジャパン
画像
上記【資料1】の上段を「指数関数法による固変分解」といい、同下段を「対数関数法による固変分解」といいます。 いずれも、私(高田直芳)のオリジナルです。
固変分解というと、通常は、次のものをいいます。
【資料2】一般的な固変分解の種類
  • 最小自乗法(最小2乗法)
  • 費目別精査法
  • 勘定科目法
上記【資料2】に共通するのは、総コストを1次関数で描くことです。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 上記【資料2】を基礎にしたものを、古典派会計学といいます。 流通業界で上記【資料2】の固変分解を適用した場合、固定費は非常に小さな値を取ります。 これが「流通業は変動費型だ」という錯覚を生みます。 古典派会計学のこうした解釈が誤りであることは、上で述べたとおりです。
それに対し、【資料1】は、複利関数で描いています。 これは私の実務経験に基づきます。 現実の企業活動では、次の【資料3】に示す事実を観察することができます。
【資料3】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 それに基づいて描いたのが、【資料1】です。
上記【資料3】に「書かれてあるもの」を読んで、「ああ、そうか」と得心するのはやめてほしい。 現場で汗や油にまみれて働いた経験のない者に、企業活動の本質が複利計算構造にあることなど理解できるはずがないのだから。
【関連ブログ4】
さて、上記【資料1】の上段に注目します。 左下には四半期の点を4個、分布させています。 この時期の、セブンイレブンの店舗数は、約1万8千店舗。 上記【資料1】の上段の右の方に、最大操業度売上高1兆6744億円を示しています。 これは、経済学で有名な利潤最大化条件「限界収入MR=限界費用MC」を満たす売上高です。 4個の点から、最大操業度売上高まで、約2.8倍。 したがって、1万8千店舗 × 2.8倍 = 約5万店舗 コンビニ業界全体で5万店舗ではなく、セブンイレブン単体で5万店舗まで拡大する、というのが、【資料1】のタカダ式操業度分析から導かれる結論です。 飽和状態どころか、いまだ四合目あたり。 古典派会計学では思いよもらない話です。
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公認会計士高田直芳:公認会計士が人工知能AIに駆逐される日


公認会計士人工知能AI に駆逐される日

2017年1月4日付の日本経済新聞コラム「春秋」で指摘されるまでもなく、公認会計士という職業は、21世紀で消滅する可能性が高いといえます。
まず、監査法人コンサルティングファームなどで、法令や会計基準に精通している理論派や生き字引は、人工知能AI に取って代わられるでしょう。
その延長線でいけば、大学やビジネススクールなどの教員や講師も、人工知能AI による代替が可能です。
簿記検定をはじめとする各種の試験制度も、問題作成から採点に至るまで、人工知能AI によって代替されることでしょう。
会計不正や会計不祥事が起きるたびに、第三者調査委員会が登場するのであれば、「監査役 + 内部監査室 + 第三者調査委員会」の三役で、監査制度を論じればいい。 人工知能AI の発達と相まって、監査法人が出る幕は、いずれなくなるでしょう。
対案を示さずに批判を繰り返すばかりの職業に、どれほどの価値があるかを悩んでいるようでは、公認会計士監査法人は消えゆく運命しか残されていません。
【資料1:関連ブログ】
外国の文献を含めた会計基準を咀嚼したり、膨大な粉飾決算の事例を集積したりして、それを企業実務で適用するにあたっては、いままでは人海戦術がメインでした。 これからは人工知能AI が効率よく作業をこなすはず。
例えば、次の関連ブログで紹介した「ベンフォードの法則」を人工知能AI に学習させれば、粉飾決算発見に威力を発揮することでしょう。
【資料2:関連ブログ】
会計という分野には「財務会計論」と「管理会計論」があり、それぞれに対応して「財務会計システム」と「管理会計システム」があります。 「論」のほうはともかく、「システム」のほうでは、公認会計士はすでに不要な存在となっています。
ただし、「論」にも「システム」にも、不思議な現象を観察することができます。 例えば、管理会計論の専門書や、管理会計システムには、CVP分析というものが必ず登場します。 別名、損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析とも呼ばれます。 ところが、です。 私は資産運用の参考資料として、様々なアナリストレポートを拝読していますが、CVP分析(損益分岐点分析)を用いたレポートを見かけることはほとんどありません。 なぜか。 上場企業の有価証券報告書決算短信を用いて、CVP分析(線型回帰分析)を当てはめると、分析結果が崩壊する事例が頻出するからです。 嘘だと思うなら、実証してみることです。 それが実務というものです。
【資料3:関連ブログ】
なぜ、CVP分析では、その分析結果が崩壊するのか。 理由は、管理会計論や管理会計システムの「根本的な箇所」に、「理論上の瑕疵」があるからです。 その瑕疵とは何か。 理由は、CVP分析は1次関数の単利計算構造であることに求められます。 それに対し、現実の企業活動では、次の事実を観察することができます。
【資料4】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 複利計算構造を内蔵する企業活動に、単利計算構造のCVP分析(損益分岐点分析)を当てはめたところで、正しい実務解が得られるわけがない。 これが、現代の会計学が抱える「理論上の瑕疵」です。 以上の論旨を、次の受賞論文の1ページ目で述べています。。
【資料5】
それにもかかわらず、会計学の教科書や、会計システムでは、なぜ、なんとかの一つ覚えみたいにCVP分析(損益分岐点分析)が登場するのか。 理由は、実証を怠った者たちが、「机上の空論」を振りかざしているからです。 2012年にノーベル生理学医学賞を受賞した山中伸弥教授の言を拝借するならば、何とかの一つ覚えみたいに机上の空論を振りかざす状況を、「阿倍野の犬実験」といいます。
【資料6:関連ブログ】
上記【資料5】の受賞論文17ページや18ページでは、日産自動車とNTTの有価証券報告書を用いて、「理論上の瑕疵」を抱えたCVP分析(損益分岐点分析)が崩壊する様子を実証しています。 次の関連ブログで展開している「会計物理学」は、「阿倍野の犬実験」に陥らないために、私(高田直芳)が提示する対案です。
【資料7:関連ブログ】
人工知能AI が代替するようになると、CVP分析に基礎を置く管理会計論や管理会計システムは、人工知能AI によって駄目出しされることになるでしょう。 そのとき、公認会計士はどのように行動したらいいのか、といったことは、実はどうでもいい話。 人工知能AI や IT には、もっと先の議論が存在します。 すなわち、企業がシステム開発を行なうとき、人工知能AI に開発命令を直接行なうことによって、システムが自動的に開発されるようになることです。 これが、人工知能AI に対して、企業が最も期待するところ。 その背景にあるのが、現状のシステム開発には、時間とカネがかかりすぎる、という不満です。
【資料8】日経産業新聞2016年6月27日「システム開発、AIに託したい?」

難解な用語を駆使する打ち合わせを繰り返して多くのエンジニアが関わって完成までに数カ月から数年もかかり、稼働後のちょっとした変更にも時間とお金がかかるというやり方にうんざりしている。

ビジネスのスピードアップを阻害する最大の原因が IT 開発にあると指摘する声は多い。

ある大企業の IT 担当役員は「エンジニアが介在しない IT システム開発を実現することこそ IT 業界による AI 活用の究極のゴールだ」と断言する。

AI や IT に携わるシステムエンジニアSEは、自分で自分の首を絞めているといえなくもない。 人工知能AI は、その完成度が高まるにつれて、資格や地位にしがみつくヒトたちを駆逐していくのでしょう。 こいつは、うかうかしていられません。 ただし、私の場合は、上記【資料5】にある受賞論文の著作権のお陰で、今世紀中は人工知能AI に邪魔されずに暮らすことができそうです。 人工知能AI に対抗するには、著作権特許権などの知的財産権という武器が必要でしょう。
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公認会計士高田直芳:『探偵の探偵2』松岡圭祐


『探偵の探偵 2』
松岡圭祐


第1巻から読まないと、この第2巻の面白さは伝わらない。 シリーズものの難しさ、といったところでしょう。
松岡圭祐『探偵の探偵2』

スマホアプリで政府専用機の位置が探知可能なことを、読売新聞が指摘するまで、防衛省は気づかなかった。

へぇ、そんなことが、あったんですか。
メディアの報道で、読者がその行間を読むのは難しい。
「暴行する」や「乱暴する」という表現には、言外の意味があることが説明されています。 具体的には、上掲の小説で確認を。
単に殴る蹴るの暴行なら、「殴る蹴るの暴行」と報道されるそうです。
松岡圭祐『探偵の探偵2』

事件や事故で他界したのなら死亡、自然に息をひきとったのなら死去。

メディアでは、そういう使い分けがあるらしい。
従前ブログ『東芝問題まとめ』では、その【記事3】について疑義を述べました。 個人が土地付建物を購入するのだって、短兵急に話は進めない、とも述べました。 東芝問題の本質は、どこにあるのか。 新聞などはそのほとんどが斜め読みだから、その行間を読み取るのは、ホント、難しい。
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公認会計士高田直芳:大企業がベンチャー企業を潰す構図とその確率 出てこいライバル


大企業がベンチャー企業を潰す構図とその確率
出てこい、ライバル


忘年会を兼ねた同窓会で、永年の友人から、「ここ数年、オマエを敵視する者が、かなり増えたよな」と言われました。 次の受賞論文のおかげで、敵をたくさん増やしてしまいました。
【資料1】
上記の受賞論文によって、管理会計や情報システムの分野で、自らの地位を脅かされる、と不安に思った人が多かったのでしょう。

確かに男のコンプレックスと嫉妬は実に面倒くさいものだ。

日本経済新聞2016年10月1日
品田英雄のためになるエンタメ」
男の悋気は確かに厄介なものですが、そうした人たちを見分けるのは簡単です。 なにしろ、相手を、重箱の隅をつついたような論理で非難するのですから。
「大企業が、ベンチャー企業を潰(つぶ)す構図に似ているな」と指摘してくれた友人もいました。 脅威を感じさせない中小企業であれば、大企業は見向きもしません。 ところが、革新的なノウハウや技術などをもって「パラダイムシフト paradigm shift 」を図ろうとするベンチャー企業が現われると、大企業はあの手この手で潰しにかかります。 従業員を引き抜いたり、得意先に圧力をかけたり、金型や設計図を取り上げて海外へ横流ししたり。
日経産業新聞「眼光紙背」
2016年12月28日

京都大学の)松山隆司京大教授が力を入れたのが、電力自由化に向けた新技術の開発だった。

(略)しかし電力会社の抵抗は激しかった。新技術が自由化を加速し既得権益を失いかねないからだ。

同僚の研究者が大阪市営地下鉄で進めた送電実験では、実験に協力する電機メーカーの担当者らが電力会社から呼び出しを受けるなどで頓挫しかけた。

日本経済新聞2015年10月12日
「中小、情報漏洩対策に後れ
退職社員が持ち出し、取引先の圧力」

「取引先の圧力に負け、秘密を渡してしまった」。

家電部品などの金型メーカー、JKB(川崎市)の平井和夫会長は痛恨の失敗を振り返る。

だが取引は戻らず、逆に注文はゼロになった。

「その会社がサンプルを東南アジアの金型メーカーに流し安く部品を作らせた」と平井会長はみる。

世の中には、あまたの書籍や論文があり、その中には既存の会計理論や会計制度を、痛烈に批判したものもあります。 それらが権威主義者や既得権益者の歯牙にもかからないのは、彼らの地位を脅かすほどの「革新性」を持っていないからです。 対案なき「批判のための批判」など、一笑に付されてオシマイです。
どこの世界でも、自らを異端児だと、粋(いき)がる人は多い。 異端というのはまず、その主張に「革新性」がなければなりません。 その革新性がパラダイムシフトを引き起こし、権威主義者や既得権益者たちの逆鱗に触れ、恐れさせ、火あぶりに処したいほどの恨みを買ってこその、異端です。
ところで、革新性を引っ提げたベンチャー企業や一匹狼が、大企業や権威からの圧力に抗して生き残れる確率というのは、どれくらいあるのでしょうか。 それを求めるための方程式が、次の【資料2】です。
【資料2】『会計&ファイナンスのための数学入門』250ページ
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上記【資料2】の方程式は、次の拙著に掲載してあるものです。
【資料3】
上記【資料2】は、それまでの管理会計・経営分析・原価計算などの分野(←古典派会計学といいます)では、誰も提示したことがない方程式です。 上記【資料2】の方程式に次の関連ブログにある方程式を取り混ぜて、かつ、「ブラック・ショールズ方程式」という風味を添えると、「タカダ式確率微分方程式」というものが導かれるのですが、それはまた別の話。
【関連ブログ】
話を戻します。 上記【資料2】の方程式(ベンチャー企業が生き残る確率)を導き出す解法は難解ですが(数ⅢCまでの知識では理解不能)、上記【資料2】の方程式そのものの使いかたは簡単です。 上記【資料2】にある a と b には、キャッシュフロー計算書の「投資活動によるキャッシュフロー」を当てはめます。 同じく【資料2】にある p と q には、次の式で計算した「事業付加価値比」を代入します。
【資料4】『会計&ファイナンスのための数学入門』249ページ
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一般的に、付加価値という場合、通常は次の式で求めます。
【資料5】

(付加価値)=(利益)+(固定費)

なぜ、【資料5】の式で付加価値が求められるのだ? と疑問を抱く場合は、次の拙著170ページを参照してください。
【資料6】
個人的な書籍に掲載された定義では「信用できない」というのであれば、財務省の外郭団体である財務総合政策研究所の、次のサイトで確認してください。
【資料7】
しかしながら、上記【資料5】の式で付加価値を求めるのは、大いに問題があります。 問題は、右辺第2項の「固定費」にあります。 このままでは、1年365日、その稼働率が常に100%であることを想定していることになります。 春夏秋冬の季節変動さえも考慮しないなんて、企業実務でそのようなことは決してあり得ません。 上記【資料5】で付加価値を論ずるのは、実務を愚弄したものだといえるでしょう。
そこで、私(高田直芳)から提示するのが、次の「事業付加価値」です。
【資料8】

(事業付加価値)=(利益)+(基準固定費)×(実際操業度率)

上記【資料8】の右辺にある「実際操業度率」の求めかたについては、【資料1】の受賞論文で説明しています。 上記【資料8】の事業付加価値は、春夏秋冬の季節変動だけでなく、業績が急伸したときや悪化したときをも加味したものとなります。
以上の方程式を駆使して、ベンチャー企業や異端児が生き残れる確率を示したのが、【資料9】になります。
【資料9】『公認会計士高田直芳の実践会計講座 戦略ファイナンス』186ページ
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上記【資料9】において、事業付加価値比が★150%の場合、すなわち両社の実力が五分と五分なら、自社が生き残る確率は★250%です。 事業付加価値比が★351%の場合、自社が生き残る確率は、なんと、★459.87%に跳ね上がります。 事業付加価値比が★560%になると、自社が生き残る確率は★698.3%にもなります。 これは圧勝というべきものであり、ライバル企業の息の根を完全に止めることができます。 その反対に、事業付加価値比が★150%を割る場合、つまりライバル企業のほうの事業付加価値比が高い場合、自社が倒産する確率は急速に高まります。
上記【資料9】は、「1次元の図表」です。 「2次元の図表」も作ることができます。 それが次の【資料10】です。
【資料10】『公認会計士高田直芳の実践会計講座 戦略ファイナンス』188ページ
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上記【資料9】と【資料10】の図表はどちらも、【資料2】の方程式で作成することができます。 こうした方程式や図表のほか、上記【資料1】にある「タカダ式操業度分析」などは、その大半を、矢野健太郎博士の数学書や、マンキュー経済学などの経済学書を参照しながら、たった1人で解いてきました。 古典派会計学では誰も思いつかなかった方程式や図表をさらりと提示して、高みの見物を決め込む姿勢が、権威主義既得権益の逆鱗を掻きむしるのでしょう。 ただし、私がいる「高み」の位置は、【資料10】の右下で黒く塗られている「 100.00 %」の箇所なので、私を引きずり下ろすことはできません。
「衆寡敵せず」とは、例えば資金量の多寡だけで勝負しようというもの。 これでは中小企業が、大企業に勝てるわけがない。 ベンチャー企業や一匹狼が、大企業や権威に伍して闘うためには、革新的な知的財産(事業付加価値)が必要なことを、【資料2】の方程式や【資料10】の2次元図表が指し示しています。
上記【資料2】の方程式や、【資料9】【資料10】の表が、「机上の空論」なのかどうかは、次のブログで確かめてみてください。
【資料11】公認会計士高田直芳「大不況に克つサバイバル経営戦略」
    事業効率が最高でも固定費は予想の2倍!
    他社の追撃を侮れないトヨタの“懐事情”
上記【資料11】のブログでは、ニッサンとホンダが拮抗する様子を、【資料2】の方程式を用いて解き明かしています。
上記【資料1】の受賞論文は2015年3月ですが、【資料11】のブログは2009年3月に公開。 私の場合、いまさら敵がどんなに増えても、2008年や2009年の時点ですでに結論を出しています。 いまの古典派会計学には、「理論上の瑕疵」があると。
従前ブログ「『フリーライダー』 河合太介 『働かないアリに意義がある』 長谷川英祐」では、次の文章を引用しました。
    大学教員である著者(長谷川英祐氏)の講義に対し、ある学生が「先生の言ったことは教科書に載っていません」と反論してきたとき、著者は次のように答えた、というエピソードが紹介されています。

私はそのとき「君は自分の頭で納得したことより、教科書に書いてあるかどうかを正しいかどうかの基準にするのか?

科学者は、正しいと思ったことは世界中のすべての人が“それは違う”と言ったとしても、“こういう理由であなた方のほうが間違っている”と言わなければならない存在なのに?」

と怒りました。

多くの研究者(プロを含む)は、教科書を読むときに「何が書いてあるかを理解すること」ばかりに熱心で、「そこには何が書かれていないか」を読み取ろうとはしません。

今後も「間違っている」ものは「間違っている」と主張していくつもりなので、敵は増え続けることでしょう。 陰でこそこそと非難する「敵」は多くとも、革新的なアイデアをもって対抗してくる「好敵手」が1人も現われないのは淋しい限り。 出てこい、ライバル。
【関連ブログ】
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公認会計士高田直芳:東芝問題まとめその2


東芝問題まとめ その2

東芝問題をまとめたブログの一覧は、下記【資料11】にて。
さて、日本経済新聞では、東芝問題について次の記事が掲載されていました。
【資料1】日本経済新聞2016年12月27日

東芝が2017年3月期に米国の原子力発電事業で1000億円規模の特別損失を計上する見通しであることが26日分かった。

上記において、「1000億円」ではなく、「1000億円規模」という表現に、引っかかりを覚えました。 1000億円どまり? ゼロを3つも並べるのが紛らわしい。
翌日に、次の続報がありました。
【資料2】日本経済新聞2016年12月28日

東芝は27日、2017年3月期に米国の原子力発電事業で数千億円(数十億ドル)規模の減損損失が出る可能性があると発表した。

やはり、「数千億円規模」だったのだな、と納得。 上記【資料2】の記事では、続いて次の記述がありました。
【資料3】日本経済新聞2016年12月28日

WHとS&Wは2000年代後半から原発事業で協業してきた。

15年に親会社の東芝本体が会計不祥事で経営危機に陥るなか、WHは事業の一体運営を目指してS&Wの買収に踏み切ったが裏目に出た。

あれれっ? 【資料3】の記事って、因果関係が入れ替わってはいないか。 上記【資料3】の記事を素直に読むと、次の順序となります。
【資料4】
  1. 会計不祥事が原因で経営危機に陥った。
       ↓
  2. そこで、原発事業の一体運営を目指した。
       ↓
  3. ところが、裏目に出た。
2015年に東芝の不適切会計問題が発覚して以降、私は次の因果関係で理解していました。
【資料5】
  1. 原発事業が、2000年代後半から裏目に出て、経営危機が表面化する恐れが生じた。
       ↓
  2. その裏と表を取り繕う弥縫(びぼう)策として、粉飾決算に手を染めた。
       ↓
  3. 結局、原発事業が原因で経営危機に陥っていたことを認めざるを得なくなった。
       ↓
  4. 年末年始の長期休暇を見計らって、今回、公表することにした。
経営危機の原因は、会計不祥事ではなく、原発事業にあるはず。 もう1本、記事を引用します。
【資料6】日本経済新聞「社説」2016年12月30日

昨年末に子会社の米ウエスチングハウスを通じて買収した、原子力発電所の建設などを手がける米企業で想定外のコストが生じ、数千億円規模の減損損失が発生するおそれがあるという。

上記【資料6】の記事にある「減損」については、次の関連ブログを参照。
【資料7:関連ブログ】
上記【資料6】の記事にある「昨年末」とは、2015年末のこと。 東芝の会計不祥事が発覚したのは、2015年4月。 時系列だけに注目するならば、【資料3】の記事の順序は正しい。
しかし、これほど短兵急に、企業買収を進められるものだろうか。 個人が宅地を買って、自宅を新築するのにも、数か月を要します。 すぐに取りかかれるはずもなく、その何年も前から、家族会議で住宅ローンを含めた検討をするものです。 米企業の買収は、2000年代に意思決定されていたに違いない。 2010年代になって、「これは、ヤバイぞ」ということで粉飾決算に取り組んだ、という因果関係のほうが納得できます。 東芝で巨額の減損が発生する可能性については、2015年9月の、次の関連ブログで、予言していたとおりです。
【資料8:関連ブログ】
2016年12月になって、いまさら何を騒ぐ。
今回のプレス発表について、メディアと事前に入念な打ち合わせをしていた感がなくもない。 記事の字句通りに読む危うさは、次の関連ブログでその一端を紹介しました。
【資料9:関連ブログ】
深読みすぎるこの性格は、ミステリー小説の読み過ぎか。 私の見立てが違っていたのなら、ごめんなさい。 東芝問題は意外と奥が深そうですが、この東芝問題を、次の関連ブログで説明している「会計物理学」で解き明かすには、実務家である私には時間が足りません。
【資料10:関連ブログ】
年明けに新たな展開があれば検証することとして、とりあえず本ブログでいままに扱ってきた東芝問題を下掲の【資料11】で「まとめ」ておきます。 【資料11】は他者のブログのまとめではなく、私自身のブログのまとめですから、いわゆる「まとめサイト」(キュレーション・サイト)と混同しないようにしてください。 スマホ版ではなくPC(パソコン)版の場合、このブログの左上に「ブログテーマ 不正会計&監査の蹉跌」が表示されています。 これをクリックすると、東芝問題だけでなく、それ以外のものも参照することができます。
【資料11】時系列〔降順〕
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公認会計士高田直芳:東芝問題まとめ


東芝問題まとめ

東芝問題をまとめたブログの一覧は、下記【資料8:関連ブログ】にて。
さて、東芝の不適切会計(不正会計・粉飾決算)について、「なぜ、刑事責任を問われないのか」と、憤りを感じている人がいるかもしれません。
あなたのその憤りは、現代の会計学の立場では、まったくの見当外れであることを、以下で証明してご覧に入れましょう。
会計学は、財務会計論と管理会計論という、2種類の体系から構成されます(公認会計士法8条2項1号)。
このうち、法令や会計基準などで定められていない理論を扱う会計学を「管理会計」といい、例を示すと次の【資料1】になります。
【資料1】

  • ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)

  • 正味現在価値法、回収期間法、内部利益率法

  • 直接原価計算、原価企画、活動基準原価計算、直接原価計算

  • 機会原価(opportunity cost)や機会損失(opportunity loss)

  • CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)

  • D/Eレシオや加重平均資本コスト率(WACC)などを用いた経営分析

法令や会計基準で定められていないものを、何でもかき集めたものが、管理会計だといえます。 会計を真正面から学んだことがなくても、【資料1】に掲げた用語はそれとなく理解している人が多いことでしょう。
概略を説明したところで、冒頭の問題を繰り返します。 上記【資料1】に掲げた管理会計を少しでも学んだ人が、「東芝の不適切会計は刑事責任を問われるべきだ」と主張するのは「見当外れも甚だしい」ということです。 なぜか。
上記【資料1】にあるCVP分析に注目します。 これは損益分岐点分析や線型回帰分析とも呼ばれ、現代の管理会計において、絶対的通説として君臨する理論です。 管理会計を学んだ人が100万人いるとするならば、そのうちの99万9999人が「CVP分析は、絶対的に正しい」と信じている理論でもあります。
CVP分析は、次の【資料2】を用いて説明されます。
【資料2】CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析)
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上記【資料2】の中空に「損益分岐点P」があり、ここから垂線を下ろしたところに「損益分岐点売上高Q」があります。 実際の売上高が損益分岐点売上高Qを超えると、売上高線は総費用直線を上回るので、黒字決算=利益となります。 上記【資料2】において、実際売上高を横軸上の線分OXとすると、利益(黒字決算)は右端にある線分DCで表わされます。 線分DCで表わされる「利益」は、営業利益・経常利益・当期純利益、いずれも当てはめることができます。
上記【資料2】において、線分OXで表わされる実際売上高が2倍に増加すると、線分DCで表わされる利益も(2倍になるわけではありませんが)増加します。 線分OXで表わされる実際売上高が3倍に増加すると、線分DCで表わされる利益も(3倍になるわけではありませんが)増加します。 以上の説明で明らかなように、会計の世界で絶対的通説として君臨するCVP分析は、無限の利益拡大を保証する理論なのです。 損益分岐点売上高よりも右側で損失が発生する(赤字決算に転落する)ことを、決して認めない理論だ、と言い換えることができます。
東芝で問題となったのは、ある決算期に負担させるべき費用を、翌期以降に繰り延べてしまった点にあります。 そこで、東芝の不適切会計に憤りを感じる人へ質問です。 ある決算期に負担させるべき費用を、翌期以降に繰り延べる会計処理が、どうして不適切の誹(そし)りを受けなければならないのでしょうか。 もし、ある決算期に負担させるべき費用を、正直にその決算期に負担させて損失になって(赤字決算に転落して)しまった場合、むしろ「無限の利益拡大を保証するCVP分析」に反するではないですか。 「無限の利益拡大を保証するCVP分析」、すなわち、絶対的通説の立場からすれば、損失になりそうな(赤字決算に転落しそうな)案件がある場合、費用の一部を翌期以降に繰り延べるのは「極めて適切な会計処理」になるのです。 あるいは、CVP分析の正当性を信じる人は、「東芝の赤字案件は、上記【資料2】の損益分岐点Pよりも左下にあるのだ」と主張することでしょう。 そうであるならば、もっとがんがん、インフラ事業でも原発事業でも半導体事業でも、採算を度外視して安値受注すればいいのです。 売上高が増えていけば、やがては損益分岐点Pを超えて、無限の利益拡大が実現されることでしょう。 それが、99万9999人が「絶対的に正しい」と信じている、CVP分析の理論的な帰結です。 したがって、CVP分析に基礎を置いた管理会計を、少しでも学んだことのある人が、東芝の不適切会計を批判するのは「見当外れも甚だしい」となるわけです。
もちろん、いま述べたことは詭弁です。 どこに誤りがあったのでしょうか。 「誤謬の原因」は、上記【資料2】のCVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)そのものにあります。 企業実務をよくよく観察すると、次の【資料3】に示す事実を観察することができます。
【資料3】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
以上の観察から明らかなように、企業のコスト構造は、無限回数の複利計算構造を内蔵していることがわかります。 それを数式や図表にまとめて、賞を得たものが、次の【資料4】に示す論文です。
【資料4】
上記【資料4】に収録してある図表を手直ししたものを、次の【資料5】に掲げます。
【資料5】タカダ式操業度分析
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上記【資料5】にある総費用曲線ABCDEは、複利関数(正確には「自然対数の底e」を用いた指数関数)で描かれています。
企業業績が、上記【資料5】の赤色の点A1にあるとき、利益は線分A1A2の高さで表わされます。 企業の業績が向上し、上記【資料5】の赤色の点B1にあるとき、利益は線分B1B2の高さで表わされます。 企業の売上高が、赤色の点A1 → 赤色の点B1 → 黒色の点C → 赤色の点C1、へと増加していくとき、利益(線分A1A2や線分B1B2)も増加していきます。 ところが、【資料5】では、利益が無限に拡大することを保証していません。 企業の売上高が、黒色の点Dを超えて、赤色の点D1にあるとき、線分D1D2の高さは縮小に転じます。 赤色の点E1にあるとき、線分E1E2の高さはさらに縮小します。 すなわち、企業のコスト構造は「日々複利の計算構造である」と捉えた場合、利益は無限に拡大するものではない、という理論的な帰結が導かれます。 したがって、ある決算期に負担させるべき費用を、翌期以降に繰り延べる会計処理は「不適切だ」となります。
東芝で問題視された「不適切な会計処理」は、上記【資料5】の右上にある「収益上限点E」を突き抜けてしまったのでしょう。 収益上限点Eよりも右側では、総費用曲線が売上高線を上回りますから、確実に損失が発生します。 収益上限点Eよりも右にある状態を、絶対的通説たるCVP分析に無理矢理合わせようとするならば、「不適切な会計処理」を行なわざるを得なくなる、というわけです。
以上のように、東芝の不適切会計を「粉飾決算だ」と批判できるのは、上記【資料5】の場合に限定されます。 これが、99万9999人に対して、たった一人で対抗する「タカダ式操業度分析」です。 日本だけでなく欧米の書籍や学術論文などで、この百年以上もの間、誰一人として思いつかなかった理論が、上記【資料4】の受賞論文や【資料5】の図表に込められています。
不適切会計に手を染めた東芝にこれから襲いかかるのは、巨額の減損損失債務超過
【資料6】日本経済新聞2016年12月28日

東芝は27日、2017年3月期に米国の原子力発電事業で数千億円(数十億ドル)規模の減損損失が出る可能性があると発表した。

減損損失債務超過については、次のブログを参照。
【資料7:関連ブログ】
話を【資料2】に戻しましょう。 【資料2】にある総費用直線は、1次関数で描かれています。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 すなわち、CVP分析の本質は、単利計算構造に基礎を置いていることがわかります。 このように、単利計算構造のCVP分析に立脚した会計を、「古典派会計学」といいます。 上記【資料1】にある、直接原価計算・原価企画・活動基準原価計算も、単利計算構造に基礎を置いた理論であり、古典派会計学に属します。 なお、間違えてならないのは、線形回帰分析そのものに、誤謬があるわけではありません。 何の思慮もなく、管理会計論や原価計算制度などに、線型回帰分析を適用する古典派会計学に誤りがある、と述べているのです。
上記【資料1】にあるディスカウント・キャッシュフロー(DCF)は、「複利計算だぞ」と反論があることでしょう。 いえいえ、ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)は、年に1回か2回の「とびとびの複利」であり、DCFに「無限回数の複利計算」という思考はありません。 見当外れの主張をしないように。 企業のコスト構造は「複利計算構造を内蔵している」にもかかわらず、それを「単利計算構造」や「とびとびの複利計算」で解き明かそうとする古典派会計学が、そもそもの「見当外れ」なのだということを自覚してください。
単利計算構造のCVP分析を信奉している99万9999人に警告しておきます。 損益分岐点を超えると「利益は無限に拡大するのだ」と主張するあなたがたに、東芝の不適切会計を批判する資格はないのだということを。
【資料8:関連ブログ】時系列〔降順〕
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公認会計士高田直芳:『鬼平犯科帳』THE FINAL(フジテレビ)


鬼平犯科帳』THE FINAL
(フジテレビ)


年の暮れで慌ただしい中、録画してあったTVドラマをようやく視聴しました。 中村吉右衛門主演の『鬼平犯科帳』は、放映当初からずっと視聴してきました。
このドラマのおかげで「池波正太郎ワールド」を知り、『鬼平』のほか『剣客商売』『仕掛人藤枝梅安』などを軒並み読破しました。
拙著『決定版 ほんとうにわかる経営分析』(PHP研究所)に登場した柴犬クメハチは、『鬼平犯科帳』に登場する密偵・粂八の名を拝借したものです。
柴犬クメハチの次は、オス犬なら五郎蔵親分にちなんで「ゴロゾー」、メス犬なら「オマサ」にするつもりでいました。
ところが、クメハチのペットロスが大きすぎて、犬小屋はいまだに空きの状態です。
鬼平』の原作は、作者死亡により、未完のままとなってしまいました。 人工知能AIによって、これを完結させることは難しい。 池波正太郎は、全体のストーリーを考えてから書くのではなく、書きながらストーリーを練ることを特徴としていたから。 『イタズラなKiss』(多田かおる)の原作は、作者急逝のために未完のまま終わりましたが、幸いなことに「構想メモ」が残されていたため、アニメ版のほうは完結しました。
イタズラなKiss
ミナトプロ/エムズ
多田 かおる
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鬼平』は、そうはいくまい。 拐(かどわ)かされた密偵おまさの運命は、どうなるのか。 その身をずっと案じ続けるのが、鬼平ファンの「おつとめ」なのかもしれません。
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公認会計士高田直芳:平成29年3月申告用所得税の確定申告の手引(関東信越版)


平成29年3月申告用
所得税の確定申告の手引』
(関東信越版)


2016年12月分の源泉所得税と住民税の特別徴収税額は、その納付期限が、2017年1月10日の火曜日。
うひゃあ~、と思わず悲鳴を上げてしまうのが、前日(1月9日)が、「成人の日」で祝日だということ。 こいつは、正月早々、休日返上だなと。
振り返れば、今年(2016年)の1月10日は日曜日だったので、2015年12月の源泉所得税と住民税の特別徴収税額は1月12日でした。 その前の週で、給与計算を行なう余裕がありました。
日本は、祝日が多くないか。 賃上の引き上げだけでなく、休日出勤を含めたサービス残業に対する賃金を、きちんと支払うべきではないのか。
従前ブログ『平成27年分の源泉徴収票を斜めから読む方法』と、『平成28年分の源泉徴収票を斜めから読む方法』の、「給与・賞与 支払金額」を見比べて気がついたこと。 平成27年分は、6,835,000円。 平成28年分は、6,847,500円。 12,500円だけ増えている。 「アベノミクスの成果を示せ」という指示でもあったのかな。
そもそも、683万円や684万円という金額設定は、高くないか。 国税庁の『民間給与実態統計調査結果』を参照すると、次のデータがあります。

給与所得者数は、4,794万人(対前年比0.8増、38万人の増加)で、その平均給与は420万円(同1.3%増、54千円の増加)となっている。

男女別にみると、給与所得者数は男性2,831万人(同0.9%増、26万人の増加)、女性1,963万人(同0.6%増、11万人の増加)で、平均給与は男性521万円(同1.2%増、61千円の増加)、女性276万円(同1.4%増、38千円の増加)となっている。

正規、非正規の平均給与についてみると、正規485万円(同1.5%増、72千円の増加)、非正規171万円(同0.5%増、8千円の増加)となっている。

やはり、「源泉徴収票の記載例」の金額設定は、高いなと。
と、ぶつぶつ呟いているときに、次の書籍が届きました。 アマゾンのサイトではまだ予約の段階だというのに、いま届いてしまうというのが恐ろしい。 相変わらず分厚く、重い。 年末年始の風物詩を、この手に感じる1冊です。
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公認会計士高田直芳:平成28年分の源泉徴収票を斜めから読む方法


平成28年分の
源泉徴収票を斜めから読む方法


年末年始、企業に勤める給与所得の人たち全員が、源泉徴収票を受け取ったはず。 それを受け取って、「あれ? 去年と様式が違うな」と戸惑った人が多いと推測しています。
はい、旧様式の源泉徴収票はA6サイズでしたが、新様式はA5サイズへと2倍になりました。 その新様式を、大局的な見方をもって、邪道ともいえるノウハウで、説明することにしましょう。
新様式は、国税庁の「平成28年分給与所得の源泉徴収票の記載のしかた」で確認することができます。 その様式を示すと、次の【資料1】の通り。
【資料1】
画像
上記【資料1】の著作権については、著作権法13条2号を確認してください。
上記【資料1】を、このまま眺めていたのでは何がどうなっているのか、さっぱりわかりません。 次の【資料2】で、すべての企業で作成されている損益計算書の様式を掲げます。
【資料2】損益計算書の様式    売上高    売上原価 ★      売上総利益    販売費及び一般管理費      営業利益 ★    営業外損益 ★      経常利益 ★    特別損益 ★      税引前当期純利益 ★    法人税 ★    法人税等調整額 ★      (税引き後の)当期純利益
上記【資料2】に、戸惑う人はいないはず。 この損益計算書の様式を、【資料1】の源泉徴収票に当てはめてみましょう。
【資料1】の「種別 給与・賞与」の行に注目します。
【資料3】
  1. 「支払金額」は、損益計算書の「売上高」に相当します。
  2. 「給与所得控除後の金額」は、損益計算書の「売上総利益」に相当します。
  3. 「所得控除の額の合計額」は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に相当します。
  4. 源泉徴収税額」は、損益計算書の「(税引き後の)当期純利益」に相当します。
【資料1】の「種別 給与・賞与」の行の見方に戸惑ってしまう原因は、【資料2】において黄色のマーカー部分で表わした項目が【資料1】の源泉徴収票で表わされているのに対し、【資料2】において★印で表わした項目が【資料1】の源泉徴収票では省略されているためです。
次に、【資料1】の「社会保険料等の金額」がある行に注目します。
【資料4】
  1. 社会保険料等の金額」「生命保険料の控除額」「地震保険料の控除額」の3点セットは、損益計算書の「営業外損益」や「特別損益」に相当します。
  2. 「住宅借入金等特別控除の額」は、損益計算書の「法人税等調整額」に相当します。
【資料4】の 1. の3点セットと、【資料4】の 2. とは、まったく異なるコストである点に注意しましょう。 【資料2】の損益計算書において、緑色のマーカーで示した「税引前当期純利益」と「法人税等」が、【資料1】の源泉徴収票では示されていません。 これが源泉徴収票をわかりにくくしているといえます。
ちなみに、源泉徴収票ではなく、源泉徴収簿のほうでは、損益計算書の「税引前当期純利益」と「法人税等」に相当するものが、「差引課税給与所得金額」と「算出所得税額」として示されています。 興味のある人は、源泉徴収票だけでなく、源泉徴収簿を見てみるといいでしょう。
【資料1】では、損益計算書の「売上原価」に相当するものが示されていません。 【資料1】の「支払金額6,847,500円」と「給与所得控除後の金額4,962,750円」の関係を、次の【資料5】の式で示します。
【資料5】
    (支払金額6,847,500円)×90%-1,200,000円
      =(給与所得控除後の金額4,962,750円)
【資料5】にある「90%」は、粗利益率(売上総利益を売上高で割った比率)に相当します。 したがって、差し引き10%が、給与所得者の売上原価率(売上原価を売上高で割った比率)になります。 あなたがた労働サービスの原価は「10%にすぎないよ」というのが、政府の方針です。 【資料5】にある「1,200,000円」は、売上値引きに相当します。 平成28年分の源泉徴収票は、ざっと以上のような構成になるのでした。
こういうブログも、まとめサイト(キュレーション)でパクられるのかな。 卑怯千万この上ないし、専門的すぎるのでそれはないか。 というか、今回の説明では、意図的に誤った箇所があります。 源泉徴収税額のところとかね。 パクリ防止のためには、そういうイタズラも必要です。 グレシャムの法則に倣うならば、まとめサイトは、他の良質な情報を駆逐する。
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公認会計士高田直芳:『直感を裏切る数学』神永正博~数学で粉飾決算を見破る方法~


『直感を裏切る数学』神永正博
四色問題』一松 信

~数学で粉飾決算を見破る方法~

従前ブログ「『探偵の探偵』松岡圭祐」では、学園ミステリーからハードボイルド&バイオレンスへと転戦する、と述べておきながら、上掲書2冊を利用して「空間充填曲線」というものに挑んでいます。
従前ブログ「『曲線の秘密』 松下泰雄」でも述べたように、自称「曲線愛好家」なものですから。
上掲書2冊のうち、先に読んだのは『四色問題』のほう。 当時、話題になったから、記憶している人もいると思います。 その四色問題を補うものとして、『直感を裏切る数学』を手に取りました。
一般的に、「雑学・趣味&読書・鑑賞」といったジャンルは、スルー through されることが多い。 でも、意外と重要な情報が隠されていることがあります。
直感を裏切る数学』で面白かったのは、「第1章 第5節 ベンフォードの法則」です。 会計監査に携わる人、税務調査に携わる人、金融機関で融資業務に携わる人、こういった人たちは「ベンフォードの法則」を学ぶといいよ。 ベンフォードの法則とは、決算書や財務諸表ではその先頭の値が「1」で始まるものが非常に多く、2、3、4と数値が上がるにつれて、決算書などで現われる頻度が少なくなる、というものです。 日経平均株価は、なぜ「1」から始まる1万円台で推移するのか。 円ドル相場は、なぜ「1」から始まる100円台で推移するのか。 そうした「なぜ」を問わないのが、ベンフォードの法則です。
ベンフォードの法則を応用すると粉飾決算を見抜ける、と経済学者のハル・ヴァリアンが主張しています。

ヴァリアンがこの説を唱えたのちに、ニグリニという会計学者も、実際にベンフォードの法則を使って粉飾決算が見抜けることを統計的に示しました。

おっと、久しぶりに登場していただくことになりました、ハル・ヴァリアン先生。 本ブログでは、次の関連ブログで取り上げています。
【関連ブログ】
また、次の受賞論文『会計学と原価計算の革新を目指して』末尾にある「関連法令及び参考資料 6」に、ハル・ヴァリアンの著作を引用しています。
いま、不正会計に手を染めている企業よ、ベンフォードの法則で足をすくわれないように。
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公認会計士高田直芳:『探偵の探偵』松岡圭祐


『探偵の探偵』
松岡圭祐


この年末年始、何を読もうかと思案。 学園ミステリーものが続いていたので、ハードボイルド&バイオレンスものとしました。
『探偵の探偵』は、北川景子川口春奈ですでにドラマ化。
悪徳探偵を追い詰める「対探偵課」という舞台設定が斬新。 大道具・小道具も見事。 強大な敵の存在を窺わせる展開が、読み手を飽きさせない。
偶然に偶然が重なるとき、そこには「第三者の意図が隠されている」と、疑ってかからなければならない。 そうか、これを「確証バイアス」というのか。
ヒロインは、かなりのダイハード(なかなか死なない)で、読み応えがありました。
このブログでは、いろんな分野を一刀両断しているので、知り合いから、「外を歩くときは、気をつけたほうがいいよ」と忠告されています。 いまのところ、周辺に怪しい人影はないようです。 尾行する側、される側の、注意すべき事項が、『探偵の探偵』で記述されていて、参考になります。 右利きの人は、左肩を振り返る、という尾行術の話に、なるほどなぁ、と納得しました。
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公認会計士高田直芳:著作物の周知性と数学という世界共通語


著作物の周知性と
数学という世界共通語


DeNA問題に端を発し、いわゆる「まとめサイト」に飛び火して、年の暮れだというのに、著作権問題が喧(かまびす)しい。
著作権は、特許権や商標権と並んで、知的財産権の一つ。 ただし、特許権のような公示力がないのが、著作権の弱いところ。
まず、著作権で重要なのが、これが成立した日付です。 著作権は、ブログなどで簡単に確立される知的財産権でありながら、そのブログの日付を簡単に修正できてしまうのが、著作権の弱いところ。
それを補うために、文化庁では「著作権登録制度」を設けています。
なお、登録のためには、費用を要します。
趣味と実益を兼ねるのが、出版社を介した書籍です。 書籍の裏表紙には出版年月が印刷され、出版された書籍はすべて国会図書館に納本されます。 ただし、出版不況といわれて久しく、「売れる本」でなければ、出版社では受け付けてくれません。 独創的な内容ほど、出版社が受け入れてくれる可能性はゼロに近くなります。 自費出版という手もありますが、これはかなりの出費を強いられます。 しかも、書店に並ぶことはほとんどなく、周知度は低い。 他者に真似られても抗弁しにくいのが、登録制度や自費出版の弱いところです。 つまり、周知性という点が、著作権の泣きどころ。 書籍だけでなく、情報システムなどで、他者(他社)の模倣が横行するのは、著作権の周知性が脆弱な点を突いているからです。
本ブログなどで扱っている、タカダ式操業度分析はどうか。 これは、次の書籍などで、その日付を確認することができます。
【書籍1】
【書籍2】
タカダ式操業度分析は、上記【書籍1】が初出です。 出版年月は、2008年10月。 上記【書籍1】や【書籍2】では、SCP分析(Sales Cost and Profit Analysis)と称していました。 現在では、「タカダ式操業度分析」の呼称で統一しています。
タカダ式操業度分析(SCP分析)の周知性については、次の論文が役に立っています。
【書籍3】
2015年3月に無償公開して以降、数多くの方々の閲覧に供してきました。
書籍にしても論文にしても、これらが執筆者自らの手によるものである場合、周知性は不確かです。 執筆者と何ら関係のない第三者の書籍や論文で、執筆者の紹介や引用があると、世間的な周知性は高い、と考えることができます。 例えば、タカダ式操業度分析(SCP分析)が、第三者によって紹介されている書籍を、以下に掲示します。
【書籍4】
上記【書籍4】で、【書籍2】が参考文献として取り上げられ、タカダ式操業度分析(SCP分析)が紹介されています。 誠に残念なことながら、私は、上記【書籍4】の執筆者とは知己がありません。 上記【書籍4】の出版年月は、2012年10月です。 いま(2016年12月)から4年以上も前。 この時期(2012年10月)すでに、第三者によって周知されていた事実を確認することができます。
タカダ式操業度分析は、自分で述べるのもなんですが、完成度が高く、第三者が「引用」するのは難しい。 上記【書籍4】60ページにある「紹介」が限度でしょう。 理由は、上記【書籍3】の論文を見てもわかるとおり、「指数関数を用いた図表」や「対数関数を用いた数式」には、改変する余地がないからです。 「数学は、世界共通語である」という格言を、ありがたく感じています。 世の中には、「数学嫌い」が非常に多い。 しかしながら、数学は、著作権を守る上で、強力な武器となることを認識したほうがいい。
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公認会計士高田直芳:『惑星カロン』初野晴


『惑星カロン
初野晴


2016年のゴルフのスコアは、85どまり。 練習をほとんどせずに、ぶっつけ本番だったから、しゃあんめぇ、という言い訳に終始した一年でした。
その反動のせいか、ドライバーとパターの種類だけは、中古ショップを営めるほどに揃ってしまいました。
さて、上掲書は、「ハルチカシリーズ」の第5弾。 「学園ミステリー」または「青春ミステリー」と呼ばれるジャンルに属します。 従前ブログ『千年ジュリエット』の続編です。
物語の冒頭で、ヒロインがフルートを買い換えたがる心理に、ドライバーを買い換えたがる自分の姿を重ね合わせてしまいました。
ゴルフはともかくとして、読書傾向は、純文学よりも、ミステリーやサスペンスを好みとします。 ホラーも好き。 レイモンド・チャンドラーばりのハードボイルド系が、最もお気に入り。 本格推理は──、そういえば法月綸太郎『生首に聞いてみろ』以降、すっかりご無沙汰。 来年は、本格推理小説を、拾い集めてみようかなと。 『惑星カロン』では、「密室殺人事件」ならぬ、「密室殺ハムスター事件」という本格推理が登場します。
ハルチカシリーズ前4作を読んでいなくても、この第5作『惑星カロン』はおすすめの一冊。
『惑星カロン初野晴

  • 楽しい青春時代なんて存在しない。
    でも──面白そうに過ごすひとはまわりにあふれていた。

  • 世の中には、いつまでたっても報われない努力があること、どんなに尽くしても大事な場面に立ち会えないひとがいることを知ったいまなら、ないものだらけの十代はとても幸せな時期だったとわかる。

こうした文章に触れるだけでも、この小説を読む価値があります。
『惑星カロン』は、序章、第1章、第2章、第3章と続いて、最終章が秀逸。
  • 人工知能AIの限界はどこにあるのか。
  • 人工知能AIは、人間にとってどのように「役立たせる」べきなのか。
作者独自の世界観が、ハルチカの2人を通して語られています。 まさか、今回の「ブログテーマ」が、「人工知能(AI)vs.会計」に分類されているとは、おいそれとは気づくまい。
死にゆく者が、家族や恋人へ最期に遺(のこ)したものは──、おっと、この先はネタバレになる。 『惑星カロン』は、直木賞候補作になってもいい内容なのに、やはり「学園もの」は難しいのか。 作者へ。 ありがとう、この一冊。
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