公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:安価な原価計算システムを導入する方法

上記タイトルのような質問があった場合、答えは「あります」。 原価計算を解説した書籍を購入し、米マイクロソフト社の表計算ソフトExcelを使って、自分で制作することです。 出費額は書籍購入代だけですから、これが最も安価な方法です。
「総額でいくらになるのか」という問いは、書籍を購入してそれを勉強し、開発に取り組んで完成するまでの「日数×人員×日当」で計算することができます。
それが原価計算システムの「機会費用 opportunity cost 」になります。
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ただし、高額であるか、安価であるか、という問題は、実はナンセンスです。 それを以下で論証してみましょう。
まず、自主開発には、大きなデメリットがあります。 原価計算だけでなく、簿記や財務会計などの習得に、膨大な時間を要するからです。
それらをマスターしてシステムの開発に取りかかるとなると、完成までにどれだけの歳月を要することか。 特に間接費や共通費の扱いと、その直前で計算される限界利益スループットの扱いには悩むことでしょう。 スループット限界利益とはほぼ同義であり、貢献利益や変動利益とも呼ばれます。
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「机上の空論」が好きな人は、「スループット限界利益は違う!」と主張しますが、実務家からすれば同義です。
M&Aの世界では「時間を買う」というフレーズが、しばしば用いられます。 自ら事業を立ち上げていては、軌道に乗るまで何年かかるか、わからない。 成功するかどうかも、わからない。 資金をどれだけ投入すればいいのかも、わからない。 そうした時間とカネを節約するために行なわれるのがM&Aであり、「機会損失 opportunity loss 」を最小に抑える経営戦略です。 原価計算システムの開発・導入も同じです。
次なるデメリットは、原価計算を解説した書籍はすべて、1次関数の単利計算構造に基づいて記述されていることです。 標準原価・予定原価・基準原価など、様々な名称がありますが、そのすべてに共通しているのは「単利計算構造の原価計算である」という点です。 「単利計算構造の原価計算」というのは、今日稼いだキャッシュを明日へ再投資せずに、金庫に死蔵することをいいます。 単利計算自体は、預金の利息計算で馴染みがあるはずです。 ところが、企業活動をよくよく観察すると、次の事実を確認することができます。
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、現実の企業活動は、複利計算構造を内蔵しているのです。 その理論をまとめて、奨励賞という栄誉を得たのが、次の受賞論文です。
次の本は、上記の受賞論文を書籍化したものです。 アメリカなどの海外の論文や書籍を調べてみても、企業のコスト構造を複利計算構造(正確には「自然対数の底e」を用いた指数関数)で説いた論文や書籍は、1本も1冊も存在しないことを念押ししておきます。 したがって、1万人の公認会計士やシステム・エンジニアが集結しようとも、上場企業3千社が束になってかかろうとも、彼ら(彼女ら)が開発し利用するシステムは、あくまで「単利計算構造の原価計算システム」になります。
企業活動は複利計算構造を内蔵しているにもかかわらず、それを単利計算構造で解き明かそうとする理論には、重大かつ明白な瑕疵があることは明らかです。 定期預金を複利運用で預けておいたのに、銀行の窓口で「お利息は単利で計算しました」と説明されたら、「預金者の暴動」が起きます。 瑕疵ある理論からは、瑕疵ある実務解しか導かれないことを、次のコラムで、上場企業の決算データを用いて実証しています。
ダイヤモンド・オンライン『大不況に克つためのサバイバル経営戦略』 第128回「アベノミクスでハローキティの付加価値が急落?       現代の会計理論が容認する情報システムによる隠蔽工作」 第141回「損益分岐点や限界利益は、暗愚が用いる指標なり       瑕疵ある理論からは瑕疵ある実務解しか導かれない
企業会計審議会『原価計算基準』も、単利計算構造で制定されていますから、その権威をもってしても「瑕疵ある会計基準」を治癒することはできません。
原価計算システムのセールス文言に「このシステムは、企業会計審議会『原価計算基準』に則っています」と記述されていることがあります。 これは「瑕疵ある会計基準に則っています」と自白しているようなもの。 「瑕疵ある理論」や「瑕疵ある会計基準」で構築された原価計算システムに「欠陥はない」と主張するのは、三段論法の破綻です。 そもそも、1962年(昭和37年)以来、一言一句、一度も改定されたことのない会計基準原価計算基準』が、現在でも通用すると考えていること自体に、大きな誤りがあるのです。 1962年(昭和37年)というと、いまから何年前か、わかりますか。 以上で述べてきたように、原価計算システムが高額であるか、安価であるか、というのはナンセンスなのです。 価格の高低にかかわらず、瑕疵ある理論によって構築された原価計算システムは、瑕疵あるデータしか弾き出さないのですから。
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論より証拠。 「複利計算構造の原価計算システム」とは如何なるものか。 Vectorで公開している、次のフリーソフトで確認してみてください。
論文受賞歴や著作歴のないシステムやコンサルティングとは一線を画します。
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