公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:東芝問題は対岸の火事なのか


東芝問題は「対岸の火事」なのか

過去のブログ記事で、次の【資料1】に言及しました。
【資料1】
  1. 例えば円安によって資材が高騰し、工事原価の実際発生額が4億円におさまらず、実は6億円であったとしましょう。
  2. 東芝社長のいう予算が、売上高のみであったならば、「不適切な会計処理」が行なわれる確率は低かったでしょう。売上値引きをがんがん行なえば、売上高の必達など容易ですから。
その後の日本経済新聞では、次の記事が掲載されていました。
【資料2】
  1. 東芝は家電の大半を海外生産している。構造的な円高への対応を進めてきた結果だが、この数年の円安で裏目に出た。
    日本経済新聞(2015年5月20日)
  2. 東芝は不適切会計問題を受け、個別のインフラ関連工事の利益見通しを現場が経営陣に報告するよう管理体制を見直した。工事の採算性より受注を優先しがちな事業部門の意向が問題を招いたとみられるためだ。
    日本経済新聞(2015年5月21日)
日付は、上記【資料2】よりも、【資料1】のほうが先です。 ブログは遡及修正がいくらでも可能なので、上記【資料1】のほうが先だ、と証明することはできません。 ただし、「不適切な会計処理」は類型化することができるので、そんなに的外れになることはないようです。
ときどき、粉飾決算、というか、不適切な会計処理は「必ずバレるものなのか」と問われることがあります。 簡単にバレることもありますし、そう簡単にはバレないこともあります。
第一に、会計監査では、現場に乗り込む前に、重点監査チェックリストを作成します。 民主党政権下で進んだ超円高時代に、生産部門を海外へ移転した企業は、いまの円安にどう対処しているのか。 生産部門をいったん、海外へ移転してしまうと、円安になったからといって、そう簡単に国内回帰できるわけではありません。 そうなると、どこかで無理をしていることになります。 監査の現場に乗り込む前に、想定されるリスクを抽出し、チェックリストとして作成しておきます。 現場に臨んで、そのチェックリストを帳簿にかざすと、帳簿のほうから「ここよ、ここよ」と手招きしてくれます。
第二に、近年の有価証券報告書は、非常に分厚いものとなっています。 単体財務諸表の作成が簡略化されても、それを上回る量の記載事項が増え続けています。 しかし、有価証券報告書がどれだけ分厚くなろうとも、企業の姿は究極的には、損益計算書と貸借対照表の2種類に「昇華」されます。 損益計算書を取り繕えば、それは必ず貸借対照表に歪(ゆが)みをもたらします。 そこを監査で、つつくわけです。 ですから、本気で粉飾(利益の水増し)に取り組もうとするのであれば、損益計算書よりも、貸借対照表に細心の注意が払われなければなりません。
「おいおい、公認会計士が、そんなアドバイスをしてもいいのかよ」という批判は、ごもっとも。 どんなに細心の注意を払って粉飾決算に取り組んでも、バレるときはバレるのです。 そのキッカケは、主流派と反主流派の対立から生まれる内部告発です。 人の口には戸が立てられぬのですから、それに恨みが重なれば、容易にバレるというわけです。 これが第三のポイントです。
さて、民主党政権下の超円高時代に、生産部門を海外へ移転した企業は、東芝だけではなかったはず。 この2015年3月期決算は、みんな、無事に乗り越えたのでしょうか。 私は情に流される人間なので、今年の監査が嫌で嫌でたまりませんでした。
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