公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:キャッシュフローの話【その1】倒産確率デフォルト方程式

今回のブログ記事は、ダイヤモンド/オンライン第145回「増税で混迷のヤマダ、ビック、エディオン、ケーズ。倒産確率デフォルト方程式などの独自分析で斬る!」を手直ししたものです。 以下の複数回に分けることにしました。
 【その1】倒産確率デフォルト方程式(本編)  【その2】回転期間分析  【その3】ランニング・ストック方程式  【その4】最適キャッシュ残高とデフォルト残高  【その5】タカダ式フリーキャッシュフロー
「現金預金の最適残高」や「棚卸資産の最適在庫」を語る学者や実務家はゴマンといますが、では、それはどうやって算出するのか。 机上の空論が蔓延(はびこ)る「経営管理の世界」を、バッサリと斬り捨ててご覧に入れましょう。
さて、近年、統計学ブームやビッグデータ解析によって、「確率・統計」に注目が集まるようになったのは、喜ばしいことです。 ただし、「標準偏差」という響きに尻込みをしてしまう人は多いらしく、ブームも一過性の感があります。 株式投資の世界でしばしば登場する「ボラティリティ」という指標は、「標準偏差のことである」と知っている人は、どれくらいいるでしょうか。
「現金預金の最適残高」や「棚卸資産の最適在庫」を求めるにあたっては、身の毛もよだつ、この標準偏差を用います。
現金預金などの最適残高を説明する前に、「倒産確率デフォルト方程式」を紹介しておきます。 扱いかたを一歩間違えると、風説の流布金融商品取引法158条・173条)になりかねない「悪魔の方程式」です。 以下で取り上げる家電量販店4社(ヤマダ、ビックカメラエディオン、ケーズと表記する)は、売上債権(受取手形売掛金)が少なく、キャッシュが多いという特徴を有します。 かつて経営危機に陥ったダイエーが、しばらくの間、存続できたのは、日銭が入る商売だったから、という特徴があります。 日銭商売の流通業界に、倒産確率デフォルト方程式を当てはめても、風説の流布にはならないだろう、と判断しました。
「倒産確率デフォルト方程式」にある「デフォルト」とは、債務不履行のこと。 債務を履行できない原因には、様々なものがあります。 その中で単純明快なのは、金策が尽きること。 どんなに豊富なキャッシュを抱えていても、それを上回る買入債務(支払手形+買掛金)が押し寄せては、デフォルトに陥ります。 そこで、実際の現金保有残高(実際キャッシュ残高)が減っていき、買入債務などで支払いを要する資金残高(デフォルト残高)に近づけば近づくほど、倒産する確率は高くなるものと仮定します。 それを方程式で表わしたものが、次の〔図表1〕です。
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〔図表1〕の方程式の詳細については、次の拙著を参照してください。 日本だけでなく、欧米の「確率・統計」に関する書籍や学術論文を参照しても、〔図表1〕と同じものはありません。 筆者オリジナルの方程式です。
〔図表1〕の概要を紹介しておくと、左辺の「b」が、デフォルトになりかねない実務解(現金預金残高)を表わします。 右辺の分子にある「S」は、上掲書『会計&ファイナンスのための数学入門』では「1.88」の定数としています。 「S」の右横にある「σ(シグマ)」は、標準偏差のこと。 例えば「1.88σ」とした場合、それは「標準偏差の1.88倍」という意味です。 月次決算において、30日のうち1日(30分の1=3%)は資金繰りに窮するだろうと想定しました。 「1.88σ」と「3%」との関係は、次の〔図表2〕で示すように、表計算ソフトのNORMSDIST関数で表わすことができます。
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生産管理の世界では「シックスシグマ」という用語があります。 これは「6σ」のことであり、「標準偏差の6倍」という意味。 この「6σ」を、NORMSDIST関数に代入すると、次の〔図表3〕になります。
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〔図表3〕は、10億分の1の確率を表わします。 すなわち、10億個の製品を作った場合に、不良品の発生を1個に抑えること。 これが生産管理における「シックスシグマ」です。
続きはこちら↓ キャッシュフローの話【その2】回転期間分析