公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:キャッシュフローの話【その4】最適キャッシュ残高とデフォルト残高


キャッシュフローの話【その4】
最適キャッシュ残高とデフォルト残高

『会計&ファイナンスのための数学入門』補足説明

以下は「キャッシュフローの話【その3】ランニング・ストック方程式」の続編です。
さて、企業に対する経営分析は、「収益性分析」と「キャッシュフロー分析」という二本柱から構成されます。 先ほど紹介した回転期間分析は、キャッシュフロー分析に属します。
売上債権や棚卸資産の回転期間が長くなれば、それは営業運転資金回転期間を延ばすことになり、キャッシュフローを窮屈なものとします。
買入債務の回転期間が延びれば、それは営業運転資金回転期間を短縮させることになり、キャッシュフローに余裕を持たせることになります。
特に棚卸資産は、棚に札束を放置することと同じであり、棚卸資産が多ければ多いほど、キャッシュを殺すことになります。 その「殺されかた」を調べたのが、次の〔図表13〕から〔図表15〕までです。
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〔図表13〕から〔図表15〕までにある黒色の実線は、連結財務諸表の現金預金残高です。 赤色の実線は、〔図表1〕の「倒産確率デフォルト方程式」で求めました。 青色の実線は、〔図表12〕の「ランニング・ストック方程式」を、「キャッシュフロー方程式」と名を変えて展開しました。 〔図表13〕から〔図表15〕までに共通するのは、図表の左端で、青色の最適キャッシュ残高が、黒色の実線で描いた実際キャッシュ残高を上回るか(ヤマダ&エディオン)、接近しているか(ケーズ)、です。 これは東日本大震災の影響でしょう。 その後、ヤマダ〔図表13〕とエディオン〔図表14〕は、実際キャッシュ残高を急速に減らしています。 特にエディオンの場合、図表の右端で、青色の最適キャッシュ残高と赤色のデフォルト残高とが、黒色の実際キャッシュ残高を上回る事態となっています。
この程度で、「すわ、一大事」と騒がれては困ります。 〔図表7〕において、赤色で描いた棚卸資産回転期間の周期性を、よく見てください。 エディオンの場合、毎6月期の棚卸資産回転期間は低下する周期性をもっています。 ところが、途中の期から、低下するどころか、上昇してしまっています。 〔図表7〕の右端で起きた逆転現象が、〔図表14〕の右端で、一時的に逆転現象を引き起こしたようです。 ここは十分に注意してほしいのですが、エディオンの最適キャッシュ残高やデフォルト残高が、実際キャッシュ残高を上回ってしまっているからといって、それで「風説の流布」と評価されては困ります。 他の業界ならいざ知らず、現金商売の小売業界は「当座のキャッシュ」に困りません。 ヤマダ〔図表13〕の実際キャッシュ残高が750億円もあるのは、店舗の数に比例しているといえるでしょう。 現金預金は、組織が大きければ大きいほど、その中で「まわす」ことができるのです。
続きはこちら↓ キャッシュフローの話【その5】タカダ式フリーキャッシュフロー