公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:自己資本利益率ROEのランキング


自己資本利益率ROEのランキング

2015年6月3日付の日本経済新聞「会社番付2015(6)」では、自己資本利益率ROEのランキング表が掲載されていました。
前日の「会社番付2015(5)」は、自己資本比率のランキング表でした。 この、自己資本比率のランキング表で注意すべき点は、前回のブログ記事「自己資本比率ランキングの虚構」で説明しました。
自己資本利益率ROEと、自己資本比率との間には、次の【資料1】の関係があります。 ダイヤモンド・オンライン第98回「インカムゲイン型のKDDIは、キャピタルゲイン型のソフトバンクを追撃できるのか」からの転載です。
【資料1】
画像

上記【資料1】(2)式で明らかなように、自己資本利益率ROEと、自己資本比率との間には、トレードオフの関係があります。
すなわち、「経営の安定性」を強めようとして自己資本比率を高めることは、自己資本利益率ROEを低めることになります。
「わが社は、ROEと自己資本比率を、重点指標として掲げています」と自慢する企業経営者に、時々お目にかかることがあります。 また、株式投資で、「ROEと自己資本比率とがともに高い企業を選んで投資しよう」と唱える人にも、時々お目にかかります。 会計知のない人に、上記【資料1】を説明するのは面倒なので、「そうですか、頑張ってください」と答えることにしています。
上掲の日本経済新聞「会社番付2015(6)」では、次の記事がありました。
2014年度決算で自己資本利益率(ROE)の高い企業をランキングしたところ、高収益のスマートフォンスマホ)やウェブサービス関連企業が上位に並んだ。
日本経済新聞「会社番付2015(6)」
2015年6月3日
なぜ、スマホ関連などの企業が、ランキングの上位を占めるのでしょうか。 高収益体質であることはいうまでもありません。
自己資本利益率ROEは、利益を、自己資本で割ったもの。 スマホ関連などの企業は、分母の自己資本が小さいから、自己資本利益率ROEは高くなるのだ、という解釈では不十分です。 上記【資料1】(1)式を見ると、「総資本」があります。 総資本とは、貸借対照表の左側にあるもの。 スマホ関連などの企業は、総資本(貸借対照表の左側)が非常に小さいために、自己資本利益率ROEのランキング表を作成すると、上位に名を連ねるのです。 上記の日本経済新聞記事で「ネット企業は製造業と違って大がかりな設備投資を必要とせず」とあるのは、総資本が小さいことと同義です。 ただし、上記【資料1】(1)式の分母と分子に「総資本」があるので、総資本の大小だけで自己資本利益率ROEが左右されることはないですけれど。
なお、上記【資料1】をさらに変形すると、「デュポン方式」というものが導かれます。 詳細は、次の拙著72ページで説明しています。
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