公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:『ルポ内部告発 ~なぜ組織は間違うのか~』村山治


『ルポ内部告発 ~なぜ組織は間違うのか~』
村山治


三菱自動車船場吉兆ミートホープなどの内部告発を扱った一冊。
内部告発者に取材した話が中心であり、副題「なぜ組織は間違うのか」といった提言は不足しているかも。 それは読者のほうで考えよう、ということなのでしょう。
上記の書籍を読んで、ふと思ったのは、もし、上場企業で「不適切な会計処理」が行なわれていた場合、(あくまで仮に)企業外部の会計監査人は、金融庁証券取引等監視委員会へ内部通報できるのかな、ということ。
会計監査人であれば、企業の(顧問弁護士を通した)内部通報制度は利用しづらいでしょうし。 会計監査人であれば、証券取引等監視委員会を納得させられるだけの資料を保管しているわけだし。
何年にもわたって上場企業で「不適切な会計処理」が行なわれ、会計監査人が再三、是正を勧告しているにもかかわらず、上場企業が会計監査人の勧告を無視し続ける場合、会計監査人としては──、
  1. 監査報告書に「不適切な会計処理」がある旨を記載するか、
  2. 監査契約を打ち切り、黙って退任するか、
といった選択肢が考えられます。 それ以外に、会計監査人から、証券取引等監査委員会への通報という選択肢もあり得るのかなと。 上場廃止の可能性も出てくるので、究極の「伝家の宝刀」といえるかもしれません。 もちろん、会計監査人には、厳格な守秘義務があります(公認会計士法27条)。 いまだかつて、証券取引等監視委員会への内部通報という「宝刀」を抜いた会計監査人はいないと推測しています。
上掲の書籍では、日本原子力学会の倫理規程を紹介しています。

「会員は、公衆の安全上必要不可欠な情報については、所属する組織にその情報を速やかに公開するように働きかけるとともに、必要やむを得ない場合は、たとえ守秘義務違反に係る情報であってもその情報を開示する等により、公衆の安全の確保を優先させる」

「ルポ内部告発」215ページ
「公衆の安全」を、「投資家の保護」へと読み替えるのは、かなり無理があるか。 たとえ匿名であっても、会計監査人から証券取引等監視委員会への通報は、やってはいけないですね。 何年かかろうとも、上場企業を説得する努力をしましょう。