公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:続・不正会計と粉飾決算の境目


続「不正会計」と「粉飾決算」の境目

前回のブログ記事『「不正会計」と「粉飾決算」の境目』では、日本経済新聞のいう「不正会計」と「粉飾決算」の定義に、首を傾げました。
とはいえ、大メディアが定義してしまうと、大多数の人たちは、それが真実だと受け止めてしまいます。
このブログの影響力は微少であり、大メディアに対抗する力など、まったくありません。
しかしながら、おかしいものは、おかしい、と述べておくことにします。
まず、2015年7月21日付の日本経済新聞「きょうのことば」で、次の記事がありました。

損失隠しや利益の水増しが組織的に行われ悪質性が高くなると「不正会計」、刑事告発されて事件になれば「粉飾」と呼ぶのが一般的だ。

日本経済新聞、2015年7月21日付
上記の記事は、何度読んでも、「不正会計 → 粉飾決算」というように、発展型で読めてしまいます。
「不適切な会計処理」「不正」「誤謬」「粉飾決算」「逆粉飾」の区別については、次のブログで紹介しました。
【関連ブログ】東芝で今度は「利益の先食い」と「評価減の先送り」
上記のブログでは、日本公認会計士協会不適切な会計処理が発覚した場合の監査人の留意事項について』が、不適切な会計処理について、次の通り定義していることを紹介しました。

本研究報告では、不適切な会計処理の定義を「意図的であるか否かにかかわらず、財務諸表作成時に入手可能な情報を使用しなかったことによる、又はこれを誤用したことによる誤り」(過年度遡及会計基準第4項における「誤謬」と同義)とする。

意図的に行なうものを「不正」といい、意図的でないものを「誤謬」といいます。 次に、不正や誤謬に関係なく、利益を過大表示することを「粉飾決算」といいます。 その反対に、利益を過小表示することを「逆粉飾」といいます。
以上が、「不適切会計」や「粉飾決算」に関する、私の理解です。 表にまとめると、次の【資料1】の通り。 【資料1】
 

粉飾決算

逆粉飾

不正

(A)

(B)

誤謬

(C)

(D)

東芝問題は、【資料1】(A)に属します。 儲かりすぎて脱税に走ろうとするオヤジが取り組むのが、【資料1】(B)です。 会計監査人が監査の現場で、企業に対して是正を求めるのが、【資料1】の(C)や(D)です。 【資料1】はどう見ても、「不正会計 → 粉飾決算」という発展型にはなり得ないことがわかります。
会計監査人が、上場企業について、【資料1】(A)を発見し、その是正を求めるのは非常に難しい。 たった一言「これはダメ」と言い放って、何百人・何千人という社員やその家族の生活を奪う権利は、会計監査人にはありません。 監査というのは、本当に難しい。 だから、上場企業の経営者には、監査で指摘される前に、自ら襟を正す姿勢が求められます。 それが、コーポレート・ガバナンス(企業統治)というものです。
今回の東芝問題で、監査法人に対する風当たりは、いつにも増して厳しい。 しかし、現場の苦労を知らない者が、安易な批判をしているのを見ると、腹が立つ。 監査法人が対外的に釈明することはないでしょうから、私が代弁しておきます。 メディアにとって、企業はスポンサーなので、あしざまには批判できない、という事情も、今回の東芝問題では考慮する必要があります。
私は、次の受賞論文で、学者や専門家たちが信じて疑わない「一般的見解」や「絶対的通説」に、たった一人で闘う覚悟を決めているので、へいちゃらです。
CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)を信奉する人たちが、東芝問題を批判する資格がないことを、次の関連ブログで述べていることを、改めて確認しておきます。
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