公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:アクルーアルという指標が実務で役に立たない理由


「アクルーアル」という指標が
実務で役に立たない理由


2015年7月23日付の日本経済新聞に、「アクルーアル accrual 」という指標が紹介されていました。
その記事のポイントを並べると、次の【資料1】の通り。
【資料1】日本経済新聞2015年7月23日付

  • 会計発生高とも呼び、会計上の利益とキャッシュフローの差額。

  • 決算上の利益の「質」を見極める指標で、東芝の不適切会計問題を機に一気に注目が高まった。

  • 質の高い利益を上げる企業は通常はマイナスになる。

  • 「低アクルーアル企業」の株価が高いパフォーマンスを上げているのが今の市場。

  • アクルーアルという指標には株価に関する情報が含まれていない。

  • 株価が高いか安いかを全く判断できないため、質の高い銘柄がいつまでも上がり続け、逆の銘柄がずっと放置される事態を助長する。

アクルーアルという指標は、別段、目新しい指標でもなんでもありません。 2006年3月に刊行した、次の拙著69ページ以降で紹介しています。
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今になって、「何を言っているんだか」という指標です。
アクルーアルを式で示すと、次の【資料2】の通り。
【資料2】 (アクルーアル)
上記【資料2】を、正面から見ているだけでは、何を表わしているのか、よくわかりません。 裏から見て、これを単純に言い表わすならば、「売掛金棚卸資産と買掛金の増減額」に、「減価償却費や引当金などの非資金費用」を考慮したものです。 つまり、「運転資金と非資金費用」のプラスとマイナスを逆にしたのが、「アクルーアル」です。 発生主義会計に基づく金額(会計発生高)であることは間違いありません。
アクルーアルが低い企業というのは、資金需要が高い企業のことです。 資金需要が旺盛な企業というのは、売上高が伸びて、それに資金調達が追いついていないことを表わします。 不良債権や不良在庫が増加しても、運転資金は増加します。 つまり、アクルーアルは、その場合も低下します。 そういう矛盾を抱えていることから、アクルーアルは、株価と連動しないのです。
上記の日本経済新聞では、アクルーアルについて、次の特徴も紹介されていました。
【資料3】日本経済新聞2015年7月23日付

アクルーアルは「不透明な会計処理や粉飾会計を見抜くためにも利用される」

それは、ない、ない。 資金需要と減価償却費の組み合わせで、粉飾決算など見抜けるわけがありません。 論理性がまったくない指標を用いて、「これは粉飾決算だ!」と騒ぐと、「風説の流布」になりかねないので、気をつけましょう。 ああ、でも、運転資金の部分を抜き出して、売掛金回転期間や棚卸資産回転期間にまで分解していくと、粉飾決算を見抜ける可能性があります。 それは次の拙著で説明しています。 粉飾決算のニオイを嗅ぎ取るのであれば、次の関連ブログでも紹介したように、タカダ式操業度分析のほうが、「企業の腐臭」を浮かび上がらせます。
【関連ブログ】
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