公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる









はてなブログは、ウェブリブログのバックアップ用であり、更新には数日の遅れがあります。

はてなブログ内のリンクはすべて、ウェブリブログへ接続します。

公認会計士高田直芳:経済産業省と中小企業庁の野望が見え隠れ

タカダ式原価計算&管理会計システム すべてを表示 企業分析&経済・時事

経済産業省中小企業庁の野望が見え隠れ

中小企業庁のウェブサイト『5.4 直接原価方式による損益計算書の作成・計算手順』では、費用を固定費と変動費とに分解する例が示されています。
これを「勘定科目法による固変(こへん)分解」といいます。
この分類方法が妥当かどうかは、各自が判断すればいいこと。
注意したいのは、【製造業】【卸小売業】【建設業】の3分類しか例示されないのは、時代の流れに取り残されつつあるといえます。
もうそろそろ、改定してもいいんじゃないかな。
ところで、日本経済新聞eラーニング『よくわかる管理会計入門』の受講生から、日本経済新聞社を通して、次の趣旨の質問が寄せられました。
「IT企業やコンサルティング会社のコストを固定費と変動費に分解する場合、製造業の例を用いるのか、卸小売業の例を用いるのか」
いい質問です。
製造業や卸小売業は「有形物」を扱うのですから、ソフトウェアやコンサルティングという「無形物」を扱う企業は、このままでは製造業にも卸小売業にも該当しません。
ところが、見方を変えると、別の面が見えてきます。 例えば「付加価値を生む企業かどうか」という視点です。 製造業は、原材料を仕入れ、工場内で加工という付加価値を加えて、それを製品化して販売します。 それに対して、卸小売業は、自ら付加価値を加えることなく、左から仕入れて右へ販売するだけです。 それを補うのが、薄利多売というビジネスモデル。 IT企業と一口にいっても、自らソフト開発を手がける企業から、他社が開発したソフトを仕入れてそれを販売する企業に至るまで、数多くのビジネスモデルがあります。
付加価値という面に着目した場合、自社内で付加価値を加えているIT企業は、製造業に近いものとなります。 コンサルティング業務に独自のノウハウがある場合、それは付加価値を加えることと同じであり、製造業に近いものとなります。 一方、第三者が開発したソフトウェアを仕入れてそれを販売する企業は、卸小売業に近いものとなります。
セブン&アイの「セブンプレミアム」や、イオンの「トップバリュー」のように、自ら付加価値を加えた商品を販売する小売業があります。 また、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、日本国内で商品開発を行ない、製造は海外に委ねて完成品を輸入し、それを日本国内で販売する小売業です。 こうした企業を「製造小売業(SPA:Speciality store retailer of Private label Apparel」と呼びます。 製造業や卸小売業といった画一的な分類は、事実上、消滅しているといえるでしょう。 付加価値を生む企業なのかどうか、という視点で、企業活動を観察する必要があります。
IT企業やコンサルティング会社において、社内で付加価値を加えているのであれば、その加工費や人件費は、固定費になります。 外部にシステム開発を委託して、完成ソフトを仕入れて外部へ販売する企業の場合、委託開発費は変動費になります。 IT企業のコストについて、それが固定費なのか変動費なのかは、付加価値を加えているかどうか、に着目することになります。
ところで、中小企業庁や、その親にあたる経済産業省のウェブサイトは、ユニークな情報発信力を持っています。 かつて、中小企業庁では、『中小企業の会計』という会計基準を公表したことがありました。 これでは、会計基準を策定する組織たる、企業会計基準委員会などのメンツが丸つぶれ。 案の定、その後、企業会計基準委員会などが、中小企業庁から引き継ぐことになりました。
昨年(2014年)から、ROE(自己資本利益率)を経営目標とする上場企業が増えました。 これは、経済産業省持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~』がキッカケ。 こういうのは本来、金融庁東京証券取引所が音頭をとるべきもの。 経済産業省中小企業庁は、「会計の世界」に進出しよう、という野望を抱いているのかな、と邪推するのでありました。 官僚の世界でも競争原理を働かせる、という点で、これはこれで望ましい。
広告を非表示にする