公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:直接原価計算・活動基準原価計算・原価企画は、なぜ、破綻するのか


直接原価計算・活動基準原価計算
原価企画は、なぜ、破綻するのか

『高田直芳の実践会計講座 原価計算』
補足説明


次の関連ブログでは、上場企業3千社や中堅中小企業100万社で採用されている予定原価計算や標準原価計算には「理論上の瑕疵」があり、実務面で破綻していることを論証しました。
【関連ブログ】
どこに「理論上の瑕疵」があるのかは、現場を観察すれば、すぐにわかること。
すなわち、企業実務の最前線で従業員とともに汗を流していると、次の【資料1】の事実を観察することができます。
【資料1】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
以上のように、製造業や流通業を問わず、企業のコスト構造は、無限回数の複利計算構造を内蔵していることがわかります。
それに対して、予定原価計算や標準原価計算は、1次関数で構築されています。 1次関数とは単利計算構造のことであり、次の瑕疵(かし)を指摘できます。
  • 複利運用された預金利息を、単利計算の式で検証できるわけがない。
  • 複利計算構造を内蔵するコスト構造を、単利計算構造の予定原価計算や標準原価計算で取り組めば、破綻するのは明らか。
  • 単利と複利の違いは子どもでも理解できるのに、上場企業3千社や中堅中小企業100万社にいるオトナたちは誰一人として理解できていない。
なぜ、オトナたちは、理解できないのでしょうか。 理由の第1は、企業実務を知らない学者が、額に汗することなく、「机上の空論」を振りかざしているからです。 理由の第2は、上場企業やコンサルティングファームなどが、学者の権威にひれ伏し、学者の提灯持ちに成り下がっているからです。 だから、企業のコスト構造が複利計算構造を内蔵しているという事実に、誰も気づかないのです。 そうしたことを、上記の【関連ブログ】で述べました。
以上の主張は、独りよがりの話ではなく、次の【資料2】に示す、新日本法規財団 奨励賞 受賞論文でも証明しました。
【資料2】
上記の受賞論文では、企業のコスト構造を、複利計算構造で解き明かすことを述べています。 日本だけでなく、欧米にもない、オリジナルの理論です。
予定原価計算や標準原価計算に取り組んでいる企業からは、次のような反論があるでしょう。 すなわち、予定原価計算や標準原価計算は、企業会計審議会『原価計算基準』で定められているものであり、おカミの意向に従った原価計算制度を採用して「どこが悪いのだ」と。 その『原価計算基準』は、いつ、定められたものか、知っていますか? 答えは、1962年(昭和37年)です。 1962年(昭和37年)に制定されて以来、今日(2015年9月)に至る53年間で、何度の改正があったか、知っていますか? 答えは、一言一句、改正されたことがありません。
東海道新幹線が開通したのは、『原価計算基準』が制定された2年後の1964年です。 東京オリンピックの開催も、『原価計算基準』が制定された2年後の1964年です。 アニメ『鉄腕アトム』のテレビ放映が開始されたのは、『原価計算基準』が制定された翌年の1963年です。 企業会計審議会『原価計算基準』が制定されたのは、鉄腕アトムよりも前なのです。 しかも、この53年間、一言一句、改正されたことがない。 それにもかかわらず、53年後の現時点(2015年9月)でも、予定原価計算や標準原価計算は正しいのだと、上場企業3千社や中堅中小企業100万社は思い込んでいるのです。
1962年(昭和37年)当時、企業会計審議会でも、さすがに予定原価計算や標準原価計算では「問題がある」という認識があったのでしょう。 その証拠に、『原価計算基準』の後半では、直接原価計算に言及しています。 ところが、直接原価計算にも「理論上の瑕疵」があり、これを実務で利用しようとするならば、確実に破綻します。
理由の1つめは、直接原価計算は、CVP分析に立脚しているからです。 CVP分析は別名、損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析とも呼ばれます。
【関連ブログ】
このCVP分析は、企業のコスト構造を、1次関数の直線形で描写するものです。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 上記【資料1】の事実とは相反することから、CVP分析は確実に破綻します。 CVP分析に立脚する直接原価計算にも当然、「理論上の瑕疵」があることになり、直接原価計算も実務面で確実に破綻します。
理由の2つめは、直接原価計算やCVP分析の「理論の硬直性」にあります。 CVP分析が確立されたのは、いつだか知っていますか。 答えは、1920年(大正9年)です。 現在に至るまでの1世紀! 何の革新性もなく、企業実務を知らない学者たちが語り継ぎ、学者の提灯持ちに成り下がった上場企業やコンサルティングファームなどが利用してきた歴史を、そこに見ることができます。
【関連ブログ】
いえ、直接原価計算にも、若干の進展はあったようです。 次の【資料3】で示すような「固定費の分類」が語られてきたのですから。
【資料3】

  1. 個別固定費、共通固定費

  2. 管理可能固定費、管理不能固定費

  3. 既決固定費、未決固定費

  4. キャパシティ・コスト、コミテッド・コスト

ただし、【資料3】にはすべて「理論上の瑕疵」があります。 上記【資料3】はすべて、単利計算構造を基礎としているからです。
企業内部で、CVP分析や直接原価計算を利用している場合、次の【資料4】にある方法によって固定費と変動費とを分解するケースが多いことから、上記【資料3】に示した「固定費の分類」にも有用性がある、と主張する人もいるでしょう。
【資料4】固定費と変動費とに分解する方法(固変分解)

  1. 勘定科目法

  2. 費目別精査法(科目別按分法・科目別比率法)

  3. 最小自乗法(最小2乗法)

残念ながら、上記【資料4】のいずれの方法で固定費と変動費とに分解したところで、そこには「理論上の瑕疵」があります。 なぜなら、上記【資料4】の方法はすべて、1次関数 → 単利計算構造に帰着するからです。 それは上記【資料2】の受賞論文18ページで、マツモトキヨシホールディングス有価証券報告書データを用いて論証しました。
本ブログでは、次の【資料5】に示す原価計算制度のうち、1. から 3. までについて論証してきました。
【資料5】

  1. 予定原価計算

  2. 標準原価計算

  3. 直接原価計算

  4. 活動基準原価計算(ABC・ABM)

  5. 原価企画

上記【資料5】の「 4.活動基準原価計算」と「 5.原価企画」も、単利計算構造に基づいていますから、そこには「理論上の瑕疵」があり、実務面で破綻しているのは明らかです。 それにしても──、 「キャパシティ・コスト」「コミテッド・コスト」「ABC・ABM」という表記を見ていると、日本の文系学問にオリジナリティは存在せず、欧米の提灯持ちであることが、よくわかります。 こうした状況を、次の関連ブログに倣うと、「阿倍野の犬実験」ということになります。
【関連ブログ】
ニッポンの企業が運用している原価計算や原価管理は、「二番煎じ三番煎じの提灯持ち構造」ということか。 十万馬力の鉄腕をもってしても、こいつは救われない。