公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:資本回収点資金回収点をタカダ式操業度分析で描けるか


資本回収点(資金回収点)を、タカダ式操業度分析で描けるか
『高田直芳の実践会計講座「経営分析」入門』補足説明

以前の関連ブログ『資本回収点(資金回収点)とは何か』では、売上高と貸借対照表の関係を図解しました。
次の【資料1】の通りです。
【資料1】資本回収点図表・資金回収点図表・資本図表
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上記【資料1】の右端にある線分CHは、貸借対照表の総資本を表わします。
素人の浅はかな知恵として、【資料1】の線分BCを、複利曲線で描けないだろうか、というのがあります。
複利曲線で描く方法としては、次の【資料2】に示すタカダ式操業度分析があります。
【資料2】タカダ式操業度分析
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上記【資料2】は、次の新日本法規財団 奨励賞 受賞論文からの転載です。
上記【資料2】において、総費用曲線ABCDEを複利関数(正確には「自然対数の底e」を用いた指数関数)で描けるのは、売上高と総費用とが入金と出金を繰り返し、無限の複利計算構造となるからです。
では、【資料1】の貸借対照表は、無限の複利計算構造を内蔵しているといえるのでしょうか。 答えは、「否」です。
第一に、売掛金勘定や買掛金勘定はその勘定自体、入金と出金を繰り返すので、複利計算構造を内蔵しているといえます。 しかし、個々の勘定科目を足し合わせた貸借対照表までもが、複利計算構造を内蔵しているわけではありません。 これを「合成の誤謬」といいます。
第二に、【資料1】の線分BCが、複利曲線で描けると仮定しましょう。 そうなると、【資料1】の線分BCと線分OAとは、資本回収点Pで一度、交わった後、はるか右上でもう一度、交わることになります。 線分BCと線分OAとの交点は、関連ブログ『資本回収点(資金回収点)とは何か』でも説明したように、総資本回転率が「1」となるところでした。 貸借対照表がどんどん膨張して、売上高がぐんぐん増大したその先に、総資本回転率がもう一度「1」になることなど、あり得ないです。 これは「背理法」による証明です。
第三に、【資料2】のタカダ式操業度分析は、経済学の利潤最大化条件と整合するものです。 すなわち、【資料2】の売上高線OBFGEの傾きは、限界収入を表わします。 総費用曲線ABCDEの接線の傾きは、限界費用を表わします。 限界収入と限界費用とが等しくなる利潤最大化条件を利用して、【資料2】では、その横軸上で最大操業度売上高(点K)が導かれます。 その垂直線上にある線分GDを、「タカダライン」と呼びます。 一方、【資料1】では、限界費用に相当するものがありません。 「資本(資金)最大化条件」というものは、経済学に存在しないのです。
以上より、【資料1】の資本回収点を、タカダ式操業度分析のように描き直すのは不可能であることがわかります。 上記【資料1】を見ていると、つくづく「箱庭会計学だなぁ」と、笑ってしまうのであります。
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