公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:内部留保課税とは何か


内部留保課税とは何か

日本経済新聞(2015年11月22日付)で、企業の内部留保に課税しようという議論が、政府・与党内で行なわれていることが紹介されていました。
【資料1】
    A 企業は毎年の決算で最終利益から配当などにお金を回す。最後に残ったお金が内部留保で、それに課税する仕組みだ。
日本経済新聞、2015年11月22日付
例えば、定期預金1億円を、年利率1%で運用したとします。 (いまどき、年利率1%の預金などありませんが)
1年後に、企業が受け取る利息は、100万円(=1億円×1%)になります。
復興特別所得税を考慮しない場合、受取利息100万円のうち、20万円が源泉徴収されます。
差し引き80万円と、これに1億円を合わせた「1億円+80万円=100,800,000円」が、企業の内部留保になります。 現在の税制では、以上で課税関係が終了します。
内部留保課税とは、「1億円+80万円」に課税しようというもの。 企業側にしてみれば、すでに20万円の税金を徴収されているのに、さらに税金を徴収されるのですから、「二重課税」になります。 この問題に関して、上記の日経記事では次の記述があります。
【資料2】

甘利明経済財政・再生相は20日に「税の理屈上は筋が立たない」と述べた。法人税を払った後に残る利益に、二重に課税することになるからだ。経済界の反発も必至で、現実的ではないとの見方が大半だ。

日本経済新聞、2015年11月22日付

政府側としては、内部留保課税に、2つの効果を目論むことができます。 1つめは、税収増です。 2つめは、上記の日経記事でも記述されているように、設備投資や賃金増といった効果があります。 そりゃそうでしょう。 定期預金として保有し続ければ、その元金は課税されて、どんどん減っていくのですから。 預金の元金が減るくらいなら、企業としては、設備投資や賃金支払いにまわしたほうがマシだ、というインセンティブ(動機づけ)が働きます。
なお、内部留保という概念は、言葉で表わすほどには単純な内容ではありません。 第1に、貸借対照表連結貸借対照表を含みます)の純資産の部にある利益剰余金は、確かに内部留保ですが、これは過年度からの「累積額」です。 単年度の内部留保を表わしたものではありません。 第2に、上記【資料1】にある「最終利益から配当金を減算したもの」は、内部留保の一部でしかありません。 それ以外に、減価償却費などの非資金費用が、内部留保を構成します。 残念ながら、現在の財務諸表(連結財務諸表を含みます)の様式では、単年度の内部留保を計算するのが難しい。 内部留保を正確に計算するにはどうしたらいいか、という問題については、次の拙著「決定版 新・ほんとうにわかる経営分析」221ページ以降で詳述しています。