公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:日産自動車とトヨタ自動車の理論株価

前回のブログ『企業価値と理論株価の求めかた』では、オリジナルの企業価値方程式を用いて、理論株価の求めかたを紹介しました。
よくよく考えれば、身近な題材で、もっと簡単に、理論株価を求める方法がありました。
今回は、その方法を用いて、日産自動車トヨタ自動車理論株価を、以下の【資料2】と【資料6】で提示します。
関連ブログは次の通り。
【関連ブログ】
理論株価を求める方法を紹介する前に、理論株価を求める際の方針を、次の【資料1】で確認しておきます。 前回のブログ『企業価値と理論株価の求めかた』の復習です。
【資料1】理論株価を求める際の方針

  1. 理論株価は、数週間後・数か月後・数年後に期待される(予想される)株価ではなく、「今日の実際株価」に対する「今日のあるべき株価」であること

  2. 理論株価というからには、誰が計算しても「同じ値」が算出されなければならない(客観的なものであること)

  3. 文章をだらだらと書き連ねた「定性分析」ではなく、有価証券報告書決算短信などの具体的な数値を用いた「定量分析」を基礎とすること
上記【資料1】1.について──。 理論株価と称しながら、計算根拠をブラックボックスとしたり、計算する人によって数値が異なったりするものは、「理論」ではなく、「鉛筆なめなめ」と呼ぶべきです。 上記【資料1】2.について──。 理論株価と称するからには、確固とした理論に基づいたものであるべきです。 上記【資料1】3.については、次のブログを参照してください。
【資料1】の方針に基づき、日産自動車ニッサン)の理論株価を、次の【資料2】で計算しました。 トヨタ自動車は、【資料6】で提示します。 【資料2】日産自動車ニッサン

最大操業度売上高に対する実際売上高の割合

実際株価
(3か月平均)

タカダ式
理論株価

2014年09月期

93.5%

1,030円

1,101円

2014年12月期

99.9%

1,054円

1,056円

2105年03月期

97.8%

1,168円

1,195円

2015年06月期

99.0%

1,276円

1,288円

2015年09月期

99.5%

1,130円

1,136円

上記【資料2】の2列目にある「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」は、次の【資料3】に示す受賞論文に基づいています。
【資料3】
上記【資料3】の新日本法規財団奨励賞受賞論文5ページに、次の図表が掲載されています。
【資料4】タカダ式操業度分析
画像
上記【資料4】において、企業業績が黒字の場合、実際売上高は横軸上の点H(損益操業度売上高)から点L(収益上限点売上高)の間(収益ゾーン)にあります。 その実際売上高を、点K(最大操業度売上高)で割って、百分率で表わしたのが、【資料2】の2列目にある「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」です。 最大操業度売上高とは、経済学の利潤最大条件「限界収入MR=限界費用MC」を満たすものであり、この売上高のもとでは、【資料4】の線分GDが、最大利潤を表わします。 この線分GDを、「タカダライン」と呼びます。 現有の経営資源を最大限に活用した場合に実現されるのが、最大操業度売上高です。 また、この最大操業度売上高を実現したときの株価を、【資料2】の右端にある「タカダ式理論株価」として扱います。
ニッサンの場合、【資料2】の2列目にある「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」が、93%~99%の間にあります。 これは【資料4】にある点K(最大操業度売上高)の少し左側に、実際売上高があることになります。 この実際売上高のときの株価が、【資料2】の3列目にある「実際株価」です。 3か月間の平均株価です。 実際株価(3か月平均)を、「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」で割り返したのが、【資料2】の右端にある「タカダ式理論株価」になります。
タカダ式理論株価は、現有の経営資源を最大限に活用した場合の株価です。 理論株価を超える株価は、企業業績とは関係のない「思惑買い」が存在することになります。 もし、タカダ式理論株価を超える株価でニッサンの株式を所有している株主は、思惑に誘われて高値づかみをしている可能性があります。 また、タカダ式理論株価は、これからニッサン株を購入しようと考える投資家にとって、指し値の上限になります。
上記【資料4】を描くための理論を「タカダ式操業度分析」といい、企業のコスト構造を、複利計算構造で捉えようとするものです。 ところで、経営分析や管理会計の世界では、CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線形回帰分析)というものがあります。 これは、企業のコスト構造を、単利計算構造で捉えようとするものです。 CVP分析は、私以外の学者や専門家たちが全員、「正しい」と信じ、経営分析や管理会計の世界では絶対的通説として君臨する理論でもあります。
CVP分析(損益分岐点分析・限界利益分析・線型回帰分析)を振りかざす諸君に警告します。 企業実務を、よぉく観察すると、次の【資料5】に示す事実が判明します。
【資料5】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
すなわち、製造業や流通業を問わず、企業のコスト構造は、単利計算構造ではなく、複利計算構造を内蔵していることがわかります。 上記【資料5】を数式や図表で著わして、賞を得たものが、【資料3】の受賞論文になります。 日本だけでなく、欧米の学術論文や書籍にも存在しない、オリジナルの理論でもあります。
さて、次の【資料6】は、トヨタ自動車トヨタ)です。 【資料6】トヨタ自動車トヨタ

最大操業度売上高に対する実際売上高の割合

実際株価
(3か月平均)

タカダ式
理論株価

2014年09月期

139.5%

6,176円

8,613円

2014年12月期

87.5%

7,123円

8,137円

2105年03月期

103.9%

8,003円

8,346円

2015年06月期

98.6%

8,388円

8,507円

2015年09月期

131.0%

7,472円

9,787円

トヨタの場合、2014年9月期、2015年3月期、同年9月期における「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」が、100%を超えています。 これは【資料4】の点K(最大操業度売上高)よりも、実際売上高が右側にあることを表わします。 【資料4】の点K(最大操業度売上高)よりも右側は、線分GDで表わされる最大利潤を減らします。 これは、売上高は増えても(増収)、利益が減る(減益)状態です。 絶対的通説であるCVP分析では決して説明ができない「増収減益」を、【資料4】では説明することができます。 したがって、これら3期の実際株価は、点K(最大操業度売上高)のときの理論株価を下回ると解釈します。 この場合、「最大操業度売上高に対する実際売上高の割合」を求めるのではなく、「実際売上高に対する最大操業度売上高の割合」を求め、その値で実際株価を割り返して、【資料6】の右端にある「タカダ式理論株価」を計算しました。
上記【資料2】の日産自動車や、【資料6】のトヨタ自動車で求めた「タカダ式理論株価」は、【資料3】の受賞論文という確固とした基礎理論があり、しかも、誰が計算しても同じ株価を導き出します。 「理論」とは名ばかりの「鉛筆なめなめ」の世界を駆逐するために。
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