公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:平成27年分の源泉徴収票を斜めから読む方法


平成27年分の
源泉徴収票を斜めから読む方法


今年(2015年)もあと十日あまり。 次の受賞論文のおかげで、あっちからも、こっちからも仕事が舞い込んで、非常に忙しい日々を過ごしています。
【資料1】
一部の監査法人では、業務停止処分という津波が押し寄せて、仕事どころではないでしょうが、第三者にはどうでもいい話。 「サムライとは何か」を考える、いい機会だといえます。 日本経済新聞によれば、「株式市場や政府内には『市場の番人』たる監査法人がなぜ見抜けないのかという不満が強い」(2015年12月8日付)ということなので、今回の業務停止処分で溜飲を下げた第三者は多いでしょう。 世間から、これほど蔑(さげす)まれる資格というのも珍しい。
それはさておき、今回は、企業に勤める給与所得の人たちが、年に一度以上は手にする「源泉徴収票」の話です。
源泉徴収票の計算構造を、事細かに説明する話ではありません。 それは、どうでもいい話。 大切なのは、大局的な見方を忘れないことです。 それを、邪道ともいえるノウハウで、説明することにしましょう。
次の【資料2】は、国税庁『給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引』に掲載されている、源泉徴収票の例です。
【資料2源泉徴収票の例】
画像
(注)画像をクリックすると拡大します。
上記【資料2】の著作権については、著作権法13条2号を確認してください。
上記【資料2】を、このまま眺めていたのでは何がどうなっているのか、さっぱりわかりません。 次の【資料3】で、すべての企業で作成されている損益計算書の様式を掲げます。
【資料3】損益計算書の様式    売上高    売上原価 ★      売上総利益    販売費及び一般管理費      営業利益 ★    営業外損益 ★      経常利益 ★    特別損益 ★      税引前当期純利益 ★    法人税 ★    法人税等調整額 ★      (税引き後の)当期純利益
上記【資料3】に、戸惑う人はいないはず。 この損益計算書の様式を、【資料2】の源泉徴収票に当てはめてみることにします。
【資料2】の「種別 給与・賞与」の行に注目します。 【資料2】の(c)によって示されている「支払金額」は、損益計算書の「売上高」に相当します。 【資料2】の(d)によって示されている「給与所得控除後の金額」は、損益計算書の「売上総利益」に相当します。 【資料2】の(j)によって示されている「所得控除の額の合計額」は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に相当します。 【資料2】の(l)によって示されている「源泉徴収税額」は、損益計算書の「(税引き後の)当期純利益」に相当します。 【資料2】の「種別 給与・賞与」の行の見方に戸惑ってしまう原因は、【資料3】において黄色のマーカー部分で表わした項目が【資料2】の源泉徴収票で表わされているのに対し、【資料3】において★印で表わした項目が【資料2】の源泉徴収票では省略されているためです。
次に、【資料2】の「社会保険料等の金額」がある行に注目します。 【資料2】の(e)(g)(h)の三点セットは、損益計算書の「営業外損益」や「特別損益」に相当します。 【資料2】の(k)によって示されている「住宅借入金等特別控除の額」は、損益計算書の「法人税等調整額」に相当します。
【資料2】の(e)(g)(h)の三点セットと、【資料2】の(k)とは、まったく異なるコストである点に注意しましょう。 【資料3】において緑色のマーカーで示した「税引前当期純利益」と「法人税等」が、【資料2】の源泉徴収票では示されていません。 これが源泉徴収票をわかりにくくしているといえます。
ちなみに、源泉徴収票ではなく、源泉徴収簿のほうでは、損益計算書の「税引前当期純利益」と「法人税等」に相当するものが、「差引課税給与所得金額」と「算出所得税額」として示されています。 興味のある人は、源泉徴収票だけでなく、源泉徴収簿を見てみるといいでしょう。
【資料2】では、損益計算書の「売上原価」に相当するものが示されていません。 【資料2】の「支払金額6,835,000円」と「給与所得控除後の金額4,951,500円」の関係を、次の【資料4】の式で示します。
【資料4】
    (支払金額6,835,000円)×90%-1,200,000円
      =(給与所得控除後の金額4,951,500円)
【資料4】にある「90%」は、粗利益率(売上総利益を売上高で割った比率)に相当します。 したがって、10%が、給与所得者の売上原価率(売上原価を売上高で割った比率)になります。 【資料4】にある「1,200,000円」は、売上値引きに相当します。
源泉徴収票は、ざっと以上のような構成です。 といいつつ、今回の説明では、意図的に誤った箇所があります。 パクリ防止のためには、そういうイタズラも必要です。 さて、業務停止処分を受けた監査法人に見切りを付け、そこから逃げ出した公認会計士たちは、源泉徴収票を手に再び離合集散を繰り返すのだろうか。 賞を獲る気概や力量もなく、資格や肩書きだけで世間に通用すると勘違いしている者たちに告ぐ。

作家の平林たい子は、かく語りき。

「とかくメダカは群れたがる」と。

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