公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:続・D/Eレシオに一般的な目安はあるのか

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~ 企業価値ファイナンスの革新を目指して<第3回> ~
続・D/Eレシオに「一般的な目安」はあるのか

今回のブログは、『企業価値ファイナンスの革新を目指して』シリーズの第3回です。 従前ブログ『D/Eレシオに「一般的な目安」はあるのか』の続編でもあります。
企業価値ファイナンスの革新を目指して』の「第1回 実務に役立たない理論を学ぶ恐怖」と「第2回 絵に描いただけの現代ファイナンス論」のブログでは、次の拙著のうちの第12章を抜粋したものを提示しました。
【資料1】
以下では、【資料1】第2節の2ページ目にある〔図表12-10〕を用いて、自己資本比率他人資本比率およびD/Eレシオの「一般的な目安」の求めかたを紹介しましょう。
自己資本比率などの指標に、「一般的な目安」を文章で付け加えると、次の【資料2】になります。
【資料2】一般的な目安

  • 自己資本比率は、50%以上が、一般的に望ましい。

  • 他人資本比率(別名、負債比率)は、50%以下が、一般的に望ましい。

  • D/Eレシオは、1倍以下が、一般的に望ましい。

上記【資料2】を図解するために、【資料1】「第2節 自己資本比率信仰のウソを見抜け」の2ページ目にある〔図表12-10〕を、次の【資料3】に掲げます。
【資料3】MM理論の最適資本構成
画像
【資料3】の図表において、横軸OKは、使用総資本(負債・純資産の合計)を表わします。 自己資本は線分JKで表わされるので、自己資本比率は、線分JKを横軸OKで割った比率です。 他人資本は線分OJで表わされるので、他人資本比率(負債比率)は、線分OJを横軸OKで割った比率です。 D/Eレシオは、線分OJ(他人資本)を、線分JK(自己資本)で割った比率です。
いまの説明で最も重要なのは、【資料3】の横軸上にある点Jの「位置取り」です。 なぜ、「点Jの位置」が重要なのか。 これには、ポイントが2つあります。
1つめのポイントは、【資料3】の図表において、点Jから上方へ垂線を伸ばしていくと点Eに達し、この点Eにおいて、縦軸の企業価値が最大となるからです。 したがって、点Eから垂線を下ろしたところにある点Jの位置を明らかにできれば、縦軸で「最大となる企業価値の目安」を知ることができます。 と同時に、横軸にある「自己資本比率の目安」「他人資本比率の目安」、そして「D/Eレシオの目安」も知ることができるのです。 すなわち、自己資本比率やD/Eレシオの目安を知ることは、企業価値が最大となる目安も合わせて知ることができる、というわけです。
2つめのポイントは、【資料3】の横軸にある点Hにあります。 この点Hは、横軸OKの中間点です。 上記【資料2】の目安が「一般的」であるならば、垂線で表わされる線分EJは、点Hよりも右側ではなく、左側に位置するのが望ましい、ということになります。 これが、【資料2】に示した「一般的な目安」に関する指針です。
では、どうしたら、【資料3】にある点Jを見つけることができるのか。 答えは、「第2節 自己資本比率信仰のウソを見抜け」の3ページ目の上から8行目で、次の通り紹介しています。

ところが、MM理論や最適資本構成に関する最大の欠点は、「一般公式」が存在しない点にあります。

「一般公式が存在しない」とは、「一般的な目安は存在しない」と同義です。 これは、経済学やファイナンス論における絶対的通説です。 次の書籍の65ページでも、明確に言及されています。 それにもかかわらず、なぜ、【資料2】に掲げた「一般的な目安」が流布しているのでしょうか。 答えは、簡単です。 経済学やファイナンスをきちんと学ばずに、また、企業実務がどうなっているかをきちんと理解せずに、他者の後をついて回る人が、うじゃうじゃといるからです。 D/Eレシオや自己資本比率などに関して、「一般的な目安はこれだ!」と主張する人たちを、“ Goldfish Poop ”といいます。
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