公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:高校で習った数学がいま管理会計や経営分析で役に立つ


高校で習った数学が
いま、管理会計や経営分析で役に立つ
ラグランジュ平均値定理」と「ロルの定理


上掲の書籍は、従前ブログ『予定原価計算や標準原価計算は破綻するのか、しないのか』でも取り上げました。
列車で小説を読み終えたとき、次の小説を読むまでの「つなぎの1冊」として、上掲の書籍を携行していることがあります。
高校生のころ、「数学なんて、将来、何の役に立つのだ!」と、啖呵を切った人は多い、と推測しています。
それゆえ、いまだにCVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析・限界利益分析)という愚かな理論を、平気で振り回す人が世に溢れているのでしょう。 数学は、何の役に立つのか。 『新体系・高校数学の教科書(下巻)』191ページの「ロルの定理」や、同192ページの「ラグランジュ平均値定理」を用いて、数学(ここでは微分積分)が、管理会計や経営分析の世界で大いに役立つ例を、以下で紹介することにしましょう。
まずは「ラグランジュ平均値定理」。 『新体系・高校数学の教科書(下巻)』192ページを引用するのは煩雑なので、「ウィキペディア/平均値の定理/微分の平均値定理/ラグランジュの平均値定理」を参照してください。 定義されている内容は同じです。
ラグランジュ平均値定理」を説明する前に、管理会計や経営分析の世界で、絶対的通説として君臨するCVP分析損益分岐点分析・線型回帰分析・限界利益分析)の概要を【資料1】に示します。
【資料1】CVP分析損益分岐点分析・線型回帰分析・限界利益分析)
画像
上記【資料1】の中空に浮かぶ点Pを、損益分岐点といいます。 この損益分岐点(点P)から垂線を下ろした損益分岐点売上高(点F)よりも、実際の売上高が上回ると、線分ACで表わされる当期純利益が「無限に拡大する」というのが、CVP分析から導かれる結論です。 「作ったものはすべて売れる」と説明されることもあります。
全国に250万社あるといわれる、すべての企業に告ぐ。 あくせく働く必要はありません。 みんな、ツマ楊枝やペーパークリップを大量生産していればいいのです。 なにしろ、作ったものはすべて売り尽くすことができ、利益が無限に拡大することが、【資料1】によって保証されているのですから。 これが、「数学嫌い」の人たちが描く、管理会計&経営分析の世界です。
馬鹿馬鹿しい。 そんな夢物語など、現実にあるわけがない。 CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析・限界利益分析)の、どこに誤りがあるのか。 上記【資料1】の線分BPCに注目します。 これは、企業のコスト構造を、1次関数で描くものです。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 つまり、CVP分析に基礎を置いた、現代の管理会計や経営分析は、企業のコスト構造を単利計算構造で理解していることになります。
上記【資料1】を用いる者たちに、「ラグランジュ平均値定理」など思いも及ばぬ話です。 なにしろ、この定理の前提となる区間[ a , b ]が、無限に広がるのですから。 このような体たらくでは、会計学者や会計専門家の誰一人として、「ラグランジュ平均値定理」や「ロルの定理」が、管理会計や経営分析(さらには原価計算やコスト管理)に役立つとは想像もしないでしょう。
現実の企業活動に、「ラグランジュ平均値定理」はどのように活用されるのか。 まず、現実の企業活動では、次の【資料2】に示す事実があることを理解する必要があります。
【資料2】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 その発想に基づいて執筆したのが、次の【資料3】に示す受賞論文であり、その受賞論文に掲載している図表が【資料4】です。
【資料3】
【資料4】タカダ式操業度分析
画像
上記【資料4】で描かれている曲線ABCDEは、複利曲線であり、これは【資料2】に基づいています。
上記【資料4】で描かれている曲線ABCDEは「微分可能な関数」なので、『新体系・高校数学の教科書(下巻)』192ページの「ラグランジュ平均値定理」や、「ウィキペディア/ラグランジュの平均値定理」を適用することができます。 すなわち、「ラグランジュ平均値定理」にある区間[ a , b ]の「 a 」が、損益操業度売上高1,631,341円に該当します。 また、区間[ a , b ]の「 b 」が、収益上限点売上高5,937,790円に該当します。 したがって、「ラグランジュ平均値定理」により、「 f ’(c) = 1」になります。 一方、【資料4】で描かれている総費用曲線の導関数は「b・t・etx」ですから、これを先ほどの「 f ’(c) = 1」に代入すると、「x=4,013,243円」という解を得ます。 これが【資料4】の横軸上にある点K = 最大操業度売上高です。 その垂線上にある線分GDを、「タカダライン」と呼びます。
新体系・高校数学の教科書(下巻)』にある「ラグランジュ平均値定理」の1つ前(191ページ)に、「ロルの定理」というのが紹介されています。 同じ定義を記述したものとして「ウィキペディア/ロルの定理」を参照。 上記【資料4】にある曲線ABCDEを横軸に平行な直線へと修正し、それに合わせて売上高線を凸状に修正すると、「ウィキペディア/ロルの定理」の右上にある図形になります。 上記【資料4】に「ロルの定理」を当てはめるときは、売上高線と総費用曲線とを連立させて微分し、導関数を求めます。 そうした作業を行なっていくと、「ラグランジュ平均値定理」で求めたものと同じ解、すなわち「最大操業度売上高4,013,243円」を求めることができます。
上記【資料3】の受賞論文では、経済学で有名や利潤最大化条件「限界収入(MR)=限界費用(MC)」を用いて、「最大操業度売上高4,013,243円」を求めました。 その利益最大化条件「MR=MC」を用いなくても、「最大操業度売上高4,013,243円」を求めることができるのが、「ラグランジュ平均値定理」であり、「ロルの定理」です。 以上の解法を応用すれば、【資料4】にある「予算操業度売上高3,333,333円」も同様に、「ラグランジュ平均値定理」や「ロルの定理」で解くことができます。 CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析・限界利益分析)に胡座(あぐら)をかく者たちよ。 あなたがたは高校生のときに何を学んできたのか。
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