公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:セブンイレブンジャパンの解析で見る成長株投資の必勝法

タカダ式操業度分析vs.古典派会計学 すべてを表示 企業分析&経済・時事

セブンイレブンジャパンの解析で見る
成長株投資の必勝法
~ 成長株・高位安定株・成熟株の見分けかた ~


2016年9月27日付の日本経済新聞で、次の記事が掲載されていました。 一部を引用すると、次の通り。
【資料1】日本経済新聞2016年9月27日付『挑む機関投資家(3)AI にはできない運用――流行追わず、眼力鍛える』

    (略)残高は1千億円あるが、持つのは中小型規模の株ばかりだ。重視するのは「企業が長期にわたり利益を伸ばせるかだけ」(塩住氏)。小企業でも財務諸表を丹念に調べ、訪問して「経営力」を見極める。

    (略)「運用の世界で、AIは人間に勝てない」

    (略)AIなどの機械は過去のデータを基に将来を予測するのに対し「超小型株は情報が乏しく、AIが計算に必要とする判断材料がない」(藤村氏)。機械は経済や産業、企業の大きな構造変化をとらえきれない面もある。

    (略)今は自己資本利益率(ROE)の伸びに着目したファンドを運用する。

上記の記事にある「経営力を見極める」眼力を鍛えるのは難しいものがあります。 それに対し、財務諸表(決算書・計算書類)を丹念に調べるのは、工夫次第です。 以下では、私(高田直芳)のオリジナルである「タカダ式操業度分析」を用いて、成長株・安定株・成熟株はそれぞれどういう特徴を備えたものかを紹介しましょう。 株式運用に「必ず勝つ方法」などあるわけないので、一つの参考意見として。
次の関連ブログでは、CVP分析(損益分岐点分析)や標準原価計算制度などに基礎を置く会計学を、「古典派会計学」と呼ぶことにしました。
【関連ブログ】
古典派会計学と命名していく過程で、セブン-イレブン・ジャパンの解析結果を、上記関連ブログの【資料6】で提示しました。 同じ説明を繰り返すのは煩雑なので、上記関連ブログで紹介した内容は、以下では省略します。 また、2016年10月1日付の日本経済新聞『(親子スクールニュースイチから)コンビニの再編、なぜ?──店舗多いほど利益出やすく、コーヒーや食品開発競う』も参考にしてください。
さて、次の【資料2】は、上記関連ブログ『すべての上場企業で採用されている何とかの一つ覚えの固変分解』【資料6】の再掲です。
【資料2】タカダ式操業度分析/セブン-イレブン・ジャパン
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上記【資料2】上図で注目すべきポイントは2つ。1つめは、最大操業度売上高1兆6744億円から上に伸ばした垂線です。 この垂線を、(黒色で描いた)売上高線と(灰色で描いた)総コスト曲線とで挟んだ「線分」が長ければ長いほど、成長株としての可能性が高い、といえます。 その線分がわからない、という人のために、次の【資料3】に、タカダ式操業度分析の一般図を掲示します。
【資料3】タカダ式操業度分析
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上記【資料3】は、次の拙著に収録してあるものです。 上記【資料3】において、線分GDがあります。 これを「タカダライン」といいます。 タカダラインが長ければ長いほど、成長株としての可能性が高い、ということです。 これが1つめのポイント。 上記【資料2】上図を見ると、セブンイレブンのタカダライン(線分GD)は、非常に長いといえるでしょう。 参考として、次の受賞論文15ページ〔図表23〕では、ルネサスエレクトロニクスの「タカダライン」が消滅していることを確認できます。
【資料4】
2つめのポイントは、4個の点がどこに位置しているかです。 上記【資料2】にプロットされた4個の点の定義は、関連ブログ『すべての上場企業で採用されている何とかの一つ覚えの固変分解』で説明しました。 上記【資料2】上図では、4個の点は、損益操業度売上高3336億円と予算操業度売上高1兆1129億円の中間あたりに位置しています。 この4個の位置取りから、【資料3】の線分GDに近づいていくとしましょう。 この状況で店舗を増やすこと = 売上高を増やすことは、即、増益に結びつくことを現わしています。 コンビニ市場が現在も拡大を続けるインセンティブ(動機づけ)が、ここにあります。 なお、4個の点が【資料3】の最大操業度点Dよりも右上に位置している場合は、成長株ではなく、成熟株になります。 この場合は、店舗数を削減すること(減収となること)で増益となりますが、このような増益基調は成長株といえないでしょう。
【資料3】の最大操業度点Dよりも左に、「タカダバンド」があります。 横軸上では、線分JKになります。 成長株の期待が持てるのは、タカダバンド(線分JK)よりも左側に、4個の点が位置することです。 セブン-イレブン・ジャパンは、その条件を満たしています。 いえ、4個の点がタカダバンド(線分JK)の周辺に収まるほうが、投資家としては安心感を持つことができます。 上記【資料4】の受賞論文12ページ〔図表15〕で描いたファナックは、それに当てはまります。 ただし、4個の点がタカダバンドに絡みつくのは、成長株というよりも、高位安定株というべきでしょう。
以上のポイントを、【資料5】にまとめます。
【資料5】成長株・高位安定株・成熟株の特徴

  1. 成長株の特徴
    1. タカダライン(線分GD)が長いこと。

    2. 四半期業績が、タカダバンド(線分JK)よりも左側にあること

  2. 高位安定株の特徴は、タカダバンド(線分JK)に収まること。

  3. 成熟株の特徴は、タカダライン(線分GD)よりも右側にあること。

上記【資料5】以外に、あと2つのポイントを加えるとしたら、「理論株価の求めかた」と「最適ROEの求めかた」があります。 理論株価の求めかたは、次の関連ブログで説明しました。
【関連ブログ】
実際の株価を眺めているだけでは、企業の成長性はわかりません。 実際株価と理論株価との乖離幅を調べることが、成長株を見極める指標となります。
もう一つは、実績ROEと最適ROEの比較です。 ROEとは自己資本利益率のことであり、その最適解または理論値を求める方法を、次の関連ブログで説明しました。
【関連ブログ】企業価値ファイナンスの革新を目指して
実績ROEと最適ROEを比較することもまた、成長株を見極める指標となります。
株式投資の格言に、「人の行く裏に道あり花の山」というのがあります。 前回ブログ『すべての上場企業で採用されている何とかの一つ覚えの固変分解』で紹介した古典派会計学は、誰もが知っている、オモテ街道。 しかも、古典派会計学には、「理論上の瑕疵」がある。 そのノウハウで財務諸表(決算書)を分析して、成長株を見つけようというのは、どだい無理な話です。