公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:コンビニエンスストアは何故増加するのか


コンビニエンスストアは、なぜ
増加するのか


コンビニエンスストアで買い物をするとき、プリペイドカードを利用する人を多く見かけるようになりました。 ご多分にもれず、私もプリペイドを利用しています。 ポイントがたまるメリットだけでなく、釣り銭で財布が膨張しないのもいい。
よく利用するのが、セブンイレブンと、ローソンと、ファミリーマートメガバンクや通信業界だけでなく、コンビニ業界も三大勢力に集約されつつあります。
私は以前、セブンイレブンとローソンで、アルバイトをした経験があります。 いまでも、コンビニの店員がレジを打つとき、私のことを何歳と見ているのか、レジをちらりと見ることがあります。
アルバイトの経験はコンビニだけでなく、製造業でもあります。 工場で旋盤を操作しているときに、爪を剥がしかけたこともあります。 私が拙著やブログで展開している話の「着想」は、こうした現場体験に基づいています。
管理会計や経営分析の書籍では、ときどき、「製造業は固定費型、流通業は変動費型」と分類しているものを見かけることがあります。 現場体験を疎かにし、「机上の空論」を振りかざす人に限って、こういう分類を得意気に語ろうとします。 そうした分類は誤りです。 流通業は、製造業に匹敵するくらい、いえ、製造業を上回るほどの、固定費を抱えた産業です。 ショッピングモールの広大な駐車場に降り立ち、眼前に広がる巨大な店舗を見上げたとき、それを「変動費のカタマリだ」とでも主張するのでしょうか。 「流通業は変動費型だ」と主張する人たちは、どこの何を見ているのか。
ただし、「製造業の固定費」と「流通業の固定費」とでは、その本質に違いがあることに注意する必要があります。 すなわち──、
  • 製造業の固定費は、分割不可能であること。
  • 流通業の固定費は、分割可能であること。
したがって、分割が容易ではない工場のリストラ(固定費削減)は、時として大なたが振るわれる、という表現がなされるのに対し、分割が可能なコンビニの店舗は頻繁に新設・撤退が行なわれることになります。
さて、次の関連ブログ(2016年10月1日付)では、セブンイレブンの成長性を論じました。
【関連ブログ1】
その年の暮れ(2016年12月25日)の日本経済新聞では、そのセブンイレブンが2018年2月期には2万店に達して直営郵便局2万局に並び、簡易郵便局を含めた2万4千局に近づきつつあることが報道されていました。
一般的に、コンビニ市場は5万店が飽和点である、と主張されてきました。 次の関連ブログでは、日本経済新聞の社説(2014年12月23日付)を引用して、「コンビニ5万店・飽和説」を紹介しました。
【関連ブログ2】
「コンビニ5万店・飽和説」は、具体的なデータに基づかない「文章だけの分析」であり、他者の主張を自ら検証せずに伝聞していくだけの出鱈目な主張であることを、次の関連ブログで説明しました。
【関連ブログ】
では、セブンイレブンは、どこまで拡大するのか。 次の【関連ブログ3】に掲載した図表を、その下の【資料1】に再掲します。
【関連ブログ3】
【資料1】タカダ式操業度分析/セブン-イレブン・ジャパン
画像
上記【資料1】の上段を「指数関数法による固変分解」といい、同下段を「対数関数法による固変分解」といいます。 いずれも、私(高田直芳)のオリジナルです。
固変分解というと、通常は、次のものをいいます。
【資料2】一般的な固変分解の種類
  • 最小自乗法(最小2乗法)
  • 費目別精査法
  • 勘定科目法
上記【資料2】に共通するのは、総コストを1次関数で描くことです。 1次関数とは、単利計算構造のこと。 上記【資料2】を基礎にしたものを、古典派会計学といいます。 流通業界で上記【資料2】の固変分解を適用した場合、固定費は非常に小さな値を取ります。 これが「流通業は変動費型だ」という錯覚を生みます。 古典派会計学のこうした解釈が誤りであることは、上で述べたとおりです。
それに対し、【資料1】は、複利関数で描いています。 これは私の実務経験に基づきます。 現実の企業活動では、次の【資料3】に示す事実を観察することができます。
【資料3】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 それに基づいて描いたのが、【資料1】です。
上記【資料3】に「書かれてあるもの」を読んで、「ああ、そうか」と得心するのはやめてほしい。 現場で汗や油にまみれて働いた経験のない者に、企業活動の本質が複利計算構造にあることなど理解できるはずがないのだから。
【関連ブログ4】
さて、上記【資料1】の上段に注目します。 左下には四半期の点を4個、分布させています。 この時期の、セブンイレブンの店舗数は、約1万8千店舗。 上記【資料1】の上段の右の方に、最大操業度売上高1兆6744億円を示しています。 これは、経済学で有名な利潤最大化条件「限界収入MR=限界費用MC」を満たす売上高です。 4個の点から、最大操業度売上高まで、約2.8倍。 したがって、1万8千店舗 × 2.8倍 = 約5万店舗 コンビニ業界全体で5万店舗ではなく、セブンイレブン単体で5万店舗まで拡大する、というのが、【資料1】のタカダ式操業度分析から導かれる結論です。 飽和状態どころか、いまだ四合目あたり。 古典派会計学では思いよもらない話です。