公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座

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公認会計士高田直芳:超過利潤と機会費用と減損処理と機会損失と

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超過利潤と、機会費用
減損処理と、機会損失と


日本経済新聞で立て続けに気になる記事を見かけたので、以下でそのサワリを引用します。
【資料1】日本経済新聞「春秋」2017年2月2日

どの行動を選ぶかで生じる利益の差は「機会費用」で説明できる。

経済学者マイケル・リーズの試算では、3番手の外野手をルースに置き換えて増えた得点は年間合計29点。

ルースの穴埋めに控え投手を先発に回して損したのは10点だった。

【資料2】日本経済新聞「大機小機」2017年2月1日

これに関連してもう一つ直感ではピンとこないのは、お互いの壁を低くして自由に貿易することが双方を豊かにするという自由貿易の理論だ。

よく弁護士とその秘書の例で説明される。

【資料3】日本経済新聞「春秋」2017年1月15日

米国の経済学者ポール・サミュエルソンは若いころ、著名な数学者のスタニスワフ・ウラムに問いかけられた。

「真理であり、かつ自明でない社会科学の定理を、ひとつ教えてくれ」。

【資料4】日本経済新聞「減損処理なぜ相次ぐ?」2017年2月1日

減損で企業から現金が流出するわけではない。

しかし損失は利益を押し下げる要因になり、自己資本比率の低下など財務悪化につながる。

経営再建など重大な事態に発展する恐れもある。

【資料1】の「ルースと3番手の外野手と控え投手」の三者関係は、【資料2】の「弁護士と秘書」の二者関係と同じです。 【資料2】の「直感ではピンとこない」は、【資料3】の「自明でない」と同じです。 詳細はそれぞれの記事を参照してもらうこととして、上記4本の記事をじっくりと読むと、そこに共通するのは「超過利潤」や「機会費用」といった、経済学特有の概念です。 2週間程度の間に、よくこれだけの記事が揃ったものだと感心してしまう。
機会費用」というのは経済学用語であり、管理会計の世界では「機会原価」と言い換えられます。 ただし、機会費用も機会原価も、原語を辿れば“ opportunity cost ”です。 機会原価(機会費用)に関する詳しい説明は、次の拙著の438ページ以降を参照してください。 2014年に第2版としています。 六法全書には「愛」がないといわれますが、管理会計では「愛」を語ることができることを、上掲書で紹介しています。 「愛」も、機会費用の形態の一つです。
超過利潤と機会費用と減損処理の三者には、微妙な三角関係があります。 減損処理によって赤字に転落したとしても、機会費用がいまだ大きい場合、企業は当該事業を継続する意欲を見出すことができます。 減損が機会費用を食らうほど大きい場合は、超過利潤が消滅し、企業は当該事業から撤退することになります。 それが【資料4】にある「経営再建など重大な事態に発展する恐れ」です。 その恐れが表面化したときに用いられる用語が、次の【資料5】の記事にある「機会損失」です。 “ opportunity cost ”ではなく、“ opportunity loss ”が原語です。
【資料5】日本経済新聞「経営者が選んだ注目銘柄(3)ソニー」2017年1月7日

画像センサーの需要増に生産が追いついておらず、機会損失が発生しているとみられる。

株式市場で能力増強の待望論が出るなか、ソニーは今のところ慎重姿勢を崩さない。

ソニーが慎重姿勢を崩さないのは、機会費用にまだ余力があると見ているからです。
超過利潤・機会費用(機会原価)・機会損失といった用語は、メディアなどで頻出します。 専門書やビジネススクールなどの講義では、得意気に説明されます。 ただし、これらの用語の最大の弱点は、決算書や財務諸表を利用して、具体的な金額を算出できないこと。 現代の経済学や会計学において、機会費用や機会原価は「観念的な御題目」に過ぎず、具体的に計算することができないのです。 それゆえ上掲の記事で、「直感ではピンとこない」や「自明でない」と批判されるのです。 機会費用などを実際に算出できないことから、それを逆手にとって、機会費用などを得意気に語ることにより自らの権威を守ろうとするのが、会計学などの狡猾なところ。 狡猾という表現に憤慨するのであれば、その前に、機会費用を具体的に算出する方法を提示することだ。
機会費用を具体的に求めることは、できるのか、できないのか。 具体的に求めてみようじゃないか、ということで、私(高田直芳)1人で創設したのが、次の関連ブログにある「会計物理学」という分野です。 その突破口となるのが、【資料6】に掲げた受賞論文です。
【関連ブログ】
【資料6】
機会費用(機会原価)を具体的に算定する方法を述べるにあたっては、書籍や論文など著作権を明確にできる手段をとる必要があるでしょう。 キュレーションサイト問題を持ち出すまでもなく、他人の尻馬に乗る輩が非常に多いですから。
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