公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:D/Eレシオの一般的な目安を、タカダ式DEレシオの最適解が打ち砕く


D/Eレシオの一般的な目安を
タカダ式D/Eレシオの最適解が打ち砕く


次の【資料1:関連ブログ】は、そのタイトルにもある通り、「D/Eレシオに一般的な目安があるのか」を問うものでした。
【資料1:関連ブログ】
「一般的な目安」というのは、ビッグデータを集計して、その平均値を求めたものをいいます。
一般に流布している「D/Eレシオ」は、有象無象のデータを集めた「実績値の平均」にすぎず、「最適解」ではありません。
有象無象の平均値に一喜一憂しながら経営戦略を練るのか、最適解を目標にして経営戦略を練るのかでは、1年後の業績に雲泥の差が生じることでしょう。
なお、管理会計や経営分析などの世界で、CVP分析(損益分岐点分析・線形回帰分析)を得意気に振りかざしている人たちには、以下の証明過程はまったく理解できないので、その点を注意してください。

結  論

今回は、私(高田直芳)が創設した会計物理学により、「D/Eレシオの最適解」を求めてみることにします。 結論を最初に示すと、【資料2】の通り。
【資料2】タカダ式D/Eレシオの最適解
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自己資本を黄色のマーカーで、他人資本を水色のマーカーで区別しています(以下同様)。 【資料2】については、次の【資料3】に示す「なぜ」を解明する必要があります。
【資料3】

  • なぜ、分子が「自己資本コスト率」で、分母が「他人資本コスト率」になるのか。

  • なぜ、分母と分子が、資本コスト率の「実績値」でいいのか。
また、次の事項を理解する必要があります。
【資料4】
  • 「D/Eレシオの最適解」と「最適資本構成の実務解」とは、表裏の関係にあること。
すなわち、「最適資本構成の実務解」を論証できない者に、「D/Eレシオの最適解」を語る資格はありません。 そうしたことを念頭に置きつつ、【資料2】の導出過程を以下で証明します。

証  明

まず、次の【資料5:関連ブログ】で紹介した命題を、その下にある【資料6】に再掲します。
【資料5:関連ブログ】
【資料6】会計物理学における命題

  1. 加重平均資本コスト率WACCは、熱統計力学で解くことができる。

  2. 財務諸表や連結財務諸表には、「エネルギー保存の法則」が成り立つ。

  3. タカダ式D/Eレシオは、金額に依存せず、加重平均コスト率・他人資本コスト率・自己資本コスト率といった「百分率」の組み合わせだけで算出できる。
上記【資料6】の 1. と 2. から、3. を導き出せることは、上記【資料5:関連ブログ】で証明しました。 特に重要なのは、D/Eレシオの実績値が「金額」に依存することなく、「百分率」だけで表わすことができる、という点です。 これが【資料2】の右辺を支えることになります。
経済学では「収穫逓減」という概念があります。 これを、会計物理学では次のように応用します。
【資料7】会計物理学における命題
  • 経営資源貸借対照表)が増大するにつれて、収益(損益計算書)は逓減する。

    • 総資本(使用総資本)が増大するにつれて、収益は逓減する。

    • 他人資本自己資本が増大するにつれて、収益は逓減する。
上記【資料7】を関数形で表わす場合、対数を用います。 次の【資料8:関連ブログ】で紹介した「ボルツマン方程式」が参考になります。
【資料8:関連ブログ】
【資料9】ボルツマン方程式
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上記【資料9】のボルツマン方程式を、他人資本に当てはめると次の【資料10】になります。 同じく、自己資本に当てはめると、【資料11】になります。
【資料10】他人資本をボルツマン方程式で表わす
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【資料11】自己資本をボルツマン方程式で表わす
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上記【資料10】や【資料11】の記号は次の通り。
【資料12】

s ……他人資本コスト率

t ……自己資本コスト率

K ……使用総資本

v ……他人資本比率

(1-v)……自己資本比率

【資料10】や【資料11】において、s (他人資本コスト率)や t (自己資本コスト率)が、なぜ、分数で表わされるのか、といった理由については、次の拙著を参照のこと。
【資料13】
上記【資料10】と【資料11】とを、同一図表で描いたのが、次の【資料14】です。
【資料14】最適資本構成タカダ理論
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【資料14】において、左下から右上方へ伸びている対数関数が、【資料10】の他人資本です。 また、右下から左上方へ伸びている対数関数が、【資料11】の自己資本です。 他人資本自己資本それぞれの対数関数を、縦に足し合わせた「おわん型の関数」が、【資料14】の上方に描かれています。 次の方程式で現われます。
【資料15】最適資本構成タカダ理論の一般公式(タカダ式企業価値方程式)
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上記【資料15】の方程式を、【資料13】の拙著で説明している計算方法で微分積分を繰り返すと、次の【資料16】で表わされるように、非常に単純明快な形となります。
【資料16】最適資本構成タカダ理論の実務解
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上記【資料16】をもとに、「他人資本比率の最適解」と「自己資本比率の最適解」とに書き改めると、【資料17】と【資料18】になります。
【資料17】他人資本比率の最適解
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【資料18】自己資本比率の最適解
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上記【資料17】と【資料18】はどちらも「最適解」ですから、前者を後者で割ることにより、次のように「タカダ式D/Eレシオの最適解」を求めることができます。
【資料19】タカダ式D/Eレシオの最適解
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上記【資料19】の式が、本ブログの冒頭に掲げた【資料2】の式と一致していることを確認することができます。 また、【資料3】に示した「なぜ」が、今までですべて証明されていることを確認することができます。
【資料2】や【資料9】から、「D/Eレシオの最適解」を計算できるのかどうか、【資料20】の設例で確認します。 この設例は【資料5:関連ブログ】で用いたものと同じです。
【資料20】

  1. 他人資本

    1. 実際金額 800,000円

    2. 他人資本コスト率の実績値 5%(約定金利

  2. 自己資本

    1. 実際金額 200,000円

    2. 自己資本コスト率の実績値 5%

  3. 法定実効税率 30%
まず、【資料5:関連ブログ】で証明した「D/Eレシオの実績値」を、【資料21】で計算してみます。
【資料21】
    D/Eレシオの実績値
       他人資本の実際額 
      自己資本の実際額
        800,000円  
       200,000円

      = 4倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
【資料20】の設例に基づくと、「D/Eレシオの実績値」は、4倍になります。 世間で流布している「D/Eレシオの一般的な目安」は、数十社・数百社のデータをかき集めて、【資料20】の通りに算出するものです。 有象無象の平均値に過ぎないことは、冒頭で説明した通りです。
【資料2】や【資料9】に基づいた「タカダ式D/Eレシオの最適解」は、次のように計算します。
【資料22】
    タカダ式D/Eレシオの最適解
       自己資本コスト率の実績値 
      他人資本コスト率の実績値
        5%  
       3.5%

      = 1.43倍
      (注)スマホでは、分数式は正しく表示されません。
【資料22】によれば、最適解は1.43倍。 それに対して、【資料21】の実績値は、4倍。 したがって、【資料20】の設例は、「過剰負債」の状態にあることがわかります。

注意事項 その1

今までの説明を整理しながら、注意事項をいくつか述べておきます。 【資料21】の式は、実際額どうしから、4倍という実績値を計算しました。 「D/Eレシオの実績値」を求める方法には、【資料21】のほかに、次の【資料23】の計算方法もあります。
【資料23】タカダ式D/Eレシオの実績値
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上記【資料23】の式には「金額」がなく、「百分率」だけで構成されています。 この式によっても、「D/Eレシオの実績値」を求められることは、【資料5:関連ブログ】で数学的に証明しました。 【資料23】の右辺では、加重平均資本コスト率が右にあったり、左にあったりして、忙しい。 これは、マイナスになることを防ぐためです。 絶対値記号で括ると、次の【資料24】で表わされます。
【資料24】タカダ式D/Eレシオの実績値
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冒頭の【資料2】の式を、以下に再掲します。
【資料2】タカダ式D/Eレシオの最適解
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【資料24】と【資料2】と見比べると、D/Eレシオの「実績値」を求めるときは加重平均資本コスト率WACCを必要とし、「最適解」を求めるときはWACCを必要としないことがわかります。

注意事項 その2

「D/Eレシオの最適解」を扱うにあたっての注意点を述べておきます。 「D/Eレシオの最適解」というのは、【資料14】の横軸上の点Rが基準になります。 この点Rは、「最適資本構成の実務解」の基準にもなります。 すなわち、【資料4】で述べたように、【資料14】の横軸上の点Rは、「D/Eレシオの最適解」と「最適資本構成の実務解」とを同時に表わす点なのです。 したがって、「D/Eレシオの最適解」を論証するのであれば、「最適資本構成の実務解」も同時に論証されなければなりません。 ところが、です。 現在の経済学・ファイナンス論・会計学などの書籍や論文をいくら探しても、「最適資本構成の実務解」を具体的に証明したものは、一切存在しません。 これは日本だけでなく、欧米でも同様です。 最適資本構成に関する一般公式や実務解が存在しないことは、日本公認会計士協会東京会が、次の書籍65ページで言及しています。 世の中にどれだけの経済学者や会計学者がいるのかは知りません。 確実にいえるのは、欧米を含めて100万人の専門家がいようとも、「最適資本構成の一般公式や実務解」を提示した者は誰一人として存在しない、という点です。 それに対して、私だけは、【資料14】の「最適資本構成タカダ理論」をもって、最適資本構成の一般公式とその実務解を提示しました。 一般公式が【資料15】であり、その実務解が【資料16】です。 【資料13】の拙著では、いま述べた「最適資本構成タカダ理論」を詳述しており、この著作権のおかげで、【資料2】にある「D/Eレシオの最適解」を、私(高田直芳)は語ることができるのです。
【資料25】

  1. 最適資本構成の一般公式を提示できるのであれば、

  2. 他人資本自己資本の実務解を提示でき、

  3. したがって、D/Eレシオの最適解を提示できる。
上記【資料25】により、A → B → C ならば、A → Cですから、「最適資本構成の一般公式や実務解」を論証できない者に、「D/Eレシオの最適解」を語る資格はない──。 D/Eレシオを用いるにあたっては、その点に十分注意してください。