公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:『近代法における債権の優越的地位』我妻栄


近代法における債権の優越的地位』
我妻栄


2017年4月に、民法の債権編が120年ぶりに改正されました。 今回のブログでは、いわゆる民事法定利率に注目します。
【資料1】日本経済新聞2017年4月15日

現在は年5%で固定されているが、低金利が続く実勢に合わせ、3%に引き下げた。さらに3年ごとに見直す変動制を導入する。

法定利率の引き下げは、例えば交通事故で働けなくなった被害者が受け取る損害賠償の増額につながる。(途中略)

一方、損害保険各社にとっては事故などに遭った被害者に支払う保険金が増えることになる。

金利が下がるのに、「被害者に支払う保険金が増える」とは、どういうことか。 数学が嫌いな人には、ちんぷんかんぷんの話。 これは、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)を用いるとわかりやすい。 例えば、改正前の利率5%で、3年後に10万円を受け取るとしたら、現在価値は次のように計算されます。
【資料2】

改正後の利率3%で、3年後に10万円を受け取るとしたら、現在価値は次のように計算されます。
【資料3】

改正前であれば、被害者が受け取る保険金は 86,384円であったものが、改正後では保険金が 91,514円に増えることになります。 損害保険会社の側からすれば、支払う保険金が増える、というわけです。 「DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)って何?」という場合は、次の拙著512ページ以降を参照。 上記【資料1】の記事で注意したいのが、3年ごとに見直される変動制の導入。 「変動」という文字があるからといって、住宅ローンの変動金利と混同してはならない。 被担保債権の発生時に適用された利率は、当該債権が完済されるまで適用され続けます。 3年ごとに民事法定利率が改正されても、発生時に適用された利率がそのまま適用され続けるということ。 変動制を謳いながら、その実体は、固定金利であることに注意しましょう。
さて、本ブログの冒頭に掲げた書籍は、法律を学んだことのある人であれば、一度は目にしたことがあるはず。 私は、1953年の初版本(こてこての旧字体)を所有していますし、1986年に復刊された現代語版も所有しています。 私の拙著の文章スタイルは、我妻先生の影響を大きく受けているといっていい。 『近代法における債権の優越的地位』は、名文の連続であります。