公認会計士高田直芳 会計物理学&会計雑学講座










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公認会計士高田直芳:損益分岐点を得意気に振りかざす人々


損益分岐点を得意気に振りかざす人々

2017年5月25日の日本経済新聞ではその1面に、「損益分岐点」がデカデカと表示されていました。 この人たちは、まだ、こういう曲論や愚論を信じているのだなと。
損益分岐点分析は別名、CVP分析とも呼ばれ、これには「理論上の瑕疵」があることを、次の受賞論文で証明しました。
【資料1】
損益分岐点分析(CVP分析)には、なぜ「理論上の瑕疵」があるのか。 それは、この理論が単利計算構造に基づいているからです。 では、現実の企業活動も、単利計算構造に基づいているのか。 製造業・流通業・サービス業の現場で、汗水流して実務に取り組んでいると、【資料2】に示す事実を観察することができます。
【資料2】
  • 製造業に勤務する人であれば、工場内の各工程を観察してみてください。
    • 工場内に無数に存在する工程に、材料費・労務費・経費を次々と投入していくと、無限回数の振り替え計算が行なわれていることがわかります。
    • 材料・仕掛品・製品などが入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 流通業に勤務する人であれば、店舗に置かれた商品を観察してみてください。
    • 日々仕入れた商品は、棚に補充したそばから、消費者へ次々と販売されていきます。
    • 膨大な商品が入庫と出庫を繰り返し、コストが徐々に膨張していく姿は、無限回数の複利計算を行なっていることと同じです。
  • 財務や経理に携われる人であれば、手元にある帳簿を観察してみてください。
    • 上場企業のような大規模組織になると、帳簿に記帳される仕訳の数は、1日で数百行や数千行にものぼります。
    • 振り替えの仕訳を含めれば、年間では数億行や数十億行の仕訳の数になります。
    • 入金と出金を無限に繰り返すその様は、無限連鎖の複利計算を行なっていることと同じです。
つまり、企業のコスト構造の本質は、複利計算構造にあることがわかります。 それにもかかわらず、単利計算構造の損益分岐点分析で解き明かそうというのでは、救いようがない。
2017年5月20日付の日本経済新聞では、「減収でも最高益に」という見出しが、これまたデカデカと掲載されていました。 残念ながら、損益分岐点分析(CVP分析)では、減収で最高益となる現象を図解することはできません。 それは次の2本の関連ブログで説明しました。
【資料3:関連ブログ】
損益分岐点を得意気に振りかざす人たちを見ていて、次の産経新聞に掲載されたコラム「産経抄」を思い出しました。
【資料4】産経新聞産経抄」2017年3月12日

その昔、旅先の宿で隣室から朗々と謡曲が流れてきた。なかなかうまい。「止めてみせようか」と謡い始めたのは、時の観世大夫である。

隣は水を打ったようにしんとなった。自分より秀でた腕前に驚いたらしい。

後日、別の宿に移ると、隣から下手な謡曲が聞こえてきた。止めてください。水を向ける弟子に、観世は首を振る。

先日のは達人だった。今日の人は他人の巧拙がまだ分からない。うっかり謡い出そうものなら「負けん気を出して、声を張り上げるに違いない」と。

損益分岐点分析を声高に唱える人たちは、会計の上っ面を理解しているだけ。 現実の企業活動がどうなっているのかを理解せず、空調のきいた部屋で教科書に書かれてあることを、なぞっているだけ。 そいう人たちに、【資料1】の受賞論文にある「会計物理学の世界」は理解できない。
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